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【特集】新型コロナ感染第4波へ警報、日増しに高まる「日の丸ワクチン」待望論 <株探トップ特集>

新型コロナ感染第4波への懸念が深まるなか、国産ワクチン誕生を待つ声が高まっている。遅れをとる日本勢だが、待望の国産ワクチンへの期待は大きい。

―先行する海外メーカー、国産ワクチン誕生へ向けひた走る日本勢のいま―

 2月17日、国内における新型コロナウイルスのワクチン接種がスタートした。しかし、欧州連合(EU)の輸出規制もあり、ファイザー製などワクチンの供給は不安定だ。やはり最大の問題は“外国頼み”の状況にある。待望の国産新型コロナワクチン の開発はどうなっているのだろうか。新型コロナ感染第4波への懸念が深まるなか、ワクチンの開発状況、そして関連株のいまを追った。

●「ワクチン国産化、早急に」

 小池百合子東京都知事は3月19日の会見で、「安全保障という観点から、少なくともワクチンの国産化は、早急にやってほしい」と述べるなど、「日の丸ワクチン」待望論は日増しに高まっている。2度目となる緊急事態宣言が解除されるのと時を同じくして、陽性者の数が急速に増加しており、今後の感染拡大への不安は大きい。しかし、感染を抑制する手立てとしては、ワクチンが行き渡らないいま自粛など個人の感染予防意識に頼らざるを得ないのが実情だ。頼みの新型コロナワクチンは、きょうファイザー製の第7便(最大70万人分)が到着したが、不安定な供給体制に変わりはなく、この窮状を打開するには国産ワクチンの誕生を待つしかない。

●歯がゆい状況続く

 株式市場では、新型コロナワクチンの普及で経済活動の正常化期待が株価を後押しし、2月には約30年半ぶりとなる日経平均3万円大台を奪回した。しかし、またもや欧州で感染が拡大しており、経済活動の制限が広がっていることから世界経済の回復が遅れるとの懸念が台頭している。日本も感染第4波の入り口に立たされているが、新型コロナと対峙するための最善の武器であるはずの国産ワクチンを保有していないだけに歯がゆい状況が続く。株式市場でも国産ワクチンへの関心は高いが、コロナ禍にあって開発を進める製薬メーカーの足もと業績は決して良好とはいえない。ただ、待望の国産ワクチン誕生を担うだけに、開発メーカーへ向ける投資家の視線は熱い。

●塩野義は一歩リード

 こうしたなか、新型コロナワクチン開発でトップランナーの一角として注目を集めているのが塩野義製薬 <4507> だ。国立感染症研究所、グループ会社のUMNファーマとともに開発を進め、昨年12月には第1/2相臨床試験を開始しており、今年末までに3000万人分の生産体制構築を目指す。同社のワクチンは、UMNファーマが有するBEVS(昆虫細胞などを用いたタンパク発現技術)を活用した遺伝子組換えタンパクワクチン。会社側では「生産体制の構築や開発は順調に進んでいる」(広報)と話しており、国産ワクチン誕生への期待は膨らむ。

 同社の21年3月期通期業績は営業利益を前期比5.9%減の1229億円を見込む。株価は昨年6月に7183円で昨年来高値をつけたあと調整し、10月には4761円まで売り込まれたが、ここにきては6000円水準でもみ合っている。複数の報道で、大規模治験が難しく年内の供給は困難と伝わっている点には留意が必要だが、いずれにせよ国産ワクチン開発に向けては一歩リードしているといえそうだ。

●明治HD傘下のKMバイオ、第一三共は第1/2相臨床開始

 新型コロナワクチンの開発で欧米に遅れをとる日本勢だが、ここにきて第1/2相臨床試験開始が相次いでいる。3月22日には、明治ホールディングス <2269> 傘下のKMバイオロジクスと第一三共 <4568> がそれぞれ第1/2相臨床試験を開始したと発表。

 KMバイオロジクス製は不活化ワクチンで、大量に培養されたウイルスや細菌からウイルス粒子や細菌の菌体を集め精製した後、感染力や毒力を失くした病原体やその成分で作ったワクチン。日本で使用されている不活化ワクチンにはインフルエンザワクチンなどがあり、長年の使用実績がある。今回の第1/2相臨床試験を速やかに終え、年内の第3相臨床試験実施に向け準備を進めていくとしている。また、19日には国内で製造販売承認申請中のアストラゼネカの新型コロナワクチン製剤化の開始を発表している。

 第一三共製は、同社の新規核酸送達技術を用いたmRNAワクチンで、東京大学医科学研究所と連携して研究開発を進めている。同社も12日に、アストラゼネカの新型コロナワクチンの製剤化スタートを発表。第一三共とKMバイオロジクスはそれぞれ2月に、アストラゼネカとワクチンの製剤化に関して委受託契約を締結していた。アストラゼネカのワクチンを巡っては、副反応や治験が不完全との報道もあるが、有効性に問題はないとされており、供給不足に悩む日本にとって製剤化の開始は朗報といえる。

●先陣アンジェスには英知集結

 株式市場においては、アンジェス <4563> [東証M]と大阪大学、そしてタカラバイオ <4974> などが開発を進める新型コロナワクチンへの関心が群を抜き注目される状況にある。同社は昨年3月5日、いち早く「新型コロナウイルス感染症に対するDNAワクチンの共同開発」を発表し、株式市場でも一躍脚光を浴びることになった。同グループが開発を進めるDNAワクチンは、環状DNA(プラスミド)を接種することで、病原体たんぱく質を体内で生産し、病原体に対する免疫を付与するもの。DNAワクチンは、危険な病原体を一切使用せず、安全かつ短期間で製造できる特徴があるという。

 さまざまな企業がアンジェスらのグループの開発に参画していることも、投資家の関心を集める理由の一つといえる。新日本科学 <2395> 、カネカ <4118> 、ダイセル <4202> 、EPSホールディングス <4282> 、フューチャー <4722> 、ファンペップ <4881> [東証M]、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ <6090> [東証M]、スリー・ディー・マトリックス <7777> [JQG]などをはじめ、多くの企業が参画するが、それぞれの持つ得意分野を生かすことでワクチン開発を進めている。

●「大規模第3相試験を21年内に開始」

 アンジェスは昨年9月に先陣を切って第1/2相臨床試験を開始したことを発表しているが、今月21日付の日本経済新聞で「国産ワクチン来年以降に アンジェス、追加治験で遅れ」と報じられ、株価は急落。22日に更新された厚生労働省の「コロナワクチン開発の進捗状況(国内開発)」でも、アンジェスのグループについては「大規模第3相試験を2021年内に開始の意向」と公表されている。

 こうしたことから、いったんは急落した株価だったが、25日寄り付き前にカナダのバイオ医薬品企業と共同開発している新型コロナ治療薬「AV-001」の第1相臨床試験で良好な結果を得られたと発表し、これを好感した買いが入りストップ高となった。同銘柄に対する投資家の感応度は依然として高いことがうかがえる。今後、両社はこのデータを米国食品医薬品局(FDA)に提出し、次のステップとなる重度の新型コロナ患者での有効性を評価する前期第2相臨床試験について協議する予定だ。

●アイロムG、三菱ケミHDにも注目

 そのほかでは、アイロムグループ <2372> の子会社IDファーマも新型コロナワクチンの開発に取り組んでおり注目が怠れない。アイロムGは昨年11月に、IDファーマが開発を進めている新型コロナワクチンの非臨床薬理試験において、「新型コロナに対する中和抗体の産生および細胞性免疫の誘導を確認した」と発表。「開発中のワクチンが新型コロナウイルスに対して有効であることを評価するためのデータ」としている。同社の株価は、3月5日につけた直近安値1704円を底にして出直りをみせている。きょうは弱含み2347円で取引を終えた。

 また、三菱ケミカルホールディングス <4188> グループの田辺三菱製薬は17日、「連結子会社であるメディカゴ社(本社カナダ)とグラクソスミスクライン社が共同で、新型コロナウイルス感染症の予防をめざした植物由来のウイルス様粒子ワクチンについて、カナダ及び米国規制当局から、第2/3相臨床試験の第3相パートの開始を許可された」と発表している。

 国産新型コロナワクチンの開発に向けて急ぐ日本勢だが、今後は最終コーナーでの大規模な臨床試験(治験)の実施が課題になりそうだ。既に海外ではワクチン接種が拡大しており、日本メーカーによる未承認ワクチンの大規模治験における参加者確保が難しい状況と伝わっている。各社、対応を模索しており、今後の展開から目が離せない状況が続くことになる。


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