【市況】今週の【早わかり株式市況】3週ぶりに反落、コロナ感染「第2波」への警戒やパウエル発言が重荷
日経平均 <週足> 「株探」多機能チャートより
■今週の相場ポイント
1.日経平均は3週ぶりに反落、前週までの上昇で利益確定売りも
2.週初は上昇し一時2万0500円台乗せ、欧米の経済活動再開に期待する買いが流入
3.週半ばからは海外で新型コロナ感染「第2波」が警戒され売り膨らみ2万円割れも
4.米パウエルFRB議長は経済の低迷長期化を警告、米中対立に対する警戒感が浮上
5.週末は値ごろ感からの買いが入り、結局2万円台に乗せて取引を終了する
■週間 市場概況
今週の東京株式市場は、日経平均株価が前週末比141円(0.70%)安の2万0037円と3週ぶりに下落した。週初は経済活動再開への期待から2万0500円台まで上昇したが、週半ばにかけて新型コロナウイルスの感染第2波への警戒感から値を下げる展開。前週までの上昇もあり利益確定売りが膨らんだ。米中対立を懸念して2万円を割り込む場面もあった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がコロナ禍で「経済は長期低迷も」と発言したことが市場の波紋を呼んだ。ただ、週末には下値に買いが流入し、結局2万円台に乗せて取引を終えた。
11日(月)は前週末のNYダウなど主要株価指数が揃って上昇したことを好感し、日経平均は211円高。一時2万0500円を上回る場面があった。欧米の経済再開に向けた期待が強まった。日本国内でも緊急事態宣言の解除に向けた思惑が浮上。海外ヘッジファンドによる先物への買い戻しも流入した。12日(火)は日経平均が24円安。新型コロナによる感染が海外の一部地域で再び広がっていることが警戒された。また、米中対立が激化することへの懸念も広がった。トヨタが場中に決算発表を行い、21年3月期の大幅営業減益見通しを明らかにしたが市場の反応は限定的だった。13日(水)は日経平均が99円安。前日の米株安が嫌気され、一時300円を超える下落となる場面があったが、日銀のETF買い観測もあって押し目買いが入り下げ渋った。14日(木)は352円安と大幅下落。売りに押され2万円を割り込んだ。パウエルFRB議長が講演で新型コロナウイルスの影響により米経済の停滞が長期化することに言及し、前日のNYダウは大幅安となった。この流れが東京市場にも波及した。15日(金)は122円高と4日ぶりに反発。前日のNYダウが大幅高となり買いが膨らむ展開。米中対立への懸念などを背景にマイナス圏に転落する場面があったが、後場にかけ切り返し、終値で2日ぶりに2万円台に乗せた。
■来週のポイント
重要イベントが多い来週は不安定な相場展開が想定される。ただ、国内では緊急事態宣言が一部解除されただけに下値は限られるとそうだ。
重要イベントとしては、国内では18日朝に発表される1-3月期GDPや21日朝に発表される4月貿易統計、22日朝に発表される4月全国消費者物価指数が注目される。海外では19日発表の米国4月住宅着工件数や21日発表の米国4月景気先行指標総合指数のほか、21日に行われるオンラインパネル討議におけるパウエルFRB議長の発言に注視が必要だろう。なお、22日からは中国全国人民代表大会が開催される。
■日々の動き(5月11日~5月15日)
【↑】 5月11日(月)―― 3日続伸、経済活動再開への期待で買い優勢
日経平均 20390.66( +211.57) 売買高13億1355万株 売買代金 2兆2098億円
【↓】 5月12日(火)―― 4日ぶりに小反落、コロナへの警戒感で戻り売り
日経平均 20366.48( -24.18) 売買高12億4102万株 売買代金 2兆0871億円
【↓】 5月13日(水)―― 続落、米中対立懸念でリスク回避の売り優勢
日経平均 20267.05( -99.43) 売買高13億1925万株 売買代金 2兆3290億円
【↓】 5月14日(木)―― 3日続落、米経済の先行きを懸念し2万円割れ
日経平均 19914.78( -352.27) 売買高13億2977万株 売買代金 2兆1578億円
【↑】 5月15日(金)―― 4日ぶり反発、米中対立警戒も後場切り返し2万円台を回復
日経平均 20037.47( +122.69) 売買高12億9329万株 売買代金 2兆1444億円
■セクター・トレンド
(1)全33業種中、20業種が下落
(2)野村 <8604> など証券、三菱UFJ <8306> など銀行、MS&AD <8725> など保険といった金融株が売られた
(3)菱地所 <8802> など不動産、大林組 <1802> など建設株が大幅安
(4)トヨタ <7203> など自動車、日立 <6501> など電機といった輸出株は総じて軟調
(5)楽天 <4755> などサービス、JR東海 <9022> など陸運といった内需株は総じて堅調
(6)ANAHD <9202> など空運業が大幅反発
■【投資テーマ】週間ベスト5 (株探PC版におけるアクセス数上位5テーマ)
1(2) テレワーク
2(3) 5G
3(1) コロナウイルス
4(6) 半導体
5(7) バイオテクノロジー関連
※カッコは前週の順位
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