市場ニュース

戻る
 

【通貨】為替週間見通し:もみあいか、米中間選挙後も大統領の利上げ批判は継続の可能性

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

【先週の概況】
■ドルは堅調推移、米中首脳会談への期待広がる

先週のドル・円は堅調推移。11月末に予定されている米中首脳会談で貿易問題などを巡る二国間の対立は解消に向かうとの期待が広がり、リスク回避のドル売り・円買いは縮小した。

「米国政府は11月の米中首脳会談の結果次第で中国からの全輸入品に対して追加関税を賦課することを計画」との報道を受けて、週初10月29日の米国株式は大幅安となり、株安を嫌ってリスク回避的なドル売り・円買いが広がった。

しかしながら、翌10月30日に発表された米CB10月消費者信頼感指数は市場予想を上回り、18年ぶりの高水準に達したことを受けてドル・円は113円台前半まで買われた。1日の欧米市場では「トランプ米大統領は中国との貿易合意を想定して草案作成を指示」と報じられたことから、米中貿易摩擦緩和への期待が浮上し、リスク回避的なドル売り・円買いは一段と縮小した。

2日のニューヨーク外為市場では、この日発表された10月米雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比25万人増だったことや、10月の平均時給が前年比+3.1%の高い伸びを記録したことを受けて12月の追加利上げ観測が広がった。ドル・円は112円78銭から一時113円32銭まで上昇し、113円20銭でこの週の取引を終えた。先週のドル・円の取引レンジは111円78銭から113円39銭となった。ドル・円の取引レンジ:111円78銭-113円39銭。

【今週の見通し】
■もみあいか、米中間選挙後も大統領の利上げ批判は継続の可能性

今週のドル・円はもみあいか。市場関係者の間では6日投開票の米中間選挙が最大の関心事項となっている。米中貿易摩擦緩和への期待が広がっているものの、トランプ米大統領による利上げ批判は中間選挙後も続く可能性があるとみられており、米中間選挙で共和党が上下両院を支配する結果となっても、リスク選好的なドル買いが急速に拡大する可能性は低いと予想される。

今回の中間選挙は、上院100議席の約3分の1、下院435議席の争いとなる。直近の選挙情勢調査では、下院は民主党がややリードし、共和党が追う展開。両党はともに200議席前後を固めたとみられており、接戦が予想される。上下両院で共和党が過半数を占める現状を維持できれば、トランプ大統領の政権基盤の安定化が好感され、株高は継続する見通し。直近の調査のように下院で与野党逆転の場合も政権の存続に変わりはないことから、政策運営の不透明感による株安・ドル安は小幅にとどまろう。

ただし、トランプ米政権は中間選挙後も貿易赤字是正に向けた活動を続けると予想されている。今月末に予定されている米中首脳会談への期待は広がっているが、貿易協議などで米国側が大幅に譲歩することはないとみられており、合意形成については予断を許さない状況が続くと予想される。12月の追加利上げを想定したドル買いは継続する可能性があるが、新たなドル買い材料が提供されない場合、ドルは114円近辺で上げ渋る展開もあり得る。

なお、7-8日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で政策金利の据え置きが全会一致で決定される見込み。FOMC声明で利上げ継続の方針が提示されるとみられる。ただ、トランプ政権は米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策批判を強めるとみられ、2020年までの利上げ継続シナリオはいずれ修正されるとの思惑が浮上する可能性があるので注意したい。

【米中間選挙】(11月6日実施)
11月6日投開票の米中間選挙は上院の約3分の1、下院では435の議席が争われる。州知事選と市長選も加わる。これまでの選挙情勢調査によると、下院選挙でリードする民主党に共和党が猛追しているようだ。下院で与野党逆転となっても、トランプ大統領の政権運営への影響は大きくないとみられている。

【米連邦公開市場委員会(FOMC)会合】(11月7-8日開催予定)
米FRBは7-8日に連邦公開市場委員会(FOMC)会合を開催し、政策金利の据え置きを決定する公算。利上げ継続方針に関してFOMCメンバーの間では一致しているが、12月利上げには一部から懐疑的な見方も浮上しており、声明内容が注目される。

予想レンジ:111円50銭-114円50銭

《FA》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均