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【特集】桂畑誠治氏【上値追い続く日経平均、今秋のトレンドを読む】(1) <相場観特集>

第一生命経済研究所 主任エコノミスト 桂畑誠治氏

―2万2000円台で頑強、金融会合後の為替動向にも着目―

 3連休明けとなった24日の東京株式市場は、 日経平均の上値は重かったもののプラス圏をキープして着地、3日続伸となった。9月のビッグイベントであった日米欧の中央銀行による政策決定会合を通過しても、株式市場の波紋は大きな変化をみせていない。金利差を背景に為替の動向も気になるところで、今回は株式市場と為替市場の双方について、それぞれ第一線で活躍する市場関係者の意見を聞いた。

●「世界景気減速も緩和期待が株価支える」

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

 東京株式市場の9月に入ってからの急上昇は、世界的な金融緩和を背景とした株高の流れに、それまで乗り遅れていた東京市場が急速にキャッチアップを始めた、いわゆるリターンリバーサルの動きといえる。

 きょうは、米中貿易協議の先行きに対する不透明感から利益確定売りが先行しそうなムードだったが、日経平均は買い優勢の展開となった。ムニューシン米財務長官が10月第2週(6~12日)に米中閣僚級会議が開催されるとコメントしたことが伝わり、米中摩擦懸念が後退したことが背景にある。

 ドイツの景況感が悪化していることなど世界経済減速への警戒感は拭えない。しかし、欧州中央銀行(ECB)や米連邦公開市場委員会(FRB)は緩和的政策に舵を切っており、今回の政策決定会合でも利下げに対する打ち止め感は全くみられない。一方、中国では金融・財政の両面から景気対策への思惑が強まっており、足もとは政策期待が株価を下支えする展開が予想される。

 10月1日に予定されていた米国による中国への制裁関税引き上げを同月15日に延期したことが相場にプラスに作用しているが、問題は期限を迎える15日までに、米中間の協議に進展があるかどうかだ。10月第2週に両国の協議が行われる可能性が高く、具体的には7日が有力視される。株式市場もこの動向に左右される部分が大きい。相場が荒れるとすれば、この週が要注意となる。また、今週は25日に日米首脳会談が行われる見通しだが、ここでは合意文書や共同声明に、自動車への追加関税を発動しないこと、数量規制を実施しないことが含まれるか否かが注目される。日本に都合の良い形でまとまれば、日経平均の押し上げ要因となろう。もっともそうならないケースも当然考えられ、過度な楽観は禁物といえる。

 当面の日経平均のレンジは2万1500円から2万2700円前後のゾーンを想定している。物色対象としては、日米首脳会談次第とはいえ、ポジティブな結果を前提に自動車株の上値余地が大きいとみている。


(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。

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