【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:日米物品貿易協定、米国企業決算、中国GDP
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
■株式相場見通し
予想レンジ:上限22250-下限21500円
来週の日経平均は、強含みもみあい商状が想定される。トランプ米大統領が欧州製品に関税を課す方針を示したことが報道されて、米欧貿易摩擦の懸念が台頭している。米中貿易摩擦ほどのインパクトはまだ出ていないが、15日から2日間、ワシントンで日米の物品貿易協定(TAG)交渉が茂木敏充経済財政・再生相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が出席して行われる。内容次第では相場のかく乱要因となってくる。また、17日に1-3月期GDPを始めとする中国の経済指標、18日に米国の経済指標の発表が集中することも留意点となってくる。日本に先行して米国企業の決算発表が活発化する。15日にゴールドマン・サックス、16日にIBM、ネットフリックス、17日にモルガン・スタンレー、18日にGEなどが発表を予定しており、その株価の反応も東京市場の物色動向に影響を与えそうだ。12日のNY市場ではJPモルガンの好決算が評価されて金融株全般に買いの手が伸びた。こうした流れがハイテク株などにも広がっていくかが焦点となる。11日の大引け後に発表された安川電機<6506>の決算発表では、今期連結経常利益について前期比5.6%減益見込みと示された。12日の株価は売り物一巡後に前日終値の水準に引き戻し、あく抜けを誘う動きとなったことは今後の主力ハイテク株の参考になる。12日のNY市場で為替は1ドル=112円台の円安となっており、下値不安は後退してくるだろう。
12日の日経平均は5日移動平均線水準を回復してきたことから、再び200日移動平均線を試す流れに入ってきたが、TOPIXは12日まで5日続落で、4営業日連続して5日移動平均線を割り込んでおり、引き続き相場全体の地合いとしては上値の重さも意識されることになりそうだ。他方、需給にも明るい兆しはみられつつある。4月第1週(1日から5日)の主体別株式売買動向(2市場、金額ベース)で、海外投資家は1月第4週以来となる、10週ぶりの買い越しに転じた。海外投資家の現物市場での買い越しスタンスが鮮明となれば、日経平均の22000円台回復も現実味を帯びてこよう。
主な国内経済関連スケジュールは、15日に日米の物品貿易協定(TAG)交渉の初協議が開催見通し(16日まで、ワシントン)、16日に3月首都圏新規マンション発売、17日に3月貿易統計、19日に3月消費者物価指数が予定されている。一方、米国など海外経済関連スケジュールは、16日に米3月鉱工業生産・設備稼働率、17日に中国1-3月期GDP、米2月貿易収支、18日に米3月小売売上高、米2月企業在庫、19日に米3月住宅着工件数、グッドフライデー(聖金曜日)で米、英、香港、シンガポール等市場休場がそれぞれ控える。
■為替市場見通し
来週のドル・円は底堅い展開か。3月19-20日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨は、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに慎重なハト派寄りの金融政策スタンスにシフトしたことを示唆する内容だった。利上げ局面の終了を意識して米国株式は上昇を続ける可能性があり、米国株高を意識してリスク回避的なドル売りは抑制される展開となりそうだ。直近の雇用関連指標は良好であり、今週発表される小売売上高やフィラデルフィア製造業景気指数などの経済指標が堅調だった場合、株高を通じてリスク選好的なドル買いに振れやすいだろう。
一方、欧州中央銀行(ECB)は、少なくとも2019年末までの政策金利据え置きと緩和的な金融政策を堅持する方針を表明している。金利要因でドルが選好される可能性もあろう。ただ、今週15-16日にワシントンで開催予定の日米通商交渉では、関税だけにとどまらず為替問題に議論が及ぶ可能性がある。トランプ政権は貿易赤字是正を目指し、相手国の通貨安政策を封じており、今回の交渉で為替問題(通貨安のけん制)がテーマに含まれた場合、思惑的な円買いを招く場面もありそうだ。このタイミングで米国の主要経済指標が市場予想を下回った場合、リスク回避的なドル売り・円買いが強まる可能性は否定できない。
■来週の注目スケジュール
4月15日(月):トルコ失業率、対米証券投資収支、日米貿易交渉初協議(16日まで)など
4月16日(火):中新築住宅価格、英失業率、米鉱工業生産指数など
4月17日(水):中国GDP(1-3月)、欧貿易収支、日米貿易収支など
4月18日(木):米独欧PMI、豪失業率など
4月19日(金):米住宅着工件数、米住宅建設許可件数、米・英・欧・香港・印・豪・加・スイス・南ア・株式市場は祝日のため休場(聖金曜日)など
《SK》
提供:フィスコ