【特集】日本のお家芸、世界から熱視線集める「アニメ関連株」が活躍の季節へ <株探トップ特集>

―クールジャパン戦略で存在感高める、海外アニメファン急増中で関連銘柄に春の息吹―
「アニメは子ども向け」、そういった認識はもはや過去の遺物だ。アニメの世界に現実を持ち込んでしまい困惑する人々も国内外にまだまだ多いようだが、世代や国境を越えて、多くの学びを与えてくれるだけでなく、現実を乗り越える巨大な力を持っている点に目を向けるべきともいえる。コロナ禍を経て、動画配信プラットフォームの急拡大や海外での需要増により、アニメ関連企業は新たな成長フェーズに突入している。グッズ、イベント、ゲームなど周辺ビジネスも幅広い。勢いが失われつつある日本という文脈の中にあっても、まばゆい光を放ち続けるアニメ関連に要注目だ。
●「宇宙戦艦ヤマト」が神話のスタート地点に
既に死語と言って差し支えないだろうが、いわゆる「テレビまんが」からの脱却的な意味合いで、日本のアニメ史の中でも重要な存在と評価されているのが「宇宙戦艦ヤマト」だ。その作品自体を直接見たことがない人は年々増えているかもしれないが、その偉大な名前は見聞きしたことがある、という人は非常に多いはずだ。1974年10月に放送開始してから、同コンテンツは放送50周年を迎えた。
シン・ウルトラマンの企画・脚本を務めたほか、シン・ゴジラの脚本・総監督、エヴァンゲリオンシリーズなどを手掛けた庵野秀明氏は、同アニメについて、「リアルタイムで見ていた人にはものすごい衝撃を与えてくれたエポックなアニメーションだ」と3月に開催されたイベントの中で語っている。この宇宙戦艦ヤマトに限らず、過去から現在に至るまで、あまたのインスピレーション溢れる作品の存在によって、今の「アニメ」という巨大産業が成り立っており、多くの国民を楽しませてくれている。
●「葬送のフリーレン」が絶大な高評価を獲得
政府の クールジャパン戦略で実際にどの程度の効果が発現されたかは未知数ながら、宣伝努力が功を奏する形で、近年、海外でもこの日本の新お家芸と呼ぶべきアニメのファンが急増していることは周知の事実だ。例えば、海外ファンが多く集まる一部アニメサイトの直近のランキングを見ると評価1位は「葬送のフリーレン」となっている。同作品は登場人物達のそれぞれの人生、感情の機微などが巧みに描かれた、美しさや儚さを感じる感動的な物語である。
日本のコンテンツにもかかわらず、残念ながら同作品を未視聴の投資家も多いと思われる。しかし、一般的な知名度という意味においては「ワンピース」や「ドラえもん」のようなコンテンツに劣っていたとしても、絶大な高評価を集め、ランキング1位を獲得していること自体がアニメファンの裾野の広がりを感じさせる。
実際、BRICSの筆頭格であるインドでは、日本のアニメに親しんだ年齢層が消費の主力となりつつあるなかで、関連市場も盛り上がりを見せているようだ。これから経済成長が加速していく新興国で既にジャパニーズカルチャーが浸透している事実に目を向けたい。そうしたなか、ソニーグループ <6758> [東証P]傘下のアニメ会社であるアニプレックスは3月中旬に、米アニメ配信大手のCrunchrollと共同出資でHAYATEを設立したと発表。コンテンツの海外展開を一段と進める準備をしているが、これも時代の潮流を示唆しているといえる。
今回の特集では、株式市場でも物色テーマとして改めて注目されそうな「アニメ」関連の銘柄に焦点を当て、業界をリードする主力企業を中心に紹介する。
●アニメ関連で注目必至の6銘柄
◆エイベックス <7860> [東証P]~グループのエイベックス・ピクチャーズでは、アニメーション・実写など「映像コンテンツ」を核とした事業を展開。2014年に設立し、翌年には同社が中心となり、話題作から懐かしの名作アニメが楽しめる映像配信サービス「アニメタイムズ」をスタートさせた。23年12月にはアマゾン<AMZN>が運営するインドのPrime Videoチャンネルにて、日本発アニメ専門チャンネルの配信を開始。なお、クールジャパン官民連携プラットフォーム主催の「CJPFアワード2025」のプロジェクト(事業)部門において、「Anime Times Company in India」が準グランプリを受賞した。
◆テレビ朝日ホールディングス <9409> [東証P]~子会社のシンエイ動画では、「ドラえもん」や「クレヨンしんちゃん」のアニメ制作を手掛けている。「映画クレヨンしんちゃん」シリーズ32作目となる「映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ」が、25年夏に公開される予定であり、舞台はインドで、シリーズ史上初のダンスエンターテインメントムービーとなる。
◆ソニーグループ <6758> [東証P]~人気ギャグ漫画「おぼっちゃまくん」の新作アニメシリーズが、ソニー・ピクチャーズ・ネットワークス・インディア(SPNI)とテレビ朝日との共同制作により、25年春にインドのキッズ専門チャンネル「SONY YAY!」にてインド全土に向けて放送される予定である。テレビアニメ版を手がけたシンエイ動画がシナリオを手がけ、アニメ制作はインドで担当する。
◆東宝<9602>~アニメ「ダンダダン」を制作したサイエンスSARUを昨年、完全子会社化。ダンダダンの第2期は25年7月から放送が予定されている。Netflixインドの昨年10月7~13日の週間ランキングでは、インド国内で人気を誇るトーク番組や韓国ドラマなどの話題作品が多数あるなか、「ダンダダン」の第1期作品が9位とベスト10位内に入った。
◆壽屋 <7809> [東証S]~フィギュア、プラモデルなどのホビー関連品メーカーであり、アニメやゲーム、映画などのキャラクターの版権を取得し「KOTOBUKIYA」ブランドで展開する。人気アニメ「ワンピース」の精巧なフィギュアなども手掛けている。また、コトブキヤプラモデルシリーズから誕生した人気コンテンツ「アルカナディア」のTVアニメ化が決定。キャラクター性をイメージした柔らかく香るフレグランスを開発中である。
◆ハピネット <7552> [東証P]~玩具や映像・音楽ソフト、家庭用ゲーム機、カプセル玩具自販機などを手掛けるエンターテインメント総合商社であり、バンダイナムコホールディングス <7832> [東証P]のグループ会社でもある。玩具事業では玩具やトレーディングカード、雑貨類などの販売及びオリジナル玩具の企画・製造・販売を行っている。「ポケモンカードゲーム」や「ONE PIECEカードゲーム」などのトレーディングカードやバンダイの「たまごっち」関連商品などが好調だ。
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