【特集】山内俊哉氏【上値追い続く日経平均、今秋のトレンドを読む】(2) <相場観特集>
上田ハーロー 執行役員 山内俊哉氏
―2万2000円台で頑強、金融会合後の為替動向にも着目―
3連休明けとなった24日の東京株式市場は、日経平均の上値は重かったもののプラス圏をキープして着地、3日続伸となった。9月のビッグイベントであった日米欧の中央銀行による政策決定会合を通過しても、株式市場の波紋は大きな変化をみせていない。金利差を背景に為替の動向も気になるところで、今回は株式市場と為替市場の双方について、それぞれ第一線で活躍する市場関係者の意見を聞いた。
●「1ドル105円台の円高も、日銀は状況次第で追加緩和実施へ」
山内俊哉氏(上田ハーロー 執行役員)
当面の為替相場で、ドルは主要通貨に対して強含みで推移しそうだ。しかし、対円ではドル安・円高基調が予想される。
9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%の利下げが実施されたが、今後の見通しは米連邦準備制度理事会(FRB)の内部でも割れている。このため、今後の展開は経済指標などに左右される。ただ、米購買担当者景気指数(PMI)にみられるように米経済は堅調であり、10月の利下げは無さそうだ。12月のFOMCも経済情勢次第だろう。
一方、米中貿易協議は双方とも妥協はしづらく合意は期待しにくい。また、10月末にかけては英国のEU(欧州連合)離脱が焦点となるほか、中東情勢の緊張感が高まり、中南米ではアルゼンチン大統領選の行方が警戒されるなど、リスクオフ要因は多い。こうした状況下で買える通貨はドルか日本円だが、日本円は対ドルでも上昇しそうだ。
日本円をみるうえでは、日銀の金融政策が注目されるが、経済が悪化したり為替の一段の円高が進行した場合、日銀は10月の決定会合でマイナス金利の深掘りに踏み切ることもあり得る。10月の消費増税で、個人消費などの落ち込みが鮮明となった場合も追加緩和が行われる可能性はある。こうしたなか、今後1ヵ月程度のドル円相場は1ドル=105円30~109円00銭前後を見込む。トレンドはドル安・円高だろう。
また、ユーロドルのレンジは1ユーロ=1.08~1.12ドル前後。欧州経済の落ち込みが懸念されるなか、ユーロ安基調が予想される。ユーロ円の想定レンジは1ユーロ=116円00~120円00銭で、基調はユーロ安・円高だろう。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(やまうち・としや)
上田ハーロー、執行役員・マーケット企画部長。1985年 商品先物会社入社。コンプライアンス、企画・調査などを経て1998年4月の「外為法」改正をうけ外国為替証拠金取引の立ち上げを行う。2005年7月 上田ハーロー入社。前職の経験を生かし、個人投資家の視点でブログなどへ各種情報の発信やセミナー講師に従事。日経CNBC「朝エクスプレス」為替電話リポートに出演のほか、金融情報サイトなどへの情報提供などでも活躍している。
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