【市況】米国株式市場見通し:CPIや主要企業決算に注目
主要インフレ指標の発表や引き続き主要企業決算に注目だ。パンデミックからの脱却に伴い大規模な金融や財政刺激策が解消されるにあたり、個別企業の業績内容がより重要視されることになるだろう。昨年のように全セクターが上昇を続けるような兆候は徐々に後退し、ある意味で相場もより正常化していくことになる。また、各国主要中銀が金融引き締めに転じる中、債券から株式相場への投資資金の流入は引き続き相場を支援するだろう。
連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として注目している指標のひとつで、燃料や食品といった変動の激しい項目を除いた消費者物価指数(CPI)コア指数の1月分は前年比5.9%増と、12月からさらに拡大し1982年10月以降40年ぶり最大の伸びを記録する見通し。FRBの物価目標2%を大幅に上回る。原油価格も92ドル台と7年ぶりの高値圏で推移している。サプライチェーン混乱の長期化に加えてロシア、ウクライナ情勢の緊迫化でエネルギー価格は当面高値を探る推移になると見られ、インフレ高進は簡単には収まりそうもない。石油関連のエクソンなどは原油高が奏功し好決算を発表しており、当面、エネルギー関連株は堅調な推移が期待できそうだ。
インフレ高進への対処で、FRBは12月連邦公開市場委員会(FOMC)からすでにタカ派に転換している。FRBは3月にテーパリングを終了したのち速やかに利上げに踏み切ると見られている。ただ、ソフトランディングを目指しゼロ金利からの50ベーシスポイントといった大幅な利上げは避けるだろう。株式相場も徐々に緩やかな金融引き締めを織り込んでいくことになるとみている。
経済指標では、12月貿易収支(8日)、1月CPI、週次新規失業保険申請件数(10日)、2月ミシガン大消費者信頼感指数速報値(11日)などが予定されている。
主要企業決算では、肉食品メーカーのタイソン・フーズ、バイオのアムジェン、不動産関連会社サイモン・プロパティー・グループ、(7日)、製薬会社のファイザー、メキシカンファストフードチェーンのチポトレ・メキシカン・グリル、フードサービスのシスコ、在宅フィットネス事業を展開するペロトン・インタラクティブ(8日)、配車サービスのウーバーテクノロジー、エンターテインメントのウォルト・ディズニー、ヘルスケアのCVSヘルス、ファーストフードレストランのフランチャイズを展開するヤムブランズ(9日)、飲料メーカーのコカ・コーラやペプシコ、デューク・エナジー、短文投稿サイトのツイッター、オンライン旅行サービス会社のエクスペディア、ウェブ上で不動産情報を提供するジローや衣料品メーカーのタペストリー(10日)などが予定されている。
ソーシャル・ネット・ワーキング関連のユーザー数が伸び悩む傾向が見られ、見通しに影響している。ツイッターの決算でも見通しには警戒だ。また、今まで巣ごもりによる需要急増で潤ってきたペロトン・インタラクティブはパンデミック収束による需要の大幅減から一時生産停止などにも追い込まれるなど、見通しを含め警戒が必要だろう。また、ウーバーテクノロジーは決算後、10日にはインベスターデーを開催する予定で注目だ。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ