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【市況】株価指数先物 【週間展望】―「相互関税」発動を控えトランプ発言に振られやすい

NYダウ <日足> 「株探」多機能チャートより

 今週の日経225先物は、トランプ米大統領の関税を巡る発言に振らされやすくなりそうだ。トランプ政権は4月2日にも貿易相手国に同水準の関税を課す「相互関税」を発動する方針だが、トランプ大統領は21日、同関税について「柔軟性がある」との認識を示している。EU(欧州連合)は対抗措置として4月1日から米国製品に関税を課すとしていたが、中旬に先延ばしした。米国と相互に合意できる解決策を見つけるための時間を確保するもので、協議の進展如何によって相場の変動幅は大きくなりそうだ。

 また、時期は明らかにしていないものの、トランプ大統領が中国の習近平国家主席と会談し、関税について協議を計画していると報じられている。グリア米通商代表部(USTR)代表が今週、中国側と協議する予定であり、その行方に関心が集まりそうである。

 21日の米国市場では、主要な株価指数が上昇した。景気減速や関税への懸念、地政学リスクを巡る不透明感などから、NYダウは500ドルあまり下落する場面もみられた。その後は前述したトランプ大統領の「柔軟性がある」との発言で不安が和らぎ、買い戻しを誘った。

 日経225先物はナイトセッションで開始直後に3万7470円まで買われたが、その後は下落に転じ、米国市場の取引開始時には3万7100円まで下げ幅を広げた。ただし、終盤にかけて買い戻され、一時3万7380円まで下落幅を縮める動きをみせている。

 3月11日につけた3万5730円(6月限)を安値としたボリンジャーバンドの-3σからのリバウンドにより、-2σを突破。先週は17日に-1σを上抜き、翌18日には中心値(25日)を捉えた。その後は日銀の金融政策決定会合や米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて、25日移動平均線水準での攻防が続いた。

 25日線は下向きで推移しており、ナイトセッションで3万7600円まで下がってきた。同線が抵抗線として機能する状況が続くと、-1σ(3万6780円)辺りが意識されてくる可能性があろう。週足では-1σ(3万7150円)辺りでの攻防になりうそうであり、同水準を割り込む局面では、下へのバイアスが強まりやすいと考えられる。

 トランプ大統領の関税を巡る発言が警戒されるなか、積極的なロングは手控えられるだろう。一方で、ショートも仕掛けにくく、スキャルピング中心のトレードのなか、短期的な需給に振らされることになりそうだ。ただ、相互関税については相当警戒されていることで、ポジションとしてはショートに傾いていると考えられる。相手国との協議への期待が高まりやすく、基本的には押し目狙いのロング対応に向かわせそうだ。

 -1σと25日線によるレンジが意識され、オプション権利行使価格の3万6875円から3万7625円のレンジを想定する。25日線を明確に上抜けてくる局面では、3万8000円が射程に入るだろう。一方で、同線が抵抗として機能するなかでも、節目の3万7000円処では押し目を拾うタイミングになりそうである。

 また、21日の米国市場ではマイクロン・テクノロジー<MU>が8%を超える急落となったほか、エヌビディア<NVDA>やアドバンスト・マイクロ・デバイセズ<AMD>などハイテク株の一角が売られ、半導体SOX指数は続落した。アドバンテスト<6857>[東証P]や東京エレクトロン<8035>[東証P]など、指数インパクトの大きい値がさハイテク株が日経平均型の重荷となる可能性がある。

 一方で、今週は3月期末となるため、配当志向の物色が強まりやすい。また、トランプ大統領は、空軍の次世代戦闘機「F47」の製造をボーイング<BA>が行うと発表した。また、「F47」を将来的に同盟国に性能を落としたうえで売却する考えを示した。日本では石破総理大臣が防衛大学校の卒業式で訓示し、防衛力の抜本的強化を着実に進めていく考えを示しており、三菱重工業<7011>[東証P]など防衛関連株への資金流入が続くことが見込まれる。

 21日の米VIX指数は19.28(20日は19.80)に低下した。10日の29.57をピークに調整しており、週間(3月14日:21.77)でも低下した。19日には心理的な分かれ目となる20.00を割り込み、その後は切り返す場面もみられたが、25日線(20.84)が抵抗線として意識されてきており、連日で20.00を下回って終えている。トランプ関税の影響は不透明ながらも、カバーが強まる可能性はあるだろう。

 先週末のNT倍率は先物中心限月で13.46倍に低下し、2020年4月以来の13.50倍を下回ってきた。節目の13.50倍を割り込んだことで、いったんはボトム形成が意識されてくる可能性はあるが、ハイテク株の一角が不安定な一方で、期末要因から配当志向の物色が意識されて、相対的にTOPIX型優位の展開が続く可能性がある。ただし、週足のボリンジャーでは急拡大するバンド形状で-3σに沿って低下を強めており、いつリバランスが入ってもおかしくない状況である。

 3月第2週(3月10日-14日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では4週連続の売り越しであり、売り越し額は5459億円(3月第1週は4141億円の売り越し)だった。なお、現物は8085億円の売り越し(同1015億円の売り越し)と4週連続の売り越しであり、先物は2626億円の買い越し(同3126億円の売り越し)と4週ぶりの買い越し。個人は現物と先物の合算で2778億円の売り越しと2週連続の売り越し。信託銀行は現物と先物の合算で279億円の買い越しとなり、4週連続の買い越し。

 主要スケジュールでは、24日に米国3月製造業PMI、米国3月サービス業PMI、25日に日銀金融政策決定会合議事要旨、米国3月コンファレンスボード消費者信頼感指数、米国2月新築住宅販売件数、26日に2月企業向けサービス価格指数、米国2月耐久財受注、27日に権利付き最終売買日、1-2月中国工業企業利益、米国10-12月期実質GDP確報値、28日に日銀金融政策決定会合の主な意見、米国2月個人所得、米国2月個人消費支出などが予定されている。

――プレイバック・マーケット――

●SQ値
04月限 日経225 39820.59  TOPIX  2766.89
05月限 日経225 38509.47  TOPIX  2728.75
06月限 日経225 38535.35  TOPIX  2714.56
07月限 日経225 41531.26  TOPIX  2893.54
08月限 日経225 35661.68  TOPIX  2510.68
09月限 日経225 36906.92  TOPIX  2585.41
10月限 日経225 39701.93  TOPIX  2721.72
11月限 日経225 39901.35  TOPIX  2765.26
12月限 日経225 39434.85  TOPIX  2738.68
01月限 日経225 39343.19  TOPIX  2726.70
02月限 日経225 39432.64  TOPIX  2775.06
02月限 日経225 39432.64  TOPIX  2775.06
03月限 日経225 36483.79  TOPIX  2684.98

◆日経225先物(日足)
         始値   高値   安値   清算値  前日比
25/06 03月21日  37410  37780  37160  37400  -100
25/06 03月19日  37640  37870  37390  37500  -120
25/06 03月18日  37250  37770  37180  37620  +420
25/06 03月17日  36830  37360  36790  37200  +340

◇TOPIX先物(日足)
         始値   高値   安値   清算値  前日比
25/06 03月21日  2764.0  2792.0  2738.5  2777.5  +6.5
25/06 03月19日  2761.5  2788.5  2744.0  2771.0  +9.5
25/06 03月18日  2730.5  2767.0  2726.5  2761.5  +32.5
25/06 03月17日  2690.0  2731.0  2686.5  2729.0  +37.5

●シカゴ日経平均 円建て
          清算値  前日大阪比
03月21日(06月限) 37355  -45
03月20日(06月限) 37435  -65
03月19日(06月限) 37625  +125
03月18日(06月限) 37535  -85
03月17日(06月限) 37690  +490
※前日比は大阪取引所終値比

□裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額)
        売り   前週末比   買い    前週末比
03月14日    1466億円 -1555億円 1兆9619億円  +2885億円
03月07日    3021億円  +340億円 1兆6734億円  -2386億円
02月28日    2680億円 +1010億円 1兆9120億円  -64億円
02月21日    1669億円  +53億円 1兆9184億円  -1573億円
02月14日    1616億円  -93億円 2兆0757億円  +841億円
02月07日    1709億円  +60億円 1兆9916億円  -1714億円

□裁定取引に係る現物ポジション(株数)
        売り      前日比  買い       前日比
03月18日    4756万株      0株  8億9576万株   +2180万株
03月17日    4756万株    -28万株  8億7395万株   +46万株
03月14日    4785万株   -3637万株  8億7348万株   +8189万株
03月13日    8422万株   -1199万株  7億9159万株   +9349万株
03月12日    9622万株    -5万株  6億9810万株   +2585万株
03月11日    9627万株   +198万株  6億7225万株   -662万株
03月10日    9429万株   +198万株  6億7887万株   -1422万株
03月07日    9230万株   +601万株  6億9310万株   -9815万株
03月06日    8628万株    -69万株  7億9126万株   +851万株
03月05日    8697万株   +163万株  7億8274万株   -1150万株
03月04日    8534万株   +229万株  7億9424万株   -2533万株
03月03日    8305万株    +80万株  8億1957万株   +1980万株
02月28日    8225万株   -306万株  7億9977万株   -412万株
02月27日    8531万株   +2055万株  8億0390万株   +2571万株
02月26日    6476万株   +351万株  7億7818万株   -277万株
02月25日    6124万株   +953万株  7億8096万株   -312万株

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