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【特集】はてな Research Memo(2):インターネット上におけるUGCサービスのパイオニア

はてな <日足> 「株探」多機能チャートより

■事業概要

はてな<3930>は2001年に創立したインターネットサービス企業で、個人向けにユーザーが文章や画像などのコンテンツを発信・閲覧・拡散するプラットフォームを提供するコンテンツプラットフォームサービスからスタートし、同サービスで蓄積した技術・ノウハウを生かして、法人向けのコンテンツマーケティングサービスやテクノロジーソリューションサービスに展開し、高付加価値化を図っている。また、法人ビジネスでの経験がコンテンツプラットフォームサービスの強化などにも役立っており、3つのサービス領域でシナジーを高めながら、成長を続けている。

1. コンテンツプラットフォームサービス
コンテンツプラットフォームサービスでは、ユーザーがコンテンツを発信・拡散するUGCサービスとして「はてなブックマーク」「はてなブログ」等のサービスを展開している。任意のWebページにユーザーがコメントを簡潔に付けることができる「はてなブックマーク」があることで、「はてなブログ」の記事に他のユーザーの意見や批評が集まりやすいことや、長い文章や論考、コラムのようなものを発信するITリテラシーの高いブロガーが比較的多いことが「はてなブログ」の特長となっており、競合他社との差別化要因となっている。売上は「はてなブログ」等の有料サービスの利用料のほか、ブログの無料ユーザーの画面に掲載する広告収入から成り、大半は広告収入で占められている。

広告収入に関しては、PV数×広告単価で決まる。広告単価に関しては趨勢的に低下傾向となっているため、PV数をいかに伸ばすことができるかが、売上成長のカギを握ることになる。PV数についてはサービスの登録ユーザー数や月間ユニークブラウザ数※の伸びなどが参考となる。2019年7月期第2四半期末の登録ユーザー数は786万人、当第2四半期における月間ユニークブラウザ数は238百万UBとなっている。

※ユニークブラウザ数:ある一定の期間内にWebサイトに訪れた、重複のないユーザーの数。1人のユーザーが何度も同じWebサイトを訪れても1人と数えられる。「訪問数」ではなく「訪問者数」を表し、Webサイトの人気や興味の度合いを判断する指標として重視される。「ユニークユーザー」と同義。


主要サービスは以下の3種類である。

(1) 人力検索はてな
2001年に開始した同社の最初のサービスであり、社名の由来ともなっている。検索エンジンで解決できない疑問があるときや簡単な統計を取りたいときに有用なQ&Aサービス。他のユーザーに対して簡単な質問・アンケートを実施して疑問を解決する、ナレッジコミュニティサービスの草分け的な存在。

(2) はてなブックマーク
2005年に開始した国内最大級のソーシャルブックマークサービス。気になったWebページを、感想やタグとともにオンライン上で簡単に管理できる。ブックマークを共有することにより、インターネット上で盛り上がっている話題を知ることができる。

(3) はてなブログ
2003年にサービスを開始した「はてなダイアリー」をより進化させたサービスで、2013年にサービスを開始している。シンプルでモダンなデザインに、執筆を助ける機能が充実したブログサービスで、長い文章をじっくり書いて発信したいハイエンドブロガー向けのサービスとして定評がある。有料課金サービスとなる「はてなブログPro」では、独自ドメインの設定が可能なほか広告を自由に配置(非表示も可)できるなど、拡張した機能が利用可能となっている。

2. コンテンツマーケティングサービス
オウンドメディア(企業が顧客等に向けて伝えたい情報を発信するための自社メディア)の構築・運用支援サービス「はてなブログMedia」を2014年より開始している。同サービスはSaaSで提供されており、同社がUGCサービスで培ったシステム・ノウハウを生かし、費用対効果の高いオウンドメディアを構築できることが強みとなっている。

売上は「はてなブログMedia」のシステム利用料(月額10万円から)やコンテンツ作成支援料のほか、メディアに掲載されるネイティブ広告・バナー広告・タイアップ広告等の広告掲載料から成っている。「はてなブログMedia」の運用媒体数は2019年7月期第2四半期末で58件と順調に増加している。1企業で複数の媒体を運用しているケースもあり、ここ最近では働き方改革に関する情報発信や社員インタビューといった人材採用分野での活用を目的としたオウンドメディアを立ち上げる企業も増え始めている。

3. テクノロジーソリューションサービス
UGCサービスで蓄積してきた技術力やノウハウを活用し、企業のオウンドメディアをスクラッチで開発・構築する受託サービスや、データを分析して顧客企業にSaaSで提供するビッグデータサービス(クラウド支援サービス、アドテクノロジーサービス)を展開している。

(1) 受託サービス
オウンドメディア構築のためのコンテンツマーケティングサービスとは別に、ユーザー企業独自のネットサービスに関する企画・開発・運用を受託するサービスで、売上は受託開発料及び保守・運用料から成る。任天堂<7974>(イカリング2)、カドカワ<9468>(カクヨム)など大手企業のシステムを受託している。また、2014年より提供を開始したマンガビューワ「GigaViewer」については(株)集英社、(株)講談社、(株)新潮社など合計5社のWebマンガサービスで導入されている。

(2) ビッグデータサービス
2014年よりクラウド支援サービスとして、サーバー監視サービス「Mackerel」の提供を開始している。サーバーやアプリケーションサービスの稼働状況を、異なるクラウドサービスやデータセンターサービスであっても統一的に監視できるほか、使いやすいUIと効率的なAPIにより簡単に導入・運用できることが特長となっている。従来、企業は自社サーバーの監視に関しては自前で監視ツールを構築して運用することが多かったが、クラウドコンピューティング市場の普及拡大や技術進化を背景に、使い勝手の良い「Mackerel」等の専用ツールを導入する企業が増えてきている。

Web企業、ゲーム制作企業やアドテク企業での導入が顕著だが、エンタープライズ領域における利用も試行されている。監視には過去情報を含めたデータ分析が重要となるため、一旦導入すると解約するケースは極めて低い。また、導入企業のサーバー増設に伴って既存顧客単価も上昇傾向にある(月額利用料は1,800円から。監視サーバー台数ごとに変動)。主なクライアントは、サイバーエージェント<4751>、任天堂、GMOペパボ<3633>、メルカリ<4385>、KDDI<9433>、freee(株)、(株)バンダイナムコスタジオ、富士通クラウドテクノロジーズ(株)、ビッグローブ(株)等が挙げられ、導入企業数は右肩上がりで増加している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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