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【市況】【和島英樹のマーケット・フォーキャスト】 ─高まる経済再開の機運、テーマに乗る内需関連に注目!

株式ジャーナリスト 和島英樹

「高まる経済再開の機運、テーマに乗る内需関連に注目!」

◆23年3月期業績予想を占う日銀短観

 4月中旬までの東京株式市場は、値動きの荒い展開が想定される。日経平均株価は3月9日の2万4717円安値(終値ベース)を付ける過程でウクライナ危機、FOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ加速、原油など資源価格の高騰といった悪材料を相当程度織り込んだものとみられる。ただ、直近の戻りにはGPIF(年金積立金管理運用独立法人)など外国人投資家を含む大口運用機関のリバランスによる買いのほか、期末の配当取りや機関投資家の配当落ちに見合う先物買いの影響もあったとみられる。新年度ではこうした買いがはく落するほか、ウクライナ情勢などの外部環境に再度神経質になる可能性もある。
 
 4月中旬までの日経平均株価は2万6500円~2万9000円程度の値動きが想定される。
 
 注目スケジュールだが、まず4月1日の日銀短観(全国企業短期経済観測調査)がある。アンケートの回答期間がウクライナ危機、資源価格の高騰などが進行している時期と重なっており、経営者が企業業績や設備投資について現状や先行きに対してどう考えているかが注目される。先行きに懸念が多ければ、4月末から本格化する上場企業の本決算で、23年3月期の業績予想が慎重なものになることが想定される。なお、短観は全国の約1万社の企業を対象に、四半期ごとに日銀が調査を実施する。
 
 このほか、4月1日の米ISM製造業景況感指数、7日のFOMC議事録、12日の米消費者物価指数(CPI)、14日のECB(欧州中央銀行)の金融政策発表などがある。4月の最終週は国内の3月本決算が第一弾のピークを迎える。
 
 また、4月4日には東証の市場が再編され、これまでの東証1部、2部、マザーズ、ジャスダックが「プライム」、「スタンダード」、「グロース」として発足する。短期的な影響は既に織り込み済みだが、中長期的にはトヨタ自動車 <7203> 、ソニーグループ <6758> など時価総額が大きく、利益を継続的に伸ばす企業がアウトパフォームする可能性が指摘される。

◆急落したグロース株のリバウンド浮上も想定

 テクニカル的には日経平均株価は今年1月中旬以降、下向きの25日移動平均線が抵抗ラインとなっていたが、これを突破し、上向きに転じてきている。下値不安は限定的になったことを示唆している。バリュエーション面では日経平均株価が安値を付けた3月9日時点でのPER12.0倍、PBR1.10倍と、過去の安値圏と比べても底値圏を示唆するレベルとなっていた。
 
 物色面では、岸田首相が「Go To トラベル」について「適切な時期が来たら迅速に再開できるように準備を進めたい」と明言。新型コロナウイルスの感染者数が減少傾向にあることもあり、経済再開への機運が高まりつつある。外部環境の急速な好転が期待できない中では、内需関連はテーマにも乗りやすい。ANAホールディングス <9202> 、JR東海 <9022> などのほか、寮やビジネスホテルの共立メンテナンス <9616> 、ホテルや外食に展開するロイヤルホールディングス <8179> 、宴会場やホテルの藤田観光 <9722> 、土産物の寿スピリッツ <2222> なども有望視される。
 
 米国など主要国での金利の上昇傾向で利ザヤの拡大が期待される三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> 、三井住友フィナンシャルグループ <8316> 、みずほフィナンシャルグループ <8411> のメガバンクのほか、運用益の向上が見込める東京海上ホールディングス <8766> 、第一生命ホールディングス <8750> 、T&Dホールディングス <8795> などの保険株も有望だ。アイフル <8515> 、アコム <8572> 、ジャックス <8584> などのノンバンク株にも関心が向かう可能性がある。
 
 米国ではハイテク株比率の高いナスダック総合指数が安値からの戻りが10%超となり、「底入れ」を示唆している。日本でも下げがきつかったレーザーテック <6920> 、東京エレクトロン <8035> 、村田製作所 <6981> 、日本電産 <6594> などのグロース株のリバウンドも想定される。

(3月25日 記/次回は5月1日配信予定)

■和島英樹(Hideki Wajima)

株式ジャーナリスト
日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年にラジオNIKKEIに入社。東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。現在、レギュラー出演している番組に、ラジオNIKKEI「マーケットプレス」、日経CNBC「デイリーフォーカス」毎週水曜日がある。日本テクニカルアナリスト協会評議委員。国際認定テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。


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