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【市況】米国株式市場見通し:税制改革を巡る議会動向に注目


税制改革案の審議が大詰めを迎えている。先週、28日に上院予算員会を通過した後、代替ミニマム税を残すなどして財政規律を求める反対派議員を説得しており、近く上院案が可決される見込みだ。しかしながら、仮に上院案が可決されても、下院と法案一本化のすり合わせを行い、再び一本化された法案について両院で採決する必要がある。連邦法人税率を35%から20%へと引き下げる点では一致しているものの、上院と下院の法案内容には違いも多く、法案一本化への調整が難航することは避けられない。そして議席優位の少ない上院の動向が再び鍵となるだろう。また、8日に期限を迎える暫定予算や債務上限についても審議が必要となるが、年内は15日までで議会は休会となることから、年内の税制法案成立に残された時間は限られている。

一方で、ティラーソン国務長官の更迭観測や、フリン前米大統領補佐官が虚偽供述で有罪答弁を行うなど政権運営への先行き不透明感が高まりつつある。北朝鮮によるミサイル発射で地政学リスクが高まる中、国務長官の交代は市場にネガティブな影響を与えるだろう。また、民主党が大統領選へのロシア介入疑惑について追求すれば、税制改革法案の審議に遅れが生じる可能性もある。

今週は、自動車用品小売のオートゾーン(5日)、アパレルのアメリカン・イーグル・アウトフィッターズ(6日)、半導体のブロードコム(6日)、ディスカウントストアのダラー・ゼネラル(7日)などの企業決算が予定されている。アメリカン・イーグル・アウトフィッターズは、同業のギャップやアーバン・アウトフィッターズの決算がいずれも予想を上振れており不安は少ない。ブロードコムは、同業クアルコムに提示した買収条件を引き上げる可能性もあり、今後の動向にも注意が必要だ。

経済指標では10月製造業受注(4日)、10月貿易収支(5日)、11月ISM非製造業景況指数(5日)、11月ADP雇用統計(6日)、11月雇用統計(8日)などが予定されている。12月12-13日のFOMCを見据えて経済指標の発表に注目が集まるだろう。雇用統計は失業率が4.1%増と前月比横ばいとなる一方で、非農業雇用者数の伸びは19.9万人増と前月からの低下が見込まれている。しかし、ハリケーン後の復興需要による後押しで予想を大幅に上振れる可能性が高い。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

 提供:フィスコ

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