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【特集】2026年コモディティ市場を展望する <新春特別企画>

MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行

「2026年の貴金属は金主導で堅調、原油は供給過剰見通しが上値を抑える」

 の現物相場は2025年、トランプ米政権による関税引き上げや不法移民の強制送還、米国際開発庁(USAID)解体で先行き不透明感が高まったことを受けて上値を試し、史上最高値を更新した。

 米大統領はウクライナやガザの紛争を「就任後数ヵ月以内に停戦させる」と豪語したが戦闘は継続し、地政学的リスクが高まったことも支援要因になった。また、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の利下げに慎重な姿勢を受けて解任をほのめかし、中央銀行の独立性に対する懸念が出た。投資家の投資需要が堅調なことに加え、ドル離れが警戒されるなか、各国の中央銀行が準備資産を分散し、金購入を増やしたことも価格を押し上げる要因になった。

 年末にかけてはつなぎ予算案がまとまらず、米政府機関が一部閉鎖されるなか、金に対する出遅れ感から銀やプラチナ系貴金属(PGM)も急騰し、貴金属全体が買われることになった。非鉄金属では、LME銅が主要鉱山の事故による操業停止を受けて需給がひっ迫するとの見方から史上最高値を更新した。

 2026年も関税に対する不透明感や地政学的リスク、中央銀行の独立性に対する懸念がテーマとなり、投資需要の堅調と中央銀行の買いが金価格を押し上げるとみられ、5000ドルの節目を目指す可能性がある。政治イベントとしては11月の米中間選挙が焦点である。インフレ高止まりで米国民の生活が苦しく、トランプ米大統領の支持率は低下しており、支持率回復のため減税などの政策を打ち出す見通しである。ただ、財源として関税収入が挙げられたが、関税の法的根拠を巡って争われ、最高裁判所の判決待ちとなっている。トランプ米政権が根拠とした1977年国際緊急経済権限法(IEEPA)が違憲と判断されても、米政権は代替措置を出し関税を続けるとみられるが、不透明感が残ることに変わりはない。

 地政学的リスクに関しては、ウクライナやガザで和平協議が進んだ。ただ、ウクライナが和平案20項目を公表したが、ロシアは変更を求め協議は継続される見通しであることや、ガザでもイスラム組織ハマスが武装解除を拒否したことを受けて平行線となっている。

 更にトランプ米政権が麻薬組織を攻撃し、ベネズエラを封鎖したことが新たな地政学的リスクとなっている。米大統領は合成麻薬フェンタニルを大量破壊兵器に指定しており、これを根拠にベネズエラ攻撃があるのかどうかも焦点である。当面は米軍による封鎖を続ける見通しであり、マドゥロ政権が譲歩しない限り、ベネズエラ経済が破綻するとみられている。また、イスラエルがイランを再び攻撃する計画を立てており、先行き懸念が残っている。

 一方米国では、パウエル米FRB議長の退任を5月に控え年明けに次期FRB議長が発表される見通しである。トランプ米大統領が大幅利下げを要求しており、中央銀行の独立性に対する懸念が残っている。12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の見通しでは2026年は1回の利下げとみられている。また、経済面ではAI主導の株価上昇が続くかどうかも焦点である。半導体大手マイクロン・テクノロジーがAIデータセンター向けのメモリー事業のため、コンシューマー向けから撤退することを発表した。米金融大手がAIバブルが弾けるとの懸念を示したこととは正反対の動きである。

●銀とプラチナ、銅は供給不足見通しも支援要因

  プラチナ、銅は供給不足見通しも支援要因である。各社の報告書で供給不足が指摘されていたが、2025年終盤になるまでファンダメンタルズが見直されることはなかった。供給不足の背景には、銀は太陽光パネルの需要増加、プラチナは中国の投資需要の増加がある。広州先物取引所(GFEX)でプラチナの先物取引が開始され、投資資金の流入が価格を押し上げる一因になったとみられている。銅は主要鉱山の操業停止に加え、脱炭素化やデジタル化による需要増加を受けて2026年に供給不足に転じると予想されている。

 暗号資産はドルからの逃避先になるとみられたが、 ビットコインは10月に最高値を更新したのち暴落し、過去最大の強制清算(ロスカット)を経験した。トランプ米大統領が中国に対する追加関税を示唆したことがきっかけになった。

 暗号資産としては金融取引で決済手段として法定通貨と同価値に設定されたステーブルコインが普及し始めた。また、ビットコインに投資資金が戻らなかったことが金以外の貴金属が見直される一因になったとみられる。

●原油は供給過剰見通しが上値を抑える

  原油は供給過剰見通しが上値を抑える要因である。石油輸出国機構(OPEC)プラスの増産に加え、米国やブラジルなど非OPEC諸国の生産が増加している。一方、中国は不動産不況による内需不振で需要が伸び悩んでおり、米エネルギー情報局(EIA)や国際エネルギー機関(IEA)が供給過剰見通しを示している。ただ、ウクライナ和平案の協議が進んだが、ロシアと合意に達していないことや、米国のベネズエラ封鎖が先行き不透明感を強めており、弱材料にも強材料にもなりうる。ロシアがウクライナ和平案を受け入れず、米国が「影の船団(シャドーフリート)」に対する追加制裁を科すとロシアが原油価格を下げる要因になるが、米国がベネズエラを攻撃し、原油供給が減少すると強材料視される可能性が出てくる。ただ、米国は当面、ベネズエラ封鎖を続け、マドゥロ政権の反応を待つとみられている。

(MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)

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