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【特集】「ヤクルト1000」爆発的大ヒット、「機能性表示食品」関連株に熱視線 <株探トップ特集>

「Yakult1000」の大ヒットで、スポットライトが当たる機能性表示食品。さまざまなメーカーから新商品が相次ぐなか、株式市場での関心も高まりそうだ。

―コロナ禍のストレス増加で出番到来、2匹目のドジョウ狙い参入相次ぐ―

  「機能性表示食品」にスポットライトが当たっている。キッカケはヤクルト本社 <2267> [東証P]の「Yakult(ヤクルト)1000」の爆発的大ヒット。Yakult1000はコロナ禍で精神的なストレスを抱える人が増加するなか人気化し、品薄状態になったことで話題となった。こうしたなか、同製品の大ヒットに刺激される形で、食品大手をはじめさまざまな企業から機能性表示食品が発売されている。急速に注目度が高まる「機能性表示食品」関連株の動向を追った。

●拡大続く市場規模

 機能性表示食品とは、事業者の責任で科学的根拠を基に商品パッケージに機能性を表示した食品で、販売前に安全性及び機能性の根拠に関する情報などを消費者庁長官へ届けることで表示できる。同制度は2015年にスタートしたが、消費者庁長官の個別の許可を受けた特定保健用食品(トクホ)よりもハードルが低いといえ、メーカーも参入しやすい制度と言われている。

 市場調査会社の富士経済「機能性表示食品、特定保健用食品などの国内市場調査」によると、21年の機能性表示食品の国内市場は20年比で23.8%増の4418億円を見込み、22年は同年比で33.2%増の4754億円に拡大すると予想している。

 「20年は、新型コロナウイルス流行の影響によりコロナ太りを気にする消費者が増加したことで脂肪対策商品を中心に需要が増加し、ドリンク類やサプリメントが大幅に伸長した。特に、19年に機能性表示食品としてリニューアルされた伊藤園 <2593> [東証P]の『お~いお茶 濃い茶』が通年販売となり好調だったことから市場は前年よりも高い伸びとなったため、特定保健用食品の市場規模を上回った」と指摘。また、「21年は『お~いお茶 濃い茶』の続伸に加え、ヤクルト本社が19年に関東地区限定で発売した『Yakult1000』が全国販売となったこともあり、市場は2ケタ増が予想される」と分析している。

●ヤクルト、品不足解消へ増産体制強化

 快進撃を続けるヤクルトだが、実は宅配用の「Yakult1000」と店頭用の「Y1000」という商品があり、品薄で話題となるなかSNS上では、これらを総称して「ヤクルト1000」と呼んでいるようだ。同製品は同社史上最高密度の「乳酸菌シロタ株」を含んでおり、「ストレスの緩和」「睡眠の質向上」「腸内環境の改善」などの機能があり、コロナ禍でストレスに悩むユーザーの潜在的なニーズに訴求した格好だ。

 会社側では、Yakult1000人気化の要因について「厚生労働省による国民生活基礎調査によれば、現代人の多くがストレスを抱えているという結果が出ている。ストレスは睡眠の質を低下させる要因として知られているが、ストレス社会といわれる現代において、睡眠に関する悩みも大きな社会課題となっている。そのため商品に対するニーズはあると考えていた。お客さまがYakult1000の機能性(特に睡眠に関する機能)について体感をされ、その体感をSNSなどで発信していただくことが多いが、それが話題になった要因の一つと考えている」(広報)と話す。また、品不足の状態については「Yakult1000は今秋をメドに増産を計画、Y1000については7月に増産体制を強化しており、更に年内の増強を予定している」(同)という。

 7月29日に同社が発表した23年3月期第1四半期の営業利益は、前年同期比27.2%増の147億7000万円で着地。あわせて、通期の同利益を従来予想の550億円から590億円(前期比10.9%増)に上方修正し、2期連続で過去最高益を更新する見通しとなった。株価も好調で、今月1日には8550円まで買われ年初来高値を更新。その後、上昇一服後もすぐさま切り返しに転じ、年初来高値をにらむ展開となっている。

●カネカは「わたしのチカラQ10ヨーグルト」で攻勢

 カネカ <4118> [東証P]はここにきて、機能性表示食品分野でも攻勢を掛けている。同社は、生分解性バイオポリマーなども手掛けることから、株式市場においては脱プラスチック関連株の一角としても注目度が高い。8月には機能性表示食品「わたしのチカラQ10ヨーグルト」「わたしのチカラQ10ヨーグルト ドリンクタイプ」を発売し、テレビCMも開始したことで一気に認知度を高めている。同商品は、還元型コエンザイムQ10を100ミリグラム配合した機能性表示食品で、「睡眠の質の向上に役立つ」「一過性のストレスの軽減に役立つ」「起床時の疲労感の軽減に役立つ」という3つの機能性表示を取得。今後も、順次ラインアップを増やしていくという。10日に発表した23年3月期第1四半期の営業利益は、前年同期比3.1%増の122億1200万円で着地。通期の同利益は前期比10.2%増の480億円を計画しており、17期ぶりに過去最高益を更新する見通し。株価は、前週末に25日移動平均線を足場に上放れ、きょうも上値指向継続。

●伊藤園、「お~いお茶 濃い茶」で市場深耕

 「お~いお茶 濃い茶」で、機能性表示食品分野を深耕する伊藤園だが、経済正常化に向けて政府が舵を切るなか人出が回復していることに加え、猛暑効果も追い風に活躍期待が高まりそうだ。同社が6月1日に発表した22年4月期決算は、営業利益が前の期比12.7%増の187億9400万円だった。主力の飲料・茶葉製品が堅調に推移したほか、コーヒーショップ「タリーズコーヒー」を手掛ける飲食関連事業が人流回復に伴い収益改善を果たしたことが寄与している。続く23年4月期は、営業利益で前期比6.4%増の200億円を計画しており、コロナ禍からの順調な業績回復を予想する。株価は、今月2日に直近高値6590円をつけた後は若干調整も、現在は6200円近辺で頑強展開。

●ノエビアHDは「ノエビア 青汁」をリニューアル発売

 ノエビアホールディングス <4928> [東証P]は高級基礎化粧品が主力だが、9月5日に仕事や勉強などによる一時的な精神的ストレスや疲労感を緩和し、高めの血圧をサポートする機能性表示食品「ノエビア 青汁」をリニューアル発売する予定だ。また、昨年10月には同社グループの常盤薬品工業が、睡眠の質の向上をサポートする機能性表示食品の サプリメント「すや睡眠」を発売している。今月4日に発表した、22年9月期第3四半期累計の営業利益は、「収益認識に関する会計基準」の適用により前年同期との比較はないものの79億5900万円に伸び、通期計画の92億円に対する進捗率は86.5%に達した。株価は7月27日に6020円まで買われ年初来高値を更新、その後上昇一服で5590円まで押される場面もあったが、ここにきて上値指向を鮮明にしている。年初来高値奪回からの一段高期待も。

●小野薬とマルハニチロは強力タッグ

 さまざまな分野から機能性表示食品市場への参入が相次ぐが、2月24日には小野薬品工業 <4528> [東証P]とマルハニチロ <1333> [東証P]が健康食品分野における機能性表示食品の商品開発で協業することを発表した。19年に小野薬は、マルハニチロから提供された水産物由来の機能性素材を使用した機能性脂質製品の開発に成功。2つの臨床試験を経て、機能性脂質製品の有用性が証明されたことで、サプリメント事業発足に向けて動き出すことになった。マルハニチロと水産物由来の機能性素材を使用した機能性脂質製品の共同開発に成功したことで、早くも3月には小野薬と小野薬品ヘルスケアは、機能性表示食品・睡眠サプリメント「REMWELL(レムウェル)」を発売している。

 小野薬の23年3月期は、営業利益段階で前期比40.5%増の1450億円を計画。一方、マルハニチロは23年3月期の営業利益を前期比0.8%増の240億円と小幅増を計画している。ただ、8日取引終了後に発表した第1四半期の同利益は前年同期比24.9%増の78億6900万円で着地。また経常利益段階では同72.0%増の121億7500万円に急拡大し、通期計画250億円に対する進捗率が48.7%に達したことは見逃せないポイントといえそうだ。

●ユーグレナ、秋口にも新商品

 ここバイオ燃料に傾注し、ミドリムシを活用した健康食品や化粧品を販売するユーグレナ <2931> [東証P]も機能性表示食品分野で攻勢を掛ける構えだ。同社は現在、「イチョウ葉機能性表示食品(記憶力)」「プロテオグリカン機能性表示食品(関節保護)」の2商品を展開するが、昨年8月には主力商品の「からだにユーグレナ」で機能性表示食品の消費者庁への届け出が受理されたと発表。受理されたのは、「作業時の一時的なストレス(イライラ感、緊張感)を緩和する機能」、「睡眠の質(眠りの深さ、すっきりとした目覚め)を改善する機能」の2つの機能性。これらは、今年の秋口にも商品化される見通しだ。

●ロートは「焦がしバターのメロンパン」発売

 面白いところでは、ロート製薬 <4527> [東証P]が今月、日本初の機能性表示食品のメロンパン「焦がしバターのメロンパン」を発売。箱根ベーカリー(神奈川県小田原市)と共同開発したもので、「食後の中性脂肪の上昇を抑制する」機能を持つ。業績も好調で、9日には23年3月期業績予想の上方修正を発表。売上高を2180億円から2250億円(前期比12.7%増)へ、営業利益は280億円から300億円(同2.2%増)へ、純利益を195億円から215億円(同2.3%増)へ引き上げている。株価は、これを受けて急動意しており年初来高値圏を舞う展開となっている。

 そのほかでは、トマトジュースでかねてから機能性食品市場を牽引するカゴメ <2811> [東証P]、「トリプルヨーグルト」の森永乳業 <2264> [東証P]、多くの機能性表示食品を手掛ける明治ホールディングス <2269> [東証P]にも目を配っておきたい。

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