【市況】【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 上放れの準備は整いつつある!
株式アドバイザー 北浜流一郎
「上放れの準備は整いつつある!」
●動かぬ株価にイライラ募る日々だが…
人間は身動きできない状態にどれほど耐えられるか。いまはこんな実験に参加させられている気分だ。
なぜ、こんなことを言い出すのか? もちろん、東京市場が高値保ち合い=横横(ヨコヨコ)の動きを続けているからだ。それは4月7日から始まり、この原稿を書いている時点で8日(売買日数で)続いていることになる。
正直、8日は長期とはいえない。しかし、投資している立場からは8日は耐えがたいほど長く思える。そのため、イライラ感が増す日々になっているのだが、ここは耐えるしかない。
それに、実は昨年12月にはもっと長期に及ぶ保ち合いがあったのだ。その時は20日に及んだ。年末年始のコロナ感染拡大観測に対する警戒感と、米バイデン政権が市場にとって歓迎できるものであるのかを見極め難かったからだ。では、今回の“横横”の要因はなにか。
改めて説明するまでもなく、コロナの感染再々々々……拡大に対する不安と懸念、さらには変異種への恐怖感によるものだ。いまや命綱ともなっている新型コロナワクチンの接種が進めば、まだ不安感、懸念、恐怖感も薄らぐのだが、接種はごく一部の地域で始まっているにすぎない。私が住む横浜では高齢者に対する接種が始まっているという話はまだ聞かない。
こんな状況では、買い手掛かりが見当たらない。こうなってしまうのだが、実は意外な材料がある。昨年末の20日に及ぶ保ち合い状態から上放れた時は、日経平均株価が25日移動平均線にサポートされた形になったことで底堅さが確認されて、浮上に転じた。
現在も同様に、日経平均はすでに5日・25日線にサポートされている。だから、ここからはもう下げないとまでは断言できないものの、上放れの準備は整いつつあると見てよい。
●25日線サポートに跳躍うかがう銘柄に注目
では、何に投資したらよいか。もちろん、日経平均と同様に25日線に支えられている銘柄となる。
具体的には、まずは日本郵船 <9101> になる。今年になって堅調そのものといった動きとなっていたが、ここにきて日経平均と同様に失速、押しを入れている形だ。世界経済の復活基調を背景に荷動き活発であることを考えると、再起は近いと見る。
経済は果たして立ち直れるのか、との疑問の声が聞かれるようになっているが、懸念は一時的なものに終わる可能性が高く、今後は廃棄物処理の仕事も多くなるだろう。この点からは廃棄物の運搬、廃棄、処理ビジネスに強いミダック <6564> が魅力的だ。東海地域を地盤にしているが、首都圏への進出に積極的な点も評価できる。
半導体関連株も休みなく上昇するわけではなく、25日線まで後退した銘柄もある。東京精密 <7729> やSUMCO <3436> だ。前者は精密計測技術を生かして半導体製造装置に展開、ウエハーテスト用では世界首位だ。後者は半導体ウエハーで世界首位級ながら、いまは調整中となっているため、25日線の上で推移しているところでの投資を考えたい。
3月末に高値をつけたものの、4月に入って急落してしまったKeePer技研 <6036> も4月7日から明らかに回復に転じ、25日線に沿って次第に水準を高めている。それでも、まだ3月31日につけた高値2530円には届いておらず、これからクリアに向けた動きが期待できる。
最後に25日線とは関わりのない銘柄を。富士フイルムホールディングス <4901> になる。この会社は3月末に、古森会長兼CEOの退任と後藤取締役の社長就任を発表した。古森CEOは富士フイルムにとって、写真業界がフィルムを使わなくなった危機を乗り切った中興の祖とも言うべき存在。そんな偉大ともいえる存在が経営から身を引くことで、今後の経営は大丈夫だろうかと懸念された。しかし、株価は大きく下げたりはしなかった。ただ、先週末は少し下げたので、この浅押しを見逃さないようにしたい。
2021年4月16日 記
株探ニュース