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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─外資を引きつけるか東京市場

株式評論家 植木靖男

「外資を引きつけるか東京市場」

●日本が輝きを取り戻す「ラストチャンス」?

 日経平均株価は1月下旬、2万6000円割れも必至とみられたが、これを跳ね返し、2万7500円処と戻り相場の最初の肝となる水準にまで戻した。しかし、その後は再び下がり、すんなりと関門突破とはなっていない。

 ここを突破すれば、上方にある第2の肝は2万8200円処だ。さて、どうなるのか。

 ところで、俗謡にある「二つよいこと、さてないものよ、月が漏るなら雨が漏る」を思い起こすが、いまの新型コロナウイルス対策と景気対策が両立はしないということ、これは歴史上、疫病を巡る人間社会が抱える変わらぬ原則である。だが、人間とは弱いもの、原則に逆らうかのように二兎を追い続ける。

 依然として視界が不透明ななか、2月3日付の日本経済新聞のコラム「大機小機」に今後の日本経済に光明を見出すかのような論評が載った。

 この数十年間、日本経済は低成長に甘んじてきた。同コラムでは「労働生産性は主要先進国中の最下位を続け、経済の潜在成長率はゼロ%台前半まで落ち込んだ。」「設備投資は低迷し、賃金の上昇もない。」と指摘する。賃金はお隣の韓国に追い抜かれ、この分ではいずれ高成長を続けるベトナムやインドにも追い越されて、日本は先進国から脱落してしまう。この間、欧米先進国は設備投資を積極的に行い、技術革新に挑んできた。一方、日本の企業はせっせと資金を蓄え、「内部留保は480兆円を超え、9年連続で過去最高を更新した」。

 その日本で「経営者の間で課題とされるデジタル化、脱炭素化への思い切った投資で少子高齢化に対応し、労働生産性を向上させ、企業を成長軌道に乗せる最後のチャンスだとする認識が広がっている」としている。同感である。欧米先進国がインフレで苦悩しているいま、今度は日本がこれを実行し得るかどうかだ。

●商品市況関連株が反発相場の次の柱に
 
 さて、直近の株式市場を眺めると、日本の株価が先行して、その動きを見て欧米先進国の株価が騰落しているかのようにみえる。いま世界の国々で金融引き締めが強化される段階にあるなか、先進国では日本のみ金融緩和政策を維持している。どうやら、世界の投資資金が日本市場に目を向ける日も近いのではないか。

 では、目先の展開はどうなるのか。上振れしたときの肝については上述した通りだが、いまの水準から今後のコースを推測すると3通りある。

 一つは、このまま上昇していく肝破りとなるコースである。

二つめのコースは、下値不安がなお続き、1月27日に付けた2万6044円の安値を下回って2万5000円台へと落ち込むコースだ。まずは2万7000円処を一気に抜け下方に向けて急落することになる。

 最後のコースは当面、決定的な騰落をみせず、上値2万8000円処、下値2万6000円処のゾーン内を推移する展開だ。年初からの下落の中で中段もみ合いに終始するパターンである。

 いずれのコースを辿るかは、欧米の金融引き締め政策、世界的なオミクロン株の感染状況、さらには緊迫化するウクライナ情勢などの行方次第といえよう。

 当面の物色の対象だが、ここへきての最初の反発では下げすぎの反省から、大きく落ち込んだグロース株の買い戻しから始まった。その後は決算発表シーズン入りに伴って好業績のグロース株、例えばアップル<AAPL>などへの物色が続いた。次はどうか。原油を中心に非鉄など国際商品市況が強含んでいるところから、商品市況関連株ではないか。

 だとすると、鉄鋼では東京製鐵 <5423>に注目したい。今期大幅増益の見通しながらPERは4.7倍だ。化学では同じくPER6.2倍、利回り4.28%の東ソー <4042> も割安感が強い。

 最後に金融関連株も目が離せない。銀行からはやはり三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> 、手堅くいくのなら第一生命ホールディングス <8750> か。

2022年2月4日 記

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