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【特集】和島英樹のマーケット・フォーキャスト【新春スペシャル】 <新春特別企画>

株式ジャーナリスト 和島英樹

「バリューとテーマ性が混在、年後半に6万円到達も」

●高市政策テーマを軸に日本経済の成長を買う相場に

 2026年の東京株式市場は、国内経済の拡大やそれに伴う企業業績の伸びを背景に堅調な展開が予想される。高市政権が掲げる重点17分野を軸に、特にAI(人工知能) 半導体 造船防衛、デジタル・サイバーセキュリティなど経済安全保障に関係する分野が注目されよう。日経平均株価の高値は年後半に6万円に到達する場面がありそうだ。

 2025年は実質賃金のマイナスが続いたが、26年は高水準の賃金上昇や物価の伸び鈍化などでこれを解消し、名実ともにデフレから脱却する見通し。高市内閣による「責任ある積極財政」政策を背景に、個人消費の拡大による名目GDP(国内総生産)の伸びが期待される。企業業績では27年3月期はトランプ関税の影響一巡もあり、大手調査機関では本業の儲けを示す営業利益は12%増益になると試算している。

 スケジュール面では、大型の政治イベントが少ない一方、スポーツイベントが目白押しだ。そのなかで最も注目される政治イベントが、11月3日の米国中間選挙だ。上院は改選35議席(3分の1)、下院は全435議席が改選となる。また、州知事選挙が36州で実施される予定。これらはトランプ米大統領の信任選挙ともいえる。なお、7月4日は米国独立250周年日となる。各地でイベントが開催され、消費を刺激することも想定される。国内では夏までに「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」を取りまとめる。また、高市内閣の支持率高水準が続けば、年内に総選挙の実施も見込まれる。

 スポーツイベントでは、2月6日~22日にミラノ・コルティナ冬季五輪、3月6日~17日にワールドベースボールクラシック(WBC)、6月11日~7月19日にFIFAサッカーワールドカップが開催される。

 26年も資本効率化の動きが継続することも追い風だ。自社株買いは25年11月時点で累計10兆円を超えたが、26年はさらに増加することが予想される。新NISA(少額投資非課税制度)の成長投資枠で個人投資家を引きつけるため、DOE(株主資本配当率)を導入し累進配当を行う企業も増加している。

 26年3月期の日経平均株価の1株利益は2650円前後。来期12%増益で2968円強となり、PER(株価収益率)20倍強まで評価すれば、単純計算で日経平均株価は6万円に到達する。時期は秋口頃を想定する。

 リスク要因は、米国経済のインフレ加速や景気失速だろう。トランプ関税の影響が26年から本格化するとの懸念もある。また、国内では高市内閣の短命化や、長期金利の急ピッチな上昇などがリスク要因であり、これらが顕在化すれば大幅な調整も意識したい。

●低PBR&高配当利回り、レアアース採掘、造船、フィジカルAIなどが焦点に

 物色では、バリュー株とテーマ性が混在する展開となろう。

 低PBR(株価純資産倍率)かつ配当利回りが高い銘柄は引き続き注目される。特に年明けからは、3月期決算銘柄に配当や優待狙いの買いが向かい始める季節性がある。中長期計画で現行と同じ年24円配を下限配当と定めた日本製鉄 <5401> [東証P]、DOEの引き上げ方針を公表した三井化学 <4183> [東証P]のほか、王子ホールディングス <3861> [東証P]、ホンダ <7267> [東証P]、レンゴー <3941> [東証P]、クレハ <4023> [東証P]、そして川崎汽船 <9107> [東証P]をはじめとした海運株などが挙げられる。

 高市政策関連のテーマでは日程的にまず、レアアース(希土類)関連が話題になりそうだ。中国にレアアースの多くを握られていることを打破するため、日本はレアアースの確保を急いでいる。国立研究開発法人・海洋研究開発機構(JAMSTEC)は26年1月に小笠原諸島・南鳥島(東京都・小笠原村)沖でレアアースの試験掘削を始める。地球深部探査船「ちきゅう」を使い、海面下5500メートルにあるレアアースを含む泥を回収するという。

 南鳥島周辺のEEZ(排他的経済水域)内には、レアアースを豊富に含んだ「レアアース泥」やマンガンノジュール(海底に堆積したマンガンの塊、コバルトやニッケルなどを豊富に含む)が大量に存在する。試掘に成功すれば、プロジェクトの技術開発を手掛ける東洋エンジニアリング <6330> [東証P]のほか、三井海洋開発 <6269> [東証P]、いであ <9768> [東証S]、古河機械金属 <5715> [東証P]などにも関心が向かう可能性がある。

 政府が造船業の復活を後押ししているが、26年にはその流れが明確化する可能性がある。日本の造船業はかつて世界首位だったが、現在ではシェア7割を握る中国の後塵を拝している。経済安全保障において造船は重要であり、米国との連携も模索している。M&Aで大型造船の建造が可能になっている名村造船所 <7014> [東証S]、船舶用ディーゼルエンジン国内首位の三井E&S <7003> [東証P]、船舶用塗料で世界2位の中国塗料 <4617> [東証P]などが挙げられる。

 フィジカル(物理)AIへの注目度が高まっている。ロボットが人の言葉を理解し、自律的に制御する。25年12月に開催された国際ロボット展ではファナック <6954> [東証P]、安川電機 <6506> [東証P]がフィジカルAI搭載ロボットを展示して話題となった。ロボットアームなどを滑らかに動かすのに必要な精密減速機を手掛けるハーモニック・ドライブ・システムズ <6324> [東証S]、ナブテスコ <6268> [東証P]のほか、ダイフク <6383> [東証P]、ミネベアミツミ <6479> [東証P]などもフィジカルAIに注力しているもようだ。

 また、引き続き半導体への関心が高い。高速計算が要求される生成AIの普及で、ウエハからチップに切り出した後の後工程が複雑になり重要視されている。性能を上げるためにチップにHBM(広帯域メモリ)を隣接する必要がある。切断装置などのディスコ <6146> [東証P]、テスター(検査装置)のアドバンテスト <6857> [東証P]、パッケージ基板のイビデン <4062> [東証P]、封止装置などのTOWA <6315> [東証P]、後工程材料のレゾナック・ホールディングス <4004> [東証P]、半導体基板向け表面処理薬品で世界先端のメック <4971> [東証P]などが該当する。

 一方、前工程では微細化で線幅2ナノ(ナノは10億分の1)メートル関連の量産が本格化する。前工程装置で世界有数の東京エレクトロン <8035> [東証P]、検査装置のレーザーテック <6920> [東証P]、洗浄装置のSCREENホールディングス <7735> [東証P]、超純水装置の野村マイクロ・サイエンス <6254> [東証P]などが有望となる。

(2025年12月21日 記:一部データは30日時点/次回は2026年1月31日 配信予定)

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