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【特集】植木靖男氏【フシ突破で上昇加速! リスクオン相場は続くか】(1) <相場観特集>

植木靖男氏(株式評論家)

―2万3000円ライン突き抜け視界が変わった東京市場―

 東京市場では前週後半を境に一気に視界が変わってきた。日経平均株価はこれまで度々跳ね返されてきた2万3000円ラインを遂に突き抜け、上値追いを加速。3連休明けの18日は一時380円以上の上昇で3連騰、3日間合計で880円近い上げ幅を記録したことになる。相場大転換の背景にあるのは何か。そしてここからの展望と物色の方向性はいかに。経験豊富でマーケットの先読みに定評のある市場関係者3人に意見を聞いた。

●「違和感のある上昇で反動も考慮する場面に」

植木靖男氏(株式評論家)

 日経平均は上値の強力なフシとなっていた2万3000円ラインを明確に突破したことで買いに勢いがつき、一気に2万3000円台半ばまで歩を進めた。しかし、外部環境を眺める限り、ひと言でいえば違和感のある上昇といえる。前日の米国株は軟調だったが、ナスダック指数は目先売り転換を暗示しており、アジア新興国の株価もまだ不安定。中国・上海株は下げ渋っているとはいえ、年初来安値を連日更新している(前場段階)。米中貿易摩擦の問題は24日に追加関税第3弾が発動される見込みで改善の傾向はみられない。日本と米国との通商会議もこれからで、期待と懸念が相半ばするなか少なくとも楽観はできない段階だ。

 つまり、今の上昇はファンダメンタルズ面からポジティブな材料に乏しい。考えられるのは9月第1週に現先合わせて1兆円以上売り越した外国人投資家が、前週後半から一気に買い戻しに動いたということだ。ヘッジファンドなどの決算に絡むショートポジションの整理が株価を押し上げた可能性が高い。とすれば、これに続く実需買いがなければさらなる一段高は難しいと思われ、反動安も念頭に置いておくところ。おそらく、2万3000円台半ばから上は戻り売り圧力を跳ねのけるほどの買いニーズに乏しく、早晩もみ合い局面に移行するだろう。

 これまでの2万2000~2万3000円のボックスからステージは切り上がり、今後は2万3000円ラインを下限に売り物をこなす展開が想定される。銘柄によって投資のタイミングは異なるものの、全体観として、ここで買い乗せするのは得策ではないと考えられ、押し目を丁寧に拾っていく姿勢が望まれる。

 物色対象として注目したいのは、まず売り込まれた反動で保険セクターに意外性がある。切り返し態勢にある東京海上ホールディングス <8766> を継続的に注目したい。同様に蚊帳の外にあった三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> などメガバンクも合わせてマーク。さらに、原油市況が再び上昇基調に転じそうで、その観点から日揮 <1963> などプラント関連や三菱商事 <8058> など総合商社が面白そうだ。最後に大底買いの有力候補としてメルカリ <4385> [東証M]を挙げておきたい。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(うえき・やすお)
慶応義塾大学経済学部卒。日興証券(現SMBC日興証券)入社。情報部を経て株式本部スポークスマン。独立後、株式評論家としてテレビ、ラジオ、週刊誌さらに講演会などで活躍。的確な相場見通しと独自の銘柄観に定評がある。

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