【特集】横山利香「令和時代の稼ぎたい人の超実践! 株式投資術」― (24)トレンドと転換のタイミングを知るために、一目均衡表を活用しよう!
横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)
◆ポイントさえつかめば、一目均衡表は使いやすくなる
もう一度チャートを見てみましょう(図3)。2021年12月1日に「転換線」と「基準線」がデッドクロスして売りサイン(図3の緑色の丸印)が表れた後に、「先行スパン1」と「先行スパン2」の位置関係が何度か入れ替わっていることがわかります。つまり、変化日が発生し、相場のターニングポイントとなる可能性を示唆しているのです(図3の赤色の丸印)。その後、実際に株価がどう動いたのかを見ると、株価はずるずると値下がりしていることが分かります。
図3 マザーズ指数 一目均衡表(日足)2021年10月~
では、株価が値下がりするのならば、投資家としては「落ちるナイフ」をつかむことなく、できるだけ安いところで買いたいものです。株価の下落がまだ続くのかは何を見て判断すればよいのでしょうか?
「先行スパン1」と「先行スパン2」に挟まれた緑色の抵抗帯である「雲」を参考にすればよいでしょう。「雲」の動きを見ると、株価に並行する形で右肩下がりに下落しており、しかもさらにだんだんと厚みを増していることが分かります。
一般に「雲」に厚みがある場合には抵抗力が強いとされ、厚みが薄い場合には抵抗力が弱いとされています。下げてきた株価が「雲」にぶつかったとき、その「雲」が厚ければ突き抜けて「雲」の下に出るのはそれだけ難しくなるということです。
株価が「雲」に跳ね返されずに、そのまま上から下に突き抜ける場合は、株価下落の勢いが強いことになります(同じように、株価が「雲」に跳ね返されずに、下から上に突き抜ける場合は、株価上昇の勢いが強いことになります)。つまり、「雲」自体が下落している上に、厚みがある場合には、それだけ戻り売りに押されやすい状況を表していますので、下降トレンドが終了する兆しはまだ見られないという風に考えることができます。
なお、一目均衡表には「三役逆転」という売りサインがあります。これは (1)「転換線」が「基準線」を上から下に抜き、(2)「遅行線」が26日前の株価を下に突き抜ける、そして(3) 株価が「雲」を下抜ける――この3つの条件が揃った状態にあることを指し、強い売りサインとされていますので、注意が必要です。
さて、底が見えないように思われる下落トレンドでも、株価はいずれ下げ止まります。チャートを見ると、株価が下げ止まりそうになってくると、22年5月13日に「先行スパン1」と「先行スパン2」の位置関係が入れ替わる変化日が表れます(図4)。株価は前日の12日に620ポイントの安値を付けた後、横ばい推移へと移行していきます。
これで底打ちかと思われたのですが、6月8日に「先行スパン1」と「先行スパン2」がクロスする変化日が再び表れます。株価は翌9日の700ポイントで戻り高値を付けて6月20日の年初来安値607ポイントまで下落していきます。ここから緩やかに上昇していきますが、厚い「雲」に跳ね返されてしまいました。厚い雲は戻り売りが大きいことを表しています。
図4 マザーズ指数 一目均衡表(日足)2022年4月~
その後、7月5日に「転換線」が「基準線」を上回るゴールデンクロス(GC)のサインが点灯。翌6日に「雲」の中に突入する状況になっています。現時点ではまだ厚い「雲」の下限辺りを推移している状況にあり、上昇に転じたと判断するのは時期尚早です。ただ、時間が経過すれば、いずれ株価が「雲」の上に抜け出してくる可能性も考えられます。
なお、一目均衡表には先に紹介した「三役逆転」と対をなす強い買いサインがあります。それが「三役好転」であり、(1)「転換線」が「基準線」を下から上抜き、 (2)「遅行線」が26日前の株価を上に突き抜ける、そして(3)株価が「雲」を上抜ける――この3条件が揃った状態を指します。現段階では、マザーズ指数はまだ(1)の条件を満たしたにすぎませんが(「(2)」の条件を完全に満たすまでもう一歩といったところです)、今後、この買いサインを形作ってくる可能性もありますので注意しておきましょう。もちろん、テクニカル指標が示唆するものは絶対ではなく、不測の事態などが生じれば、「雲」を再び下に抜けてさらに下落する事態もあり得るでしょう。
このように一目均衡表を使って、株価の方向性、トレンドを分析することはそれほど難しいことではありません。「雲」の方向(右肩上がり、右肩下がり、横ばい)と厚み、株価との位置関係を見るだけでも重要なヒントを得ることができます。買いサインと売りサインも比較的わかりやすいですし、なんといっても将来の変化日の訪れを予め知ることができるのは参考になります。
株式投資では右肩上がりに資産を増やせればよいわけですから、値下がりする株を無理して買う必要はありません。右肩上がりに上昇する株を買えばよいのです。株価の方向性=トレンドを把握でき、トレンド転換を時間軸から分析できる一目均衡表を活用することで、「高値掴み」や「落ちるナイフをつかむ」といったリスクを少しでも避けられるといいですね。
株探ニュース