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【特集】特区選定でいよいよ本舞台、未来を彩る「スーパーシティ関連株」総ざらい <株探トップ特集>

内閣府が公募していたスーパーシティ構想について、つくば市と大阪市が策定した提案が選ばれた。今後はデジタル技術などを駆使した取り組みが進められることになり、株式市場でも関心が高まりそうだ。

―大阪市とつくば市で実証実験、空飛ぶクルマや自動運転車、先端医療などへ夢膨らむ―

 政府は3月10日に開いた国家戦略特別区域諮問会議で、世界に先駆けて未来の生活を実現するための実証実験を行う「スーパーシティ」構想の対象地として大阪市と茨城県つくば市を指定することを決めた。岸田政権はデジタル技術の活用によって地域課題の解決を図る「デジタル田園都市国家構想」を掲げており、スーパーシティが牽引役となることが期待されている。足もとではロシアとウクライナの停戦交渉の行方や世界的な金利上昇傾向など気がかり材料は多いが、いよいよ動き出すスーパーシティの関連株をマークしておきたい。

●大阪市は2地域が舞台

 大阪府・大阪市が掲げるテーマは「データで拡げる“健康といのち”」で、2025年の大阪・関西万博の開催地である人工島「夢洲」と、関西経済の中心エリアに位置する梅田で開発中の「うめきた2期地区」の2つの地域が舞台となる。スーパーシティの実現は3段階に分けて行われる計画で、万博が開かれるまでのフェーズ1では夢洲開発における 自動運転車(レベル2)による作業員と工事資材などの貨客混載や ドローンを活用した高所への資材配送、人工知能(AI)を利用した作業員の健康管理などを行う予定。うめきた2期地区では、健康増進サービス、リアルとデジタルの融合空間の創造、ロボットによる施設管理などによって未来の公園を実現する。

 25年からのフェーズ2では、 空飛ぶクルマや自動運転車(レベル4)の社会実装に加え、大阪府と大阪市が万博会場に設置する「大阪パビリオン」で未来の診断や健康ケア、未来医療のサービスが体験できる見通し。万博後のフェーズ3では、遠隔医療や遠隔投薬、AIやロボットによる診療支援、再生医療などの先端医療サービスを国籍や場所を問わず、日常的に受けられる体制を整備するほか、多様なサービスが選択できる都市型MaaS(さまざまな移動サービスをひとつの交通手段として統合させたもの)の社会実装を目指すという。

●見逃せないアイデア応募企業

 現時点で関連銘柄を挙げるのは難しいが、大阪府・大阪市が昨年1月27日から2月26日にかけて行ったアイデア募集に応募した企業に注目してみたい。

 ジェイフロンティア <2934> [東証M]は、スマートフォンで診察・服薬指導・処方薬の当日宅配まで実施するメディカルプラットフォーム「SOKUYAKU(ソクヤク)」を提案した。これにより、患者はアプリひとつでいつでもどこでもかかりつけ医やかかりつけ薬局を受診することができるほか、オンラインで当日中に処方薬を受け取ることも可能で一人ひとりの医療がもっと身近になる未来を創造するとしている。

 ニューラルポケット <4056> [東証M]が提案した「カメラ×エッジAIを活用した実世界のデータ化及びデータ利活用」は、AIカメラによる実世界のデータ解析・取得とそれを活用した具体的なサービスを提案するだけでなく、そのデータを行政や他社に提供することで既存サービスの向上や新サービスの創出が行われやすい仕組みを構築し、都市のサービスが常に更新され続けるような街の実現を目指す。

 サイバーエージェント <4751> が提案した「オンライン服薬指導などのデジタルトランスフォーメーション(DX)推進によるオンライン診療の支援」は、健康な市民と国民健康保険税の支出削減のほか、オンライン診療の利用を契機にデジタルデバイド(情報格差)問題の解消が期待される。また、同社は「ロボット活用による接客人員の増強(観光・宿泊・飲食)」や「訪問者身分適格情報の住民通知サービス」なども提案している。

 スマートバリュー <9417> は、「Open-gov Platform(オープンガブ プラットフォーム):SDGsなどのサスティナブルをモニタリングするデータ連携都市OS」を提案した。これは、うめきたエリアの課題解決に必要なデータを集約し、モニタリングするためのOSを提供するもので、ヘルスケアデータをターゲットに集約・分析し、うめきたエリアのまちづくりと人々の健康づくりの因果関係を調査するという。

 このほかでは、日本工営 <1954> の「ドローン及び空飛ぶクルマ利活用プラットフォームと都市のデジタルツイン構築に向けたデータ基盤整備事業」、NECネッツエスアイ <1973> の「商業施設の活性化と省力化を目的とした完全無人化によるオーダリングシステム」、ジョルダン <3710> [JQ]の「チケットのデジタル化による地域周遊の促進」、カヤック <3904> [東証M]の「市民参加型パークシェアサービス」、ミネベアミツミ <6479> の「無線接続による道路灯の管理、制御及び配置された道路灯ネットワークの利用」、アシックス <7936> の「BLEタグ搭載シューズを活用した住民の健康増進・見守り・防災対策支援サービス」などが提案された。

●つくば市はアイサンテクなどと連携

 つくば市は「科学で新たな選択肢を、人々に多様な幸せを」をテーマとして掲げ、大胆な規制改革とともに先端的な技術とサービスを社会実装することで、科学的根拠をもって新たな選択肢を示し、多様な幸せをもたらす大学・国研連携型スーパーシティの実現を目指している。

 昨年1月にはスーパーシティの実現に向けて連携する事業者を決定しており、安藤・間 <1719> 、鹿島建設 <1812> 、アイサンテクノロジー <4667> [JQ]、楽天グループ <4755> 、三菱電機 <6503> 、NEC <6701> 、CYBERDYNE <7779> [東証M]、凸版印刷 <7911> 、丸紅 <8002> などが選ばれている。

●アイリッジ、エルテスなどにも注目

 これ以外のスーパーシティ関連銘柄として、子会社が三菱電とデジタル地域通貨事業及びスーパーシティ・スマートシティ事業で協業契約を締結しているアイリッジ <3917> [東証M]、昨年5月にチェンジ <3962> と連携してスーパーシティ向けサービスラインアップの強化に乗り出したヘッドウォータース <4011> [東証M]、昨年8月にスマートシティや自治体DXなど社会課題対応型ビジネスの推進を目的とした「スマートソサエティセンター」を設置したISID <4812> 、内閣府が20年12月から行った「スーパーシティ型国家戦略特区」対象地区の公募で12地方公共団体から主要な事業者の候補として選定された実績があるエルテス <3967> [東証M]などにも目を配っておきたい。


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