市場ニュース

戻る
 

【市況】ESG最前線レポート <新春特別企画>

株式会社グッドバンカー リサーチチーム 倉橋 麻生

第51回 「2026年に求められるESG経営」

●「パリ協定」から10年目の「COP30」

 2025年11月、ブラジルのベレンで開催された「第30回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP30)」は、アメリカ不在の中、脱炭素を主導するEU(欧州連合)諸国などと産油国との間で利害が対立しました。その結果、地球温暖化の主因である化石燃料の削減については直接言及を避ける合意にとどまり、各国の意見の隔たりを浮き彫りにして閉幕しました。

 各国に温室効果ガスの削減目標設定を義務付けた2015年の「パリ協定」から10年。節目のCOPでしたが、世界の平均気温の上昇を産業革命以前と比べて1.5度以内に抑えるという目標の達成は、すでに極めて厳しい状況に直面しています。

 それでも、地球の持続可能性を確保するためには、気候変動対策に取り組み続けるほかありません。日本が掲げる「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けて、2026年も企業のESG活動はますます重要なテーマとなります。

●「排出量取引制度」が本格始動

 2025年5月、2026年度から一定規模以上の二酸化炭素を排出する事業者に対し、「排出量取引制度(GX-ETS)」への参加を義務化する「改正GX推進法」が成立しました。

 GX-ETSは、脱炭素化と経済成長の両立を目指す官民共創の枠組みである「GXリーグ」において日本政府が導入した制度です。企業はGX(グリーントランスフォーメーション)を通じた競争力の強化に加え、新たな市場やビジネスモデルの創出を目指すことが求められます。

 これまで事実上、無償で認められてきたCO2排出に価格を付ける「カーボンプライシング」が機能することで、企業には排出削減に向けた強い経済的なインセンティブが働くことになります。

●5年ぶりにコーポレートガバナンス・コードが改訂

 また、2026年は「コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)」が、5年ぶりに大幅に改訂される見通しです。前回2021年の改訂では、サステナビリティに関する基本的な方針の策定と取り組みの開示が初めて盛り込まれました。新たな指針では人材や成長分野への投資促進を狙い、上場企業が現預金を適切に活用できているかなど、より踏み込んだ説明が求められる見込みです。

 2023年には有価証券報告書等において、「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載欄が新設されました。更に、2027年3月期からは東証プライム市場上場企業に対し、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が策定したサステナビリティ開示基準が順次適用されます。

 こうした制度改正の対応において重要な役割を担うのが、まさに各社のESG経営です。ますます激しく変化する社会・経済環境の中で、ESG経営はしなやかに適応し、競争力を発揮するための不可欠な基盤となります。2026年も、私たちは引き続き企業のESGへの取り組みを、投資における重要なファクターとして注目していきます。

情報提供:株式会社グッドバンカー

(2025年12月23日 記/次回は2026年1月31日配信予定)

⇒⇒★「お年玉企画」など、【新春特集】"24本"の記事一覧は、ここをクリック!

株探ニュース

株探からのお知らせ

    日経平均