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【特集】偏差値70「常勝投信」は存在するか―まやかしのリターン―
日経CNBC×株探 コラボ第3弾
「幸福寿命」を延ばす資産形成アカデミー 第8回
米大統領選は132年ぶりの「返り咲き」で決着。中間決算発表もヤマ場を越し、今年の株式・金融市場も大きな材料やイベントはほぼ出尽くしたようです。感謝祭後からクリスマスにかけてのラリーが期待できますが、機関投資家にとっては年間の勝負付けはほぼ終わったといえるでしょう。
株探ユーザーの皆さんの首尾はどうですか? 今年は新NISA(少額投資非課税制度)がスタート。金融庁データから私が推測した最新の利用状況は口座開設者2500万人強、投資額50兆円超とみています。つみたて投資組とパフォーマンスを比べてみるといろいろ学びがあると思います。
ちなみに日経平均株価は10月末までで年初来16%の上昇です。S&P500種は19%高ですがドル高差益分を反映させると28%高になります。「オルカン」系投信の基準価格は11月8日時点で年初来約24%の上昇。ベンチマークあるいはベンチマーク系投信と自分の個別株パフォーマンスを比較し、2024年の運用通信簿を作ってみてはいかがでしょう。
■「アクティブがインデックスに勝てない」不思議な定石
私に言わせれば、個人投資家も自己資金を運用する小さなアクティブ・ファンドマネジャーなんですね。株探ユーザーには億万級資産を築く強者(つわもの)もいますが、株探アンケートをみる限り、全員が全員うまくいっているわけではありません。
まあ、個人が失敗するのは仕方ないのですが、私が問題視するのはやはりプロの運用です。「アクティブ投信はインデックス投信に勝てない」がいまや定石ですが、考えてみればほんとうに変な話というかひどい話です。わざわざ軍資金を託して運用料金まで支払っているのに、なぜベンチマークを上回ることができないのでしょうか?
東日本大震災に見舞われた2011年、筆者は処女作「なぜあなたは株・投信で失敗するのか」(日本経済新聞出版)を上梓しました。日本で初めて、投信業界の実態を暴露した書籍です。「プロはいない。運用は親会社の出向者ばかり」「名前は違えど中身は同じの羊頭狗肉ファンド」「不人気?では償還」など内幕を赤裸々に綴り、Amazonベストセラーになりました。驚いたのは金融庁の投信担当課長がわざわざ訪ねてくださり、「ぜひこういう視点を意識して金融行政を進めたい」とおっしゃっていただいたことです(結局、運用業界の悪弊は直らず、金融庁がつみたてNISAを創設し、ファンドを認可制にしました)。
拙著で私が指摘したのが「設定当初は高成績だが、2、3年もすると徐々に馬脚を表し、長期では必ずベンチマークに負ける」という事実です。
今回、この分析を深化させました。株探ユーザーも投信を併せて運用、保有される方が多いと思うので知っておいて損はない知識でしょう。
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「幸福寿命」を延ばす資産形成アカデミー 第8回
田中彰一
日本経済新聞社コンテンツプロデューサー兼日経CNBC解説委員
1989年、日本経済新聞社入社。主に金融・資本市場担当。ニューヨーク駐在などを経て2018年より現職。日経電子版コンテンツ開発、ニュースレター執筆、経済番組解説の「創る・書く・話す」の三刀流をこなす。お宝株を紹介する日経CNBCの動画「未来のブルーチップを探せ」は2023年の年間アクセス数首位。著書は「50代から輝く!『幸福寿命』を延ばすマネーの新常識」(日本経済新聞出版)など多数。小冊子「日経記事でマネートレーニング」(東京証券取引所)は金融経済教育を推進する証券知識普及プロジェクトの認証を受けた。マネーと不動産の実務と健康に詳しい。
日本経済新聞社コンテンツプロデューサー兼日経CNBC解説委員
1989年、日本経済新聞社入社。主に金融・資本市場担当。ニューヨーク駐在などを経て2018年より現職。日経電子版コンテンツ開発、ニュースレター執筆、経済番組解説の「創る・書く・話す」の三刀流をこなす。お宝株を紹介する日経CNBCの動画「未来のブルーチップを探せ」は2023年の年間アクセス数首位。著書は「50代から輝く!『幸福寿命』を延ばすマネーの新常識」(日本経済新聞出版)など多数。小冊子「日経記事でマネートレーニング」(東京証券取引所)は金融経済教育を推進する証券知識普及プロジェクトの認証を受けた。マネーと不動産の実務と健康に詳しい。
米大統領選は132年ぶりの「返り咲き」で決着。中間決算発表もヤマ場を越し、今年の株式・金融市場も大きな材料やイベントはほぼ出尽くしたようです。感謝祭後からクリスマスにかけてのラリーが期待できますが、機関投資家にとっては年間の勝負付けはほぼ終わったといえるでしょう。
株探ユーザーの皆さんの首尾はどうですか? 今年は新NISA(少額投資非課税制度)がスタート。金融庁データから私が推測した最新の利用状況は口座開設者2500万人強、投資額50兆円超とみています。つみたて投資組とパフォーマンスを比べてみるといろいろ学びがあると思います。
ちなみに日経平均株価は10月末までで年初来16%の上昇です。S&P500種は19%高ですがドル高差益分を反映させると28%高になります。「オルカン」系投信の基準価格は11月8日時点で年初来約24%の上昇。ベンチマークあるいはベンチマーク系投信と自分の個別株パフォーマンスを比較し、2024年の運用通信簿を作ってみてはいかがでしょう。
■「アクティブがインデックスに勝てない」不思議な定石
私に言わせれば、個人投資家も自己資金を運用する小さなアクティブ・ファンドマネジャーなんですね。株探ユーザーには億万級資産を築く強者(つわもの)もいますが、株探アンケートをみる限り、全員が全員うまくいっているわけではありません。
まあ、個人が失敗するのは仕方ないのですが、私が問題視するのはやはりプロの運用です。「アクティブ投信はインデックス投信に勝てない」がいまや定石ですが、考えてみればほんとうに変な話というかひどい話です。わざわざ軍資金を託して運用料金まで支払っているのに、なぜベンチマークを上回ることができないのでしょうか?
東日本大震災に見舞われた2011年、筆者は処女作「なぜあなたは株・投信で失敗するのか」(日本経済新聞出版)を上梓しました。日本で初めて、投信業界の実態を暴露した書籍です。「プロはいない。運用は親会社の出向者ばかり」「名前は違えど中身は同じの羊頭狗肉ファンド」「不人気?では償還」など内幕を赤裸々に綴り、Amazonベストセラーになりました。驚いたのは金融庁の投信担当課長がわざわざ訪ねてくださり、「ぜひこういう視点を意識して金融行政を進めたい」とおっしゃっていただいたことです(結局、運用業界の悪弊は直らず、金融庁がつみたてNISAを創設し、ファンドを認可制にしました)。
拙著で私が指摘したのが「設定当初は高成績だが、2、3年もすると徐々に馬脚を表し、長期では必ずベンチマークに負ける」という事実です。
今回、この分析を深化させました。株探ユーザーも投信を併せて運用、保有される方が多いと思うので知っておいて損はない知識でしょう。
本稿は「50代から輝く!『幸福寿命』を延ばすマネーの新常識」(田中彰一著)から「新常識33」「同34」などを抜粋し、株探ユーザー向けに加筆・再構成しました。取材歴35年のベテラン記者が明かす127のノウハウ(=新常識)の詳細については是非、同書をご覧ください。
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