【市況】【和島英樹のマーケット・フォーキャスト】─ハイテク株優位の展開に、良好な需給が下支え
株式ジャーナリスト 和島英樹
「ハイテク優位株の展開に、良好な需給が下支え」
◆半導体や5G、ゲーム、EV関連などに注目
12月中旬までの株式市場は、しっかりとした展開が想定される。11月に入って外国人投資家は現物と先物を合わせて約2兆1500億円の買い越し(第2週まで)となっている。10月第4週までは今年累計で9兆円以上の売り越しで、需給面の改善が日経平均株価を押し上げた最大の要因といえる。海外投資家は冬季休暇に入り、中旬以降の参加者は減少することが予想されるが、良好な需給が引き続き下支え要因になりそう。こうした中、例年この時期は中小型株が物色されやすい傾向がある。
12月中旬までの日経平均の予想レンジは2万6000円~2万7500円。
12月上旬にかけて中間配当金の支払いがピークを迎えるため、再投資の買いが下値を支えることが想定される。大手調査機関では配当金は約3兆4000億円にのぼると試算している。先物には買い戻しの余地はあるとみられるが、クリスマス休暇に入る12月中旬以降は海外勢の買いが鈍化する可能性がある。また、日経平均の200日移動平均線とのかい離率は約20%(26日現在)と過熱感が指摘される水準だ。新型コロナウイルスの国内外での感染拡大や一段の円高が警戒要因となりそうだ。
物色面ではグロースとバリューの循環物色を予想するが、 半導体や 5G関連などのハイテク株が相対的には優位な展開となりそうだ。クリスマス商戦中でもあり、ゲーム関連にも注目が集まりやすい。東京エレクトロン <8035> 、アドバンテスト <6857> 、ソニー <6758> 、任天堂 <7974> などが引き続き注目されそうだ。 EV関連では駆動用モーターの日本電産 <6594> 、明電舎 <6508> のほか、電池関連の物色も継続しよう。ファナック <6954> 、安川電機 <6506> といったFA関連や工作機械株も受注の回復が手掛かりとなりそうだ。
◆IPOラッシュはマザーズ回復の契機となるか
主なスケジュールとしては、海外では12月1日に米11月ISM製造業景況指数、4日に米雇用統計、8日は米大統領選挙における州の選挙結果認定の期日、10日にECB定例理事会、EU首脳会議(~11日)、15日にFOMC(~16日)、16日に米11月小売売上高、25日にクリスマスなど。国内では5日に臨時国会の会期末(予定)、11日に先物・オプションの特別清算指数算出日(メジャーSQ)、14日に日銀短観、17日に日銀金融政策決定会合(~18日)、30日に大納会など。外部環境に影響されやすい地合いだけに、海外の指標には留意したい。
12月中旬以降はIPO(株式新規公開)が集中する。12月は14日まではIPOがなく、15日以降がラッシュとなる異例のスケジュール。11月25日現在で12月は26社の上場が予定されている。17日は1日で5社のIPOとなるが、市場関係者によれば2016年3月18日(6社)以来となる。
最大の注目案件は22日のウェルスナビ <7342> [東証M]。金融工学を活用して個人投資家の資産運用を指南する企業。世界の株式や債券に自動で分散投資するロボットアドバイザーの大手。預かり資産は3000億円を超えている。金融フィンテックとして関心が高い。このほか、16日のトースターなど独創的な家電を展開するバルミューダ <6612> [東証M]、17日のECオンライン決済での不正を検知するかっこ <4166> [東証M]なども前評判が高いという。
IPOラッシュがマザーズ市場の回復の契機になるか、あるいは需給の重しとなるかが注目される。
(2020年11月27日 記/次回は12月27日配信予定)
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■和島英樹(Hideki Wajima)
株式ジャーナリスト
日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年にラジオNIKKEIに入社。東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。現在、レギュラー出演している番組に、ラジオNIKKEI「マーケットプレス」、日経CNBC「デイリーフォーカス」毎週水曜日がある。日本テクニカルアナリスト協会評議委員。国際認定テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。
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