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【特集】大谷正之氏【薄商いでも強い!「掉尾の一振」と新年相場の勘所】(3) <相場観特集>

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

―「閑散に売りなし」の東京市場、米国株の恩恵どこまで―

 2017年相場も今週を残すのみとなった。週明け25日の東京株式市場では日経平均株価が年初来高値を更新したものの、クリスマス休暇に絡む市場参加者不足もあって、模様眺めムードのなか狭いレンジでの小浮動に終始。ただ、個人投資家などをはじめとする待機資金は高水準で、東京市場の先高期待は根強い。果たして、年末年始相場の方向性や銘柄物色の流れはどうなるのか。また、株価に大きな影響を与える為替の動向は。第一線で活躍するマーケット関係者3人(株式関係2人・為替関係1人)にここからの展望を聞いた。

●「直近IPO銘柄への物色人気は継続」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 新年相場は、18年3月期第3四半期累計(4-12月)決算の発表が本格化する1月下旬までは、買い手掛かり不足のなかでも、底堅い推移となりそうだ。米国も減税法案が成立したことで、中長期的には企業業績向上への期待感はあるものの、NYダウ平均株価は、プラス面を相当程度織り込んで上昇していることから、当面は高値圏での穏健な推移となりそうだ。

 ただ、外国為替市場での円相場の落ち着いた推移や、総じて下期(17年10月~18年3月)の企業業績見通しが保守的なことなどから、18年3月期通期業績の上方修正期待も根強く、積極的な売り要因も見当たらない。従って、新年1月半ばまでの日経平均の想定レンジは、下値2万2000円から上値は2万3000円台半ば程度と予想する。

 物色対象としては、政府が打ち出している「生産性革命」の流れのなかで、生産性の効率化と人手不足解消に貢献する、産業用ロボットや高機能工作機械などを製造する機械メーカーや産業用電子機器メーカーに注目が集まりそうだ。一方、この年末のIPO(新規上場)ラッシュは、例年に比べて東証1、2部の本則市場への新規上場銘柄が多かったにも関わらず、総じて好調な推移となっている。年明け以降も、直近IPO銘柄への物色人気は継続しそうだ。

 個別銘柄では、まずオムロン <6645> に注目。主力のIAB(制御機器)では、主に国内と中国、東南アジア向けが良好に推移している。さらに、超高速でセンサーのデータをやりとりできる強みを生かして、生産ラインに取りつけた数多くの高性能センサーからのデータを収集・分析し、熟練工の技も学んだ人工知能(AI)が、自ら判断を下していくシステムを構築中で、IoTサービス基盤「i-BELT(アイ・ベルト)」として顧客に提供していく。

 さらに、個人消費関連のなかでは、ポーラ・オルビスホールディングス <4927> に注目。シワ改善薬用美容液など「ポーラ」ブランドの新商品販売が好調なのに加え、インバウンド関連の売り上げ増加などにより、18年12月期も成長が期待できそうだ。また、店舗やインターネットで自社ブランドの婦人用バッグや財布を販売するスタジオアタオ <3550> [東証M]にも注目。オンラインショップと店舗の一層の連携が奏功し、高成長を持続している。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。

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