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【特集】桂畑誠治氏【遂に日経平均2万2000円突破、強気相場の行方は】(1) <相場観特集>

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

―リスクオン継続で上昇加速、10連休絡みで失速はあるか―

 週明け15日の東京株式市場はリスク選好の流れが一段と強まり日経平均株価は心理的なフシ目である2万2000円ラインを大きく上回ってきた。中国をはじめ景気減速懸念が後退するなか世界的に長期金利が上昇傾向、外国為替市場では円安が進行するなど強気を後押しする材料が目立ってきた。ただ、これから日本では10連休 を前に機関投資家や個人が積極的な買いポジションを維持することは難しいとの見方もある。今ここで選択するべき投資スタンスについて第一線で活躍する市場関係者に意見を求めた。

●「レンジ相場継続も10連休前に軟化する公算」

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

 東京株式市場は目先上値指向の強さを浮き彫りにしている。ただ、ここから上げ足を更に速めるほど強気優勢を後押しする環境にはない。結論から先に言えば、ここから10連休に向け、日経平均の上値は2万2000円台半ば、下値は2万1000円台半ばの1000円幅程度のゾーンが想定レンジとなりそうだ。

 4月下旬から5月上旬にかけての10連休は欧米や中国などで重要経済指標の発表やイベントが目白押しで、これを見極めたいとの思惑は当然発生する。やはりある程度キャッシュポジションを高めておかないと、株式市場に(経済指標やイベントが)ネガティブな形で発現されたときに慌てることになる。4月30日に中国では国家統計局によるPMIの発表があり、5月1日には米国のISM製造業景況感指数が発表される。また同日にFOMCが開催され、5月3日には米雇用統計が控える。

 ここを無難に通過するかもしれないが、波乱含みとなる可能性も当然排除することはできない。したがって、目先の日本株は強い動きをみせてはいるが、大型連休に近づくにつれ持ち高を減らす動きが徐々に顕在化するパターンが考慮され、株価も軟化する公算が大きいと思う。

 一方、相場にポジティブに働きそうな材料もある。まず、本格化している米国企業の決算発表だが、これまで同様に総じて上振れする展開が見込まれる。また、米中協議も具体的には見えにくいものの進展しているとの観測が強い。世界株高のなかで日本株の出遅れが目立っているのは事実であり、今後も海外株市場が堅調を維持するとの前提のもとグローバル・アロケーションの見地から日本株への買い圧力が高まりやすいことも確かだろう。

 なお、目先は15~16日の日程で行われる日米貿易協議が焦点となる。ここで俎上に載る案件が合意に至るということはないが、米国側は為替条項を入れたがっており、足もとの円安に歯止めがかかる可能性がある。また、自動車関税引き上げに絡む思惑も一筋縄ではいかず厄介だ。物色対象として、自動車セクターは投資資金が回避する傾向が強い。10連休を前に相対的に優位性を発揮すると思われるのは、旅行関連などサービス消費の周辺。また、ここ景気刺激策などの効果で中国の需要持ち直しが期待される機械セクターにも買いが集まりやすい。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。

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