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【特集】山田勉氏【夏枯れ返上、望外の急騰局面で色めき立つ市場】(1) <相場観特集>

山田勉氏(auカブコム証券 投資情報室 マーケットアナリスト)

―日経平均2万9000円台目前、ここからの相場展望を探る―

 週明け15日の東京株式市場は、日経平均株価が前週末に続き一段の上値指向をみせた。前週末に700円を超える上昇で6月の戻り高値を払拭、次は今年1月初旬以来となる2万9000円大台回復を視野に捉えている。米国の株価上昇に追随する形で夏枯れ相場を返上し、サマーラリーの佳境に突入した株式市場。今後のマーケットをどう見るか、第一線で活躍する市場関係者2人に意見を聞いた。

●「上値余地意識され3万円大台にらむ」

山田勉氏(auカブコム証券 投資情報室 マーケットアナリスト)

 全体相場はこれまでの弱気相場の反動もあって意外高の状態にある。今年は秋口がひとつの転機と見る向きが多かった。9月からFRBのバランスシート縮小が加速することに加え、11月初旬には米中間選挙が行われ、中国共産党大会も控えるなど重要イベントが目白押しだ。これらを念頭に置いて空売りポジションが積み上げられていた。

 しかし、9月を待たずに前倒し的に相場の流れが変わった。日米ともに主要株価指数は離陸を始め、売り方が焦り気味に買い戻しに動き、需給要因で上げ足が加速したというのが現在の状況であろう。

 米国では直近の経済指標がインフレ圧力の後退を示唆しており、FRBの金融引き締めに対する警戒感が緩和され買い戻しが加速した。これを横目に東京市場でも強気優勢に傾いている。一方、大方出揃った企業の決算発表は、総じて好調といってよく、日経225採用銘柄のEPSは過去最高水準まで上昇。PER換算でも日経平均の時価は13倍前後に過ぎず、割高感に乏しいことから一段の上値余地が意識される。

 向こう1ヵ月でみた日経平均の上値メドとしては、年初につけた2万9332円を通過点に3万円大台挑戦もありそうだ。一方、目先過熱感から押し目を形成した場合、下値は2万8000円前後にとどまるとみている。そうしたなか、物色対象としては東京エレクトロン <8035> [東証P]、レーザーテック <6920> [東証P]のような半導体主力株やファナック <6954> [東証P]、キーエンス <6861> [東証P]といった設備投資関連に相対的に妙味がありそうだ。


(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(やまだ・つとむ)
マーケットアナリストとして証券界で十数年活躍。2004年5月、カブドットコム証券(現auカブコム証券)入社。『こちカブ』(ラジオNIKKEI)『まーけっとNavi』(日テレNEWS24)『マーケットホットライン』(ストックボイス)などに出演。

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