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【特集】「パワー半導体関連」躍動へ、爆進トレンド突入前夜の6銘柄・大選抜 <株探トップ特集>

世界的に半導体市場が拡大基調を強めるなか、「脱炭素時代」のキーデバイスとしてパワー半導体がにわかに存在感を高めている。ここから要注目の関連銘柄を追った。

―EV時代のキーデバイス、巨大市場をバックに半導体全盛相場の新たな潮流を形成―

●半導体需要に拍車をかけた新型コロナ

 空前の特需に沸く半導体業界。株式市場でもこれが強く意識される形で関連銘柄に波状的に投資マネーが押し寄せている。車載向けを中心に圧倒的に半導体が不足している状況において、バイデン米政権は半導体のサプライチェーン強靱化に本腰を入れて取り組む意向を示し、国内生産能力を高めることに意欲を燃やしている。今週末、ワシントンでの菅義偉首相とバイデン大統領との日米首脳会談(現地16日)にマーケットの視線が集中しているが、そこでも半導体を巡る供給網の連携が議題のひとつに上がっている。

 昨年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあって、年前半は半導体需要の停滞を余儀なくされたが、その反動が秋口から顕在化した。米国や中国をはじめ自動車販売が想定外の急回復を示したほか、高速通信規格5Gの商用サービス本格離陸に伴い、その通信環境に対応したスマートフォン、いわゆる5Gスマホの売れ行きが絶好調となった。また、コロナ禍で企業のリモートワーク導入が加速し、パソコンなどの通信機器の販売が急拡大、加えて情報処理量が膨張したためデータセンター需要も増勢を極め、これらすべてが半導体需要を押し上げる背景となった。

●米中対立のあおりで半導体不足が加速

 そして、米中摩擦の影響も大きい。政治的な対立を背景に欧米の半導体メーカーは生産委託先として、元来中国メーカーに発注する分を台湾のファウンドリー(半導体受託生産事業者)最大手のTSMCなどに付け替えた。当然ながら生産能力には限りがあり、増産が間に合わず、結果として需要先として優先順位の低い自動車向け半導体が不足する事態に陥った。先ごろTSMCが3年間で約11兆円の大型設備投資を明らかにしたが、それにもこうした伏線があった。

 今後、米中対立は一段と先鋭化しそうで、今対策を打たなければ、自動車業界に限らず情報通信産業も多大なデメリットを被る可能性がある。更に、半導体供給網に支障をきたした状態が続けば、軍事など安全保障面から国益を損なう懸念も否定できなくなるため、米国も焦らざるを得ない。バイデン大統領は2兆ドルを超える巨額の成長戦略投資を打ち出したが、そのうち約6500億ドルをこの半導体サプライチェーン整備などのデジタルインフラに注ぎ込む。これは景気対策という側面にとどまらず、対中安全保障の一環でもあるのだ。

 こうした経済的・政治的背景は株式市場でも投資マネーを強く刺激している。半導体及びその周辺セクターに位置する銘柄群にはおのずと物色の矛先が向きやすくなっているが、個別株ベースでの資金シフトはあっても関連銘柄の裾野は広く、流れそのものは変わらない。今後も「半導体 」が投資対象のキーワードとなる時間帯は長く続くだろう。

●パワー半導体分野から“新星”登場の予感

 そのなか、にわかに注目度が高まっているのが「パワー半導体」関連株だ。これまでの半導体相場のリード役を担った東京エレクトロン <8035> やレーザーテック <6920> に続くニュースターが登場してくる可能性がある。

 パワー半導体(パワーデバイス)とは、ひとことで言えば電子機器へ電力を供給したり制御したりする役割を担うデバイス。データを扱うメモリーなどとは異なり、半導体の中でも1ワット以上の電力を扱うもので、モーターの駆動や交流と直流の変換など、いわば“力仕事”を行う。あらゆる電子機器は電源回路を搭載しており、そこには必ずパワー半導体が存在しているといってもよい。

 日本は技術先進国として名を馳せ、半導体メモリーでも一世を風靡したのだが、今や往時の面影はない。NEC・日立のDRAM統合会社エルピーダメモリは既に二束三文で米マイクロンテクノロジーに取り込まれ、最後の砦は旧東芝メモリであるキオクシア。それも買収思惑に晒され、直近、東芝本体も含めた“丸ごとM&A”の動きが株式市場でも話題の中心となっているのは周知の通りだ。

 しかし、パワー半導体分野においては事情が違う。日本は世界でも屈指の存在感を示しており、独インフィニオンや米オン・セミコンダクターには及ばないとはいえ、すぐその後ろを三菱電機 <6503> や富士電機 <6504> などの大手重電メーカーが追っている。現在、グローバルベースのパワー半導体売上高ランキングで、日本企業は上位10傑に5社がランクインする状況にある。パワー半導体はカスタム性が高く参入障壁の高さが特徴であり、現在の日本勢の優位性はそう簡単に揺らぐことはない。

●脱炭素・EV時代に脚光浴びるパワー半導体

 そして、このパワー半導体が脱炭素時代を迎えるなかでにわかに存在感を浮き彫りとしている。太陽光発電電気自動車(EV)などの新規分野向けで高水準の需要が発現しているからだ。400兆円ともいわれる超巨大マーケットである自動車市場は、カーボンフリーの流れのなかでガソリン車からEVへのシフトはもはや不可逆的であり、それだけにEV市場の伸びしろは超特大といってよい。その際、パワー半導体はEVのモーターを駆動させるインバーターはもちろんのこと、充電回路、始動発動機など、極めて広範囲に必須のデバイスとなっている。中長期的に膨大な需要が発生することは想像に難くない。

 最近では富士電機がEV向け需要の取り込みを狙ってパワー半導体関連の投資計画を1年前倒しすると報じられ、株価を大きく動意させた経緯がある。また、直近15日には三菱電がパワー半導体を製造するパワーデバイス製作所(福岡市西区)に「開発試作棟」を建設することを発表。これもEV向け需要の拡大に対応したものだ。

●SiCやGaNなど新分野開拓も進む

 パワー半導体分野では従来のシリコン半導体に加え、新たにSiC(炭化ケイ素)製デバイスやGaN(窒化ガリウム)製デバイスなど化合物半導体に光が当たっている。これらのデバイスは耐圧・耐熱性に優れ、パワー半導体の使用環境に適合しているため市場のニーズもかなり強い。結晶コストが非常に高いことが普及の妨げとなっているが、低コスト化への取り組みと合わせ量産化に向けた動きが三菱電などをはじめ一部で出始めている。このほか、高性能かつ結晶コストがシリコン並みに抑えられる酸化ガリウム製デバイスが、SiCやGaNに続く第3世代パワー半導体として頭角を現しており、製品化に向けた研究開発が進んでいる。

 脱炭素時代のキーデバイスとして市場を急成長させる可能性が高いパワー半導体は株式市場でも今後強力な投資テーマとして浮上する公算が大きい。関連株としては前述の三菱電や富士電機、東芝の重電御三家のほか、SiC結晶成長基板で国内トップの昭和電工 <4004> やSiC結晶メーカーの独サイクリスタルを傘下に収めたローム <6963> 。更にデンソー <6902> や住友電気工業 <5802> なども注目される。

 そして今回のトップ特集では、パワー半導体のテーマ買い対象として、株価の居どころを大きく変える可能性を内包した有望6銘柄を厳選エントリーした。

●大相場の夢を乗せた有望6銘柄をチョイス

【三社電機製作所】

 三社電機製作所 <6882> [東証2]は半導体モジュールや電源デバイスを主力展開するが、金属表面処理用電源では国内トップシェアを誇る。パワー半導体ではSiCパワーモジュールを、筆頭株主であるパナソニック <6752> と2015年に共同開発するなど連携体制にあり、昨年11月には小型で長期信頼性に優れたSiC-MOSFETモジュールのニュータイプを新規開発するなどそのラインアップ拡充も進んでいる。業績は21年3月期営業利益段階で前の期比17%増の3億円を見込む。利益水準的にはまだ回復は緩慢だが、解散価値を大幅に下回る0.6倍台のPBRは水準訂正妙味が大きい。株価は800円台前半のもみ合いを上放れ新局面入りを示唆している。

【タムラ製作所】

 タムラ製作所 <6768> はトランス(変成器)やリアクターのほか、はんだ材料や導電性材料などの電子化学材料の製造を手掛ける。高度な技術力で、車載やIoT市場で活躍の場を広げている。同社の技術を切り出して設立したベンチャー企業がβ型酸化ガリウムパワー半導体の開発で先駆しており、画期的な消失電力の低減とウエハーコスト抑制の実現で新境地を開く。業績面では21年3月期は大幅営業減益が避けられない見通しながら、ここで底入れとなる公算大。産業機器向け電子デバイスの需要復活を背景に22年3月期営業利益は前期比倍増の30億~35億円前後と急回復が期待できる。株価600円台から上は滞留出来高が希薄化しており上値も軽くなる。

【トレックス・セミコンダクター】

 トレックス・セミコンダクター <6616> はアナログ電源ICやパワー半導体の製造販売を手掛け、車載向けや産業機器向けで幅広い顧客需要を捉えている。省電力回路、実装基板の縮小化、低発熱のパワーデバイスを推進し、脱炭素に向けた取り組みを加速させている。業績は21年3月期に営業利益段階で前の期比33%増の9億円を見込むが、最新の中期経営計画では23年度(24年3月期)に営業利益30億円、25年度(26年3月期)に同40億円を数値目標に掲げている。株価は年初来高値圏をまい進しているが、時価は昨年1月の高値も上回り、17年11月以来約3年半ぶりの高値水準にある。当面はこの時の高値2150円奪回が意識される。

【東京エレクトロン デバイス】

 東京エレクトロン デバイス <2760> は半導体商社で東京エレクトロン <8035> が約34%の株式を保有する筆頭株主。国内大手電機メーカーのほか、米TIなど海外の半導体大手との取り引きでも実績が高い。パワー半導体はパワーモジュールのトップメーカー独セミクロンや半導体大手インフィニオンの製品を扱い高水準のニーズに対応している。21年3月期は最終利益段階で前の期比18%増の27億円を見込むが増額含みで、なおかつ22年3月期も2ケタ利益成長が有力とみられる。株価は今月9日に4695円の上場来高値形成後、ひと押し入れているが、信用買い残など株式需給面も軽く、早晩切り返し最高値街道に復帰する公算が大きい。

【芝浦メカトロニクス】

 芝浦メカトロニクス <6590> は半導体向けエッチング装置やチップボンダーなどで競争力が高い。ロジックファウンドリー向け、メモリー向けいずれもメーカーの生産設備増強の動きを背景に事業環境にフォローの風が強まっている。また、パワー半導体の裏面電極形成やUBM(Under Bump Metal)、多層膜形成に使われる半導体用スパッタリング装置も製造している。業績は22年3月期に回復が本格化する公算が大きい。株価は昨年11月以降に上げ足を一気に強めてきたが、PERは依然として13倍台。時価はリーマン・ショック前の08年6月以来約13年ぶりの高値圏にあり、実質的に青空圏を走る展開で戻り売り圧力は限定的だ。

【サンケン電気】

 サンケン電気 <6707> はパワー半導体大手で、電装化の進む自動車をはじめ産業機器や家電、そのほか付加価値の高い製品を世界的に供給している。独立系電機メーカーだが、2月に投資会社のエフィッシモが純投資目的でTOBによる同社株の買い増しを発表、市場の耳目を驚かせた。時価はその時のTOB価格5205円を若干上回る水準で推移しているが、先高期待は強い。パワーモジュールは白物家電向け依存度を低め、車載用や産業機器向けに重心を置く方針。21年3月期業績は営業損益段階で29億円の赤字予想と低迷しているものの、22年3月期は車載用需要を取り込み、20年3月期の実績(43億円)を上回る水準までV字回復の可能性がある。

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