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【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─ 基本的に、個別物色の展開が継続する!

株式評論家 杉村富生

「基本的に、個別物色の展開が継続する!」

●「10連休が怖い」との声を無視できぬ!

 基本的に、材料株を軸とする個別物色の展開だろう。インデックス( 日経平均株価など)には期待できない。現実に筆者は一貫し、総論は語るな、と主張している。日経平均株価が一段高になるには外部環境の好転に加え、企業業績の底打ち、売りっぱなしの外国人(現物)の買い転換が不可欠である。

 外部環境では米中貿易協議の進展、イギリスのEU離脱交渉の決着が求められているが、短期的に解決するのは難しい。これがマーケットのセンチメントを冷やしている。企業業績については経営者は慎重だ。2020年3月期は厳しい数字が続出するだろう。

 現在、日経平均株価の1株利益(予想ベース)は実績ベース比6%強の減益予想だ。今年1-3月期(第4四半期)に限定すると、2~3割の減益ペースになっている。ともあれ、4月27日~5月6日の10連休(GW)前に、3月期決算を発表するのは全体の13%(約280社)にすぎず、残りはGW明けになる。

 だからこそ、「10連休が怖い」と。いや、これだけではない。長い休みの間に、どんなアクシデント(株価急落の要因)が発生するか、まったく読めない。当然、ほとんどの投資家がポジションを手仕舞うなど、それなりの対応をすると思う。

 結局、今月は東証1部の売買代金の低調さ(2兆円以下の日が多い)が示しているように、人気離散の状況が続くだろう。もちろん、個別物色機運は極めて旺盛である。したがって、ここはこれまで同様、各論勝負ッの投資戦術が有効と判断する。

●デジタルハーツ、santecなどを狙う!

 具体的には好業績、材料含みのデジタルハーツホールディングス <3676> 、エー・アンド・デイ <7745> 、santec <6777> [JQ]などに注目できる。デジタルハーツはデバッガーと呼ばれるハードゲーマー(ゲームを通じてソフトの不具合を検索するおたく的な人達)を約8000人抱えている。

 この人達は情報セキュリティに精通したホワイトハッカー予備軍との見方が可能だ。実際、会社側はこの分野(エンタープライズ事業)に注力している。そう、この企業には夢とロマンがある。

 エー・アンド・デイは産業、医療用の計量・計測機器メーカーだ。業績は好調に推移している。2020年3月期の1株利益は120円がらみを確保できるだろう。さらに、50.9%出資する連結子会社のホロン <7748> [JQ]の好業績が寄与する。時価のPERは7倍前後と出遅れが著しい。それと、時価総額は190億円がらみだ。進行中の東証改革では1部市場の条件は「時価総額250億円超」とされている。

 このままではほぼ間違いなく“格下げ”となる。これを避けるにはとりあえず、株価を上げるしかないのではないか。

 santecは「日本版ザイリンクス」と称されている。特殊半導体、光通信部品(世界シェア2~3割を有する)などを手掛け、5G時代の到来を背景に収益は拡大局面を迎えつつある。

 中・低位株では思惑妙味のナノキャリア <4571> [東証M]、「なんでこんな株価になっちゃったの?」といわれているエスクロー・エージェント・ジャパン <6093> の“再起”に期待したい、と思う。

2019年4月11日 記

株探ニュース

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