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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 4月高値を抜けるかが勝負

株式評論家 植木靖男

「4月高値を抜けるかが勝負」

●今回の反発の中身はバリュー株相場

 日経平均株価は、8月26日の安値2万261円(終値ベース)からの上昇も滞りなく進み、2万2000円大台に到達している。

 米中貿易戦争や利下げをめぐる論議、さらには中東での不穏な動きなどいくつもの懸念材料をこなし、国内での消費増税や日銀の金融政策なども飲み込んで堅調に推移。今日に至っている。

 ところが、ここへきて乗り切ろうにも一筋縄ではいかない、大きく分厚い壁にぶつかりつつある。

 それは、本年4月の高値2万2307円である。ここを明確に上回ればよし。さもなくば、再び奈落の底をもみなければならない、といったまさにいまは正念場を迎えようとしている。

 ここで、先行きを考える上でこれまでの経緯、つまり特徴のある注目点を振り返ってみたい。

 まず一つ目の注目点は、上昇初動の9月5日に436円高があったこと。久しぶりの大幅高だ。初動時の大幅高はその後の急上昇を示唆する。その後、結局10連騰となった。通常は、8~9日が限界だ。過去の例を見ると、17年10月に実に16連騰があった。その後2ヵ月ほどその余韻が残り、株価は活況を呈した。仮に今回4月も高値を更新すれば、11月頃まで上昇が続くことになる。

 二つ目の注目点は、物色の変化だ。ご記憶であろうか。突如、野村ホールディングス <8604> 株が8月中旬に飛び出した。そして、日経平均が連騰したときは、メガバンク株も一斉に上昇に転じた。バリュー株相場の始まりである。その後、不動産電鉄などバリュー株が競って上昇に転じた。

 つまり、今夏からの株価上昇はバリュー株相場といえるのだ。しばらくハイテク株相場になれていた投資家にとっては驚きの展開といえよう。

●米中協議の進展が株価を牽引か

 では、今後の市況はどう読んだらよいのか。注目は TOPIXの動きで、4月高値の時は、TOPIXが日経平均より2週間ほど早く頭を打っている。TOPIXは日経平均の先行指標なのだ。参考にしたい。

 ところで、4月高値突破のカギは、材料的には米中貿易協議だ。いまや、制裁関税で米中とも景気は減速を余儀なくされている。であれば、トランプ・習近平の両首脳は早く休戦に入ることを望んでいるのではないか。米中貿易協議の進展は、世界の株価にとって朗報であろう。この好材料が今秋の株価を牽引しそうである。

 さて、こうしたなか、いまはどのような銘柄が好ましいか。筆者は短期銘柄として、これまでの経緯から、やはりバリュー株を推奨したい。

 ひとつはアトラエ <6194> 。求人メディアを運営する、典型的な内需株だ。

 次は、インターアクション <7725> 。イメージセンサーの検査用光源装置で世界トップシェアを持つ。ジリ高を続けるりそなホールディングス <8308> も面白そうだ。

 参考として、バリュー株を牽引している野村HDを先行指標として注視したい。

2019年9月20日 記

株探ニュース

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