【通貨】為替週間見通し:ドルは底堅い動きか、金融正常化への期待持続
米ドル/円 <日足> 「株探」多機能チャートより
【今週の概況】
■欧米金融引き締め観測でドル・円は下げ渋る
今週のドル・円は下げ渋った。週初に115円59銭まで買われたが、2月2日に発表された1月ADP雇用統計(民間部門雇用者数)は12月から30.1万人減少し、持続的な景気回復に対する懐疑的な見方が広がった。米国防総省がルーマニアとポーランド、ドイツに部隊を派遣すると発表したことも嫌気され、ドル・円は114円16銭まで弱含みとなった。
しかしながら、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は3日に開かれたECB理事会の終了後に行われた会見で、「インフレ見通しのリスクは上向き、経済はECBの中期目標達成に近づいている」との見方を伝えたことや、年内利上げの可能性を排除しなかったことから、ユーロ買い・円売りが活発となった。この影響でドル・円の取引でもドル買い・円売りが優勢となった。
4日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時115円43銭まで買われた。この日発表された1月米雇用統計で非農業部門雇用者数は市場予想を上回り、過去2カ月分の雇用者数も上方修正されたことから、米長期金利は上昇し、リスク選好的なドル買い・円売りが優勢となった。ドル・円は115円18銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:114円16銭-115円59銭。
【来週の見通し】
■ドルは底堅い動きか、金融正常化への期待持続
来週のドル・円は底堅い値動きか。米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締めへの期待は持続しており、2月4日の米国債券市場で長期金利は上昇した。金融正常化への思惑は後退していないため、高インフレに対応するための利上げを想定したドル買いがただちに縮小する可能性は低いとみられる。来週発表される1月消費者物価指数などのインフレ指標が市場予想と一致するか、上回った場合、米国の金融引き締めを後押しする手がかりとなろう。
英中央銀行は追加利上げに踏み切ったほか、欧州中央銀行(ECB)は域内のインフレ高進に警戒感を示すなど、タカ派的なスタンスを示した。米国、欧州、英国の金融当局は金融緩和縮小に向かっているが、日本銀行は現行の大規模な金融緩和策を長期間維持する可能性がある。欧米諸国と日本との金利差拡大が想定されていることも、ドル・円相場に対する支援材料となりそうだ。
【米・1月消費者物価指数(CPI)】(10日発表予定)
10日発表の米1月消費者物価コア指数(CPI)は、前年比+5.9%と上昇率は昨年12月実績を上回る見通し。インフレ率が市場予想を上回った場合、金融正常化への期待につながりやすい。
【米・2月ミシガン大学消費者信頼感指数】(11日発表予定)
11日発表の米2月ミシガン大学消費者信頼感指数は67.5と、1月の67.2から小幅な上昇が予想される。低水準ながら回復傾向を維持できれば成長持続への期待から株式相場を支える要因に。
予想レンジ:114円00銭-116円50銭
《FA》
提供:フィスコ