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【特集】ヒガシ21 Research Memo(5):2021年3月期は計画超の営業・経常増益で過去最高を更新

ヒガシ21 <日足> 「株探」多機能チャートより

■業績動向

1. 2021年3月期の業績概要
ヒガシトゥエンティワン<9029>の2021年3月期の連結業績は、売上高が前期比2.7%減の24,436百万円、営業利益が同2.6%増の1,022百万円、経常利益が同22.0%増の1,287百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同3.6%減の666百万円となった。また、2020年10月30日に上方修正した予想に対しては、売上高で4.0%、営業利益で5.7%、経常利益で22.7%、親会社株主に帰属する当期純利益で25.3%上回って着地した。

売上面では、2020年3月期のWindows10への切替に伴うPC関連特需の反動に加え、コロナ禍により自動車生産減速等に伴う輸送需要減少や緊急事態宣言発出に伴うオフィス移転・レイアウト変更の中止・延期等があったものの、ビルデリバリー事業での新規案件獲得、倉庫事業でのe-コマース向け業務の通期稼働、インフラ会社の資材運搬拡大、GIGAスクール構想に伴うPCキッティング業務受託など積極的な業容拡大に努めた結果、前期比微減の水準を確保した。利益面では、営業利益及び経常利益で過去最高を更新した。残業・旅費・消耗品などの経費削減や好調営業所への人員シフトによる業務効率改善という収支構造改善と成長のための人員・車両投資を同時に行った結果、売上総利益率は前期比1.5ポイント上昇の20.7%となり、投資費用を含んだ販売費及び一般管理費は同1.3ポイント上昇の16.5%となり、営業利益率は同0.2ポイント上昇4.2%となった。経常利益については、営業外収益である助成金収入213百万円が寄与した。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に計上した投資有価証券売却益184百万円の剥落や特別損失240百万円の計上により微減となった。

2. セグメント別動向
(1) 運送事業
運送事業の売上高は前期比6.2%減の16,277百万円、営業利益が同8.5%減の1,679百万円となった。輸送サービス事業は、コロナ禍の影響による自動車生産減速等や主要顧客である機械メーカーや飲料メーカーからの受注減少により、輸送需要が減少した。オフィスサービス事業は、前期の大手顧客による特需案件の反動に加えて、緊急事態宣言発出に伴うオフィス移転・レイアウト変更の中止・延期等の影響を受けた。一方、ビルデリバリー事業は、新規案件獲得(HAREZA池袋、神谷町トラストタワー)が寄与し伸長した。また、メールサービス事業も順調に獲得した。ITサービス事業は、前期のWindows10移行に伴う入替特需の反動があったものの、GIGAスクール構想に伴うPCキッティング業務受託など積極的な業容拡大に努めた。

(2) 倉庫事業
倉庫事業の売上高は前期比9.9%増の6,347百万円、営業利益は同34.1%増の876百万円となった。e-コマース大手からの庫内業務受注やインフラ会社の資材運搬拡大により伸長した。

(3) 商品販売事業
商品販売事業の売上高は前期比10.3%減の571百万円、営業利益は同9.6%減の10百万円となった。前期のWindows10移行に伴う入替特需の終了及びコロナ禍の影響を受けて大口得意先に対するPC販売が減少した。

(4) ウエルフェア事業
ウエルフェア事業の売上高は前期比0.9%増の891百万円、営業利益は同1812.2%増の129百万円となった。福祉用具レンタルにより売上が増加した。また、拠点統廃合により人件費等が減少したことにより増益となった。収益構造改革の成果が出て、収益改善が進んでいると言える。

(5) その他
その他の売上高は前期比25.0%減の348百万円、営業利益は同68.9%減の21百万円となった。PCキッティング作業等のスポット案件が終了したことにより、減収減益となった。

3. 財務状況と経営指標
2021年3月期末の資産合計は前期末比472百万円増加の15,811百万円、負債合計は63百万円減少の6,897百万円となった。資産では営業未収入金、差入保証金などが増加し、負債では未払法人税等や長期借入金などが減少した。また、純資産合計は536百万円増加して8,913百万円、自己資本比率は1.8ポイント上昇して56.4%となった。なお、営業活動によるキャッシュ・フローは継続してプラスを維持している。これらの結果、財務の健全性は良好と言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《YM》

 提供:フィスコ

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