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【特集】山内俊哉氏【薄商いでも強い!「掉尾の一振」と新年相場の勘所】(2) <相場観特集>

山内俊哉氏(上田ハーロー 執行役員)

―「閑散に売りなし」の東京市場、米国株の恩恵どこまで―

 2017年相場も今週を残すのみとなった。週明け25日の東京株式市場では日経平均株価が年初来高値を更新したものの、クリスマス休暇に絡む市場参加者不足もあって、模様眺めムードのなか狭いレンジでの小浮動に終始。ただ、個人投資家などをはじめとする待機資金は高水準で、東京市場の先高期待は根強い。果たして、年末年始相場の方向性や銘柄物色の流れはどうなるのか。また、株価に大きな影響を与える為替の動向は。第一線で活躍するマーケット関係者3人(株式関係2人・為替関係1人)にここからの展望を聞いた。

●「米経済指標など注視、1月の値動きは限定的か」

山内俊哉氏(上田ハーロー 執行役員)

 17年の為替相場はボラティリティ(変動率)の小さな1年として幕を閉じそうだ。ただし、過去2年連続で変動率が小さかったことはあまりなく、18年の為替はそれなりの変動率となることも予想される。

 もっとも、1月のドル円相場の変動要因は限られそうだ。トランプ政権による税制改革法の成立はすでに織り込まれている。次の焦点は、1兆ドル(約113兆円)を掲げたインフラ投資がいつ公表されるかだ。ただ、トランプ政権はつなぎ予算案で政府機関の回避を避けている状態。このため、1月はインフラ投資の具体策を発表はないとみている。

 また、2月に米連邦準備制度理事会(FRB)新議長にパウエル氏が就任する。同氏は、中立派と見なされており、年3回程度が見込まれる利上げが実際に行われるかどうかが焦点だ。FRBの政策を占ううえで、経済データは一段と注目されそうだ。

 日銀がどう動くかも焦点だが、4月に任期満了を迎える黒田総裁の留任がメーンシナリオとなる。ただ、日銀はどこかで長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)政策の上昇を容認する可能性はあるとみている。また、上昇基調にあるオーストラリアなどの不動産価格の動向なども注目している。

 1月いっぱいにかけてのドル円のレンジは112円00銭~114円70銭前後。11月高値114円72銭を抜くまでには至らないだろう。ユーロドルは1ユーロ=1.1550~1.2000ドル前後を想定している。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(やまうち・としや)
上田ハーロー、執行役員・マーケット企画部長。1985年 商品先物会社入社。コンプライアンス、企画・調査などを経て1998年4月の「外為法」改正をうけ外国為替証拠金取引の立ち上げを行う。2005年7月 上田ハーロー入社。前職の経験を生かし、個人投資家の視点でブログなどへ各種情報の発信やセミナー講師に従事。日経CNBC「朝エクスプレス」為替電話リポートに出演のほか、金融情報サイトなどへの情報提供などでも活躍している。

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