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【特集】アライドアーキ Research Memo(1):今後の成長加速に向けた体制づくりでは大きな成果

アライドアキ <日足> 「株探」多機能チャートより

■要約

1. 事業概要
アライドアーキテクツ<6081>は、自社開発のSNSマーケティングプラットフォーム「モニプラ」の運営等を通じて、顧客企業のSNSマーケティング活動を総合的に支援する事業を展開している。また、中国を中心とする越境EC市場に向けたSNSプロモーション支援のほか、企業の広告クリエイティブの一元管理と最適化を実現するグローバルプラットフォーム「ReFUEL4R」にも注力している。

市場が拡大しているSNS領域に特化し深堀りすることにより、SaaS※とソリューションを組み合わせた独自の付加価値の提供が同社の強みとなっている。また、Facebookを始め、Instagram、Twitter、LINE<3938>など主要なSNS各社との強固なリレーションを構築しており、会員ユーザー数は国内外で630万人超、顧客企業数も累計で4,000社以上に上る(2017年12月末)。SNSマーケティング市場の拡大が追い風となっていることに加え、SaaS型の「ReFUEL4R」も米国を中心として安定的に伸びてきており、同社は本格的な成長ステージを迎えている。

※Software as a Serviceの略称。同社においては原則として月額契約(サブスクリプションモデル)のプロダクトを示す。


2. 2017年12月期の業績
ただ、2017年12月期の業績は、売上高が前期比6.6%減の5,606百万円、営業損失が57百万円(前期は294百万円の利益)と期初予想を下回る減収減益となり、営業損失を計上した。売上高が計画を下回ったのは、1)非注力分野である海外SNS広告売上が想定以上に減少したこと、2)国内SNSマーケティング事業においても、案件の大型化を図った結果、リードタイムが長期化したこと(売上計上の後ろ倒し)、3)「ReFUEL4R」もリニューアルの影響等により伸び悩んだことが理由である。したがって、収益構造の変革に向けた取り組みが、逆に短期的な業績の足を引っ張ったという見方ができる。もっとも、本来の業績の伸びを示す売上総利益は、第4四半期に過去最高(四半期ベース)を更新していることから、実態として業績が後退しているわけではない。また、損益面でも、減収による収益の下振れに加えて、積極的な先行投資が当初の計画を超えたことにより大幅な減益となった。一方、今後の成長加速に向けた体制づくりでは大きな成果を残したと評価できる。

3. 2018年12月期の業績予想
2018年12月期の業績予想について同社は、売上高を前期比26.0%減の4,150百万円、営業利益を328百万円と減収ながら大幅な損益改善を見込んでいる。前期に引き続き、大幅な減収を見込んでいるのは、海外SNS広告売上の縮小によるものであり、国内SNSマーケティング事業や「ReFUEL4R」については大きく伸ばす計画である。また、損益面でも、利益率の高いSNSマーケティング事業や「ReFUEL4R」の伸長により大幅な損益改善(黒字化)を図る想定となっている。弊社でも、外部要因(市場の拡大)及び内部要因(独自の付加価値の提供やSaaS型のサービス確立等)から判断して、セールスミックスの変化により利益成長を実現することは十分に可能であるとみている。もっとも、今期についても、前期に引き続き、収益構造の変革や事業モデルの本格稼働に向けた過渡期に当たることから、業績面ではやや踊り場(緩やかな回復)と位置付けられる。したがって、来期以降の成長加速に向けた活動の成果にも注目すべきだろう。進捗次第では、業績の上振れ要因になる可能性もある。

4. 成長戦略
同社の成長戦略の軸は、主力の「国内SNSマーケティング事業」の拡大のほか、海外子会社による「ReFUEL4R」、及び新たに開始した「越境プロモーション事業」によるグローバル展開である。弊社では、国内SNSマーケティング市場は、まだこれからの市場であることに加え、市場が拡大するなかで優位性を発揮できる同社には大きな成長余地があるものとみている。また、革新的な事業モデルで世界シェアNo.1を目指す「ReFUEL4R」についても、今回の先行投資(サービスリニューアル、営業拠点開設等)により成長に拍車がかかる可能性が高い。一方、「越境プロモーション事業」については本格的な業績貢献には時間を要するものの、ポテンシャルや具現性を高く評価している。日本商品を買いたい中国の消費者と、中国市場に参入したい日本企業の双方からの需要が大きい上、中国最大規模のSNS「Weibo」グループとの提携は同社にとって大きなアドバンテージになるだろう。

■Key Points
・2017年12月期業績は減収減益となり、営業損失を計上
・収益構造の変革に向けた取り組みや先行投資が短期的な業績の足を引っ張る
・一方、今後の成長加速のための体制づくりでは大きな成果
・2018年12月期は減収ながら大幅な損益改善を図る計画
・「国内SNSマーケティング事業」の拡大に加えて、順調に立ち上がってきた「ReFUEL4R」と
「越境プロモーション事業」によるグローバル展開により成長を加速する方針である

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《TN》

 提供:フィスコ

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