【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】決算発表ピーク通過、改めて業績内容など個別に見直しへ
RAKAN RICERCA 代表取締役 会長 村瀬智一
「決算発表ピーク通過、改めて業績内容など個別に見直しへ」
●6月の急落分を吸収、需給改善のなかで下値の堅さを意識
12日の東京市場は、7月の米消費者物価指数(CPI)の結果を受けた米国市場の強い動きを引き継ぎ、日経平均株価は2万8500円台を回復し、6月9日につけた戻り高値2万8389円を上回った。オプションSQでのイレギュラー感のある商いの影響もあったと見られるが、これにより6月の急落分を完全に吸収したことになる。ただし、日経平均株価が3月と6月のダブルトップ水準を超えてきたことで、いったんは達成感が意識されやすい面もある。
一方で、6月の急落時にポジションを解消したロングオンリーのファンドなどは、一段とポジションを従来の水準に戻す動きに向かいやすい。先高期待で積極的に買うというよりは、買わざるを得ない需給状況にあるため、調整局面でも下値の堅さが意識される場面では、買い方による下値切り上げの動きが期待されやすいだろう。また、決算発表がピークを通過したことで、改めて業績内容を手掛かりとした見直しの動きが見込まれる。決算発表の初動はイレギュラー的な価格形成になりやすく、大きく売り込まれた銘柄などでは修正リバウンド狙いの買いが見られそうだ。
また、日経平均株価が目先的な達成感からこう着感を強めてきたとしても、前述の通り需給状況が改善しているなかでは、相対的に出遅れている銘柄の水準訂正などに物色が向かう可能性もあろう。
●今後活躍が期待される「注目5銘柄」
◆ネットワンシステムズ<7518> [東証P]
ネットワーク構築大手。8月3日に発表した2023年3月期第1四半期(4-6月)業績は、連結売上高が前年同期比0.9%減の365億円、営業利益は同33.9%増の27億円だった。機器仕入納期の長期化の影響を受けたものの、受注高は自治体向け情報セキュリティクラウド、セキュリティ強靭化が好調に推移している。株価は7月11日につけた3280円をピークに調整が続くが、75日移動平均線水準で攻防を見せており、同線突破からのリバウンド本格化に期待したい。
◆サイバーエージェント <4751> [東証P]
動画配信サービス「ABEMA(アベマ)」やブログサービス「Amebaブログ」のほか、「グランブルーファンタジー」、「ウマ娘 プリティーダービー」などのゲームを手掛ける。2022年9月期第3四半期累計(21年10月-22年6月)業績は、連結営業利益が前年同期比27.9%減の558億円に落ち込んだ。コンセンサスを下回る減益決算が嫌気され、株価は7月28日には1246円まで売られる場面も見られた。ただし、その後は強いリバウンド基調を継続し、26週線突破でシグナルは好転してきた。もう一段のリバウンド上昇に期待したい。
◆フェローテックホールディングス <6890> [東証S]
半導体製造装置部品会社。真空シールで世界高シェア。7月20日にパワー半導体用絶縁放熱基板を製造する中国子会社が新工場を建設すると発表。投資額は約171億円で、24年1月の操業開始を予定している。電力制御に使う パワー半導体向けの需要を取り込む計画であり、成長期待が高まりやすいだろう。株価は調整トレンドが続くものの、足元で上値抵抗線の75日線水準で攻防を見せており、同線突破によるシグナル好転に期待したい。
◆SBテクノロジー <4726> [東証P]
クラウド、 セキュリティ、データ分析を展開。7月27日に発表した23年3月期第1四半期(4-6月)業績は、売上高・各利益ともに第1四半期で過去最高だった。農林水産省向けソリューションなどが伸びており、自治体向け関連の需要取り込みも期待される。株価は6月20日、30日の両安値による短期ダブルボトムを形成後、25日線を支持線としたリバウンドを継続。4月の年初来高値2679円を視野に入れたトレンド形成が期待される。
◆ネクステージ <3186> [東証P]
中古車販売大手。7月4日に22年11月期業績予想を上方修正。大型店の新規出店で買い取り台数が大幅に増加し、オークションや小売りでの販売が順調に推移する。自動車メーカーが生産調整を強いられるなか、中古車の需要は依然好調。また、グローバルで経済活動が正常化に向かうなか、海外からのオーダー増加も見込まれる。株価は4月27日につけた1875円をボトムにリバウンドを強めており、1月17日の上場来高値3200円に接近。いったんは達成感が意識されやすいものの、良好な需給状況のなか、一段の上昇が期待されよう。
(2022年8月12日 記)
株探ニュース