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【特集】笹木和弘氏【夏枯れ返上、望外の急騰局面で色めき立つ市場】(2) <相場観特集>

笹木和弘氏(フィリップ証券 リサーチ部長)

―日経平均2万9000円台目前、ここからの相場展望を探る―

 週明け15日の東京株式市場は、日経平均株価が前週末に続き一段の上値指向をみせた。前週末に700円を超える上昇で6月の戻り高値を払拭、次は今年1月初旬以来となる2万9000円大台回復を視野に捉えている。米国の株価上昇に追随する形で夏枯れ相場を返上し、サマーラリーの佳境に突入した株式市場。今後のマーケットをどう見るか、第一線で活躍する市場関係者2人に意見を聞いた。

●「秋口にかけ高値警戒感が台頭も」

笹木和弘氏(フィリップ証券 リサーチ部長)

 足もとの米株式市場は堅調で、S&P500種株価指数は半値戻しを達成してきた。この株価上昇の要因は、第1にはインフレ懸念が後退したこと、第2には米国の雇用は好調で景気は底堅いと株式市場は評価していること、第3には米国の4~6月期の業績は好調だったこと――などが挙げられる。特に、6月下旬からガソリン価格が下落したことが効いている面があるだろう。

 注目点は、この相場がベアマーケットラリー(弱気相場の一時的上昇)で終わるかどうかだ。テクニカル面では、株価がフィボナッチ指数(0.618)から弾いた戻り高値を抜くことができるかが焦点だ。NYダウでは3万4200ドル前後がこの水準にあたる。

 今後、相場は高値警戒感が台頭する展開もあり得るとみている。まず、今月25~27日にジャクソンホール会議が予定されており、そこでパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、市場の楽観的観測を修正することも考えられる。また、9月からは量的引き締め(QT)に絡み保有資産の削減上限額は倍増される見通しだ。エネルギー価格も、欧州の天然ガス問題などで上昇基調となる可能性もある。

 こうしたなか、今後1ヵ月程度のNYダウのレンジは3万1000~3万4500ドル前後を想定している。個別銘柄では、電気自動車(EV)の素材関連銘柄に注目しており、リチウムに絡むアルベマール<ALB>、銅関連のフリーポート・マクモラン<FCX>など。また、エネルギー関連で天然ガスに絡むセンプラ・エナジー<SRE>、原発のウランに関係するカメコ<CCJ>。更に生活必需品や生活防衛に絡み、食品スーパーのクローガー<KR>や保険のユナイテッドヘルス・グループ<UNH>などに注目している。


(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(ささき・かずひろ)
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家の傍ら投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・香港・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。

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