【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 株価にとって4~6月は最良の環境か
株式評論家 植木靖男
「株価にとって4~6月は最良の環境か」
●株価の上値を押さえるコロナ再拡大
東京市場は、ここへきて一段と消化不良を募らせるような展開をみせている。3万円大台になんとかザラバで乗せたものの、引けでは後退。4月12日以降はザラバですら大台に乗ることはなくなった。それでも、生命線とみられる12日終値2万9538円を割り込まず、必死で持ちこたえようとしている姿はいじらしい。強弱感の対立は12日以降、鯨幕相場が続いていることからもうかがわれる。
こうした不安定な展開をみせる要因は何か。それは13日の値動きにはっきり出ている。当日、前場順調に上げ足をみせていたが、午後に入って急速に伸び悩んだ。それは大阪のコロナ新規感染者数が初の1000人を超えたとの速報によるもの。この一件でコロナ感染が、はっきりと株価の懸念材料として見なされることになった。
同時に、新型コロナワクチンの接種が欧米先進国に比べ周回遅れであることに気づかされた。米国ではワクチン接種が進み、このため経済活動が急速に正常化し、ここへきて景気指標の好調ぶりが伝わっている。株式市場はこれを評価し同国株価の代表とも言えるS&P500は史上最高値を更新している。
わが国との彼我の差は大きい。どこに差があるのか。政治力、技術力など、要は国力の差だ。もはやワクチン一つとっても、わが国はいつの間にかかつての先進国から中進国に陥落していたのだ。国力の強さは平時ではなく、有事の際に明らかになるものなのだ。
とはいえ、当面は米国に頭を下げてワクチンを融通してもらい、なんとか周回遅れでついて行くことになる。
●グロースが主役であることは変わらない
米国株価はいつまで上昇をたどるのか。市場の最大の関心事だ。米国で主要3指数が揃って史上最高値を更新することになると、やや気掛かりだ。いま米国で最大のリスク要因はテーパリング、つまり金融緩和の縮小である。IMF(国際通貨基金)は、今年の米国のGDP成長率をなんと6.3%としている。こうした中で、積極的な金融財政政策で過剰流動性ジャブジャブというのは普通に考えれば不合理であろう。米国セントルイス連銀のブラード総裁は、金融緩和縮小を検討する条件としてワクチン接種率が75%に達することとしている。おそらく、7~9月期が主戦場となろう。それまでは安心できる。“鬼の居ぬ間のなんとやら”である。この4~6月は市場にとって最良の環境、株高が続くのではないか。
さて、そうだとすると、物色の流れをどうみるのか。天井圏に近づくほど、指数のETFが優位性を増すのは万古不易の原則である。
だとしても、指数売買は面白くないという投資家は多い。勝っても勝った気がしない、あるいは“やったー”という感触が乏しいという。
であれば、個別銘柄ということになるが、昨年3月からの上昇相場が天井をまだ打っていないというのであれば、グロース株が主役であることには変わりはない。景気敏感株が主役になるのはまだ先であろう。
これらを念頭に置いて、まず業績が良いのに大きく下げた銘柄からメディカル・データ・ビジョン <3902> に注目したい。保有する診療データベースは実患者数が3500万人を超える。25年に医療情報を一元化するのが目標だ。今期も増収増益を見込み、しかも増配予定だ。
次にブイキューブ <3681> だ。オンラインイベントの利便性は大きく、イベントの運営まで担うのが特徴だ。今12月期営業90%増益と高成長が続く見込み。好業績だけに戻り足も早いか。
最後にアサヒホールディングス <5857> だ。NY金価格は米国長期金利の一服で、ついにダブル底を形成し、再反騰態勢に入ってきたようだ。注目したい。
2021年4月16日 記
株探ニュース