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【特集】大塚竜太氏【薄商いでも強い!「掉尾の一振」と新年相場の勘所】(1) <相場観特集>

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

―「閑散に売りなし」の東京市場、米国株の恩恵どこまで―

 2017年相場も今週を残すのみとなった。週明け25日の東京株式市場では日経平均株価が年初来高値を更新したものの、クリスマス休暇に絡む市場参加者不足もあって、模様眺めムードのなか狭いレンジでの小浮動に終始。ただ、個人投資家などをはじめとする待機資金は高水準で、東京市場の先高期待は根強い。果たして、年末年始相場の方向性や銘柄物色の流れはどうなるのか。また、株価に大きな影響を与える為替の動向は。第一線で活躍するマーケット関係者3人(株式関係2人・為替関係1人)にここからの展望を聞いた。

●「外国人投資家復帰で上値追い態勢再開へ」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

 週明けの東京市場はクリスマスで海外マネーが参戦していないこともあって、商い薄のなか上下狭いレンジの往来となっているが、日経平均が年初来高値を更新し26年ぶりの高値圏に浮上したことは事実であり、地合いは決して悪いわけではない。今週後半には外国人投資家も復帰してくることから、俗に言う「掉尾の一振」も十分に期待できそうだ。

 年内の日経平均2万3000円台乗せは達成可能とみている。仮に年内の大台替えができなかったとしても、年明けは2万3000円ラインを通過点として新春相場の攻防が繰り広げられることになりそうだ。

 米国株市場ではトランプ大統領の肝いりで進めていた税制改革法案が成立、既に株価的には織り込んだという声もあるが、法人税を35%から21%に引き下げることで生まれる経済への波及効果を考えれば、今の株価水準で出尽くしとは到底思えない。NYダウは早晩2万5000ドルを突破しよう。まして東京市場は出遅れ感が強く、トランプ相場第2幕の恩恵を受けるのはこれからといってよい。

 国内の企業業績も好調で、日経平均はPERなど株価指標面からも上値余地を示唆、米国株に追随する格好で上昇トレンドが続く。世界景気拡大を考慮すれば日経225に採用されている大型株は一段の上昇が有望視されるほか、IPO関連人気に象徴される中小型株人気もそれに並行して全般好地合いを演出することになろう。

 個別に注目したいのは、デフレ脱却相場の急先鋒である景気敏感セクターだ。三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> や三井住友フィナンシャルグループ <8316> などのメガバンクや新日鉄住金 <5401> をはじめとする鉄鋼セクター。また原油、銅、アルミなど商品市況の上昇が追い風となっている三菱商事 <8058> など総合商社株。さらに、景気回復を背景とした設備投資需要拡大でダイフク <6383> など機械セクターも注目だ。ここ調整局面にある東京エレクトロン <8035> を筆頭とした半導体関連も目先はともかく、中期的には絶好の拾い場を提供していると思われる。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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