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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「21年前の高値2万2750円に迫る」

株式評論家 富田隆弥

◆10月の日経平均株価は1655円幅、8.13%の上昇となり、星取りは19勝2敗(勝率90%)で、16連騰に続き勝率も過去最高をマークした。そして11月だが、1日は勢いそのままに408円高の2万2420円(ザラバ高値2万2455円)と急伸、快調な出足となった。

◆中間決算で7割が増益と報じられ、日銀・黒田総裁は31日の決定会合で大胆緩和継続を明言、そして1日に第四次安倍内閣が発足。外国人投資家の先物買い、国内勢の裁定買いと需給は買い優勢になり、関係者の年末予測も2万3000~2万5000円に引き上げられ、出来高も膨らむなど、相場の雰囲気は「すべて良し!」といった感じである。

◆11月1日から新東名高速道路では最高速度が100キロから過去最高の110キロに引き上げられたが、日経平均のチャートも上昇ピッチを速めてきた。次のターゲットである21年前(1996年6月)の高値2万2750円にもあと300円ほどに迫り、突破は時間の問題といった雰囲気ではあるが、クルマも相場もスピードの出し過ぎには注意が必要だ。

◆移動平均線とのカイ離率をみると、25日移動平均線(2万1200円)とは+5.75%、75日線(2万0274円)とは+10.58%となり、トランプ相場初動の昨年12月以来の水準にきている。日経平均の連騰と星取りのこれまでの記録は2015年5月(16勝2敗)で、当面の高値を形成した。月足チャートをみると(21年前の高値)2万2750円に向けて左右対称型の波動が見て取れる。

◆チャートでは「テクニカル指標」より「流れ(トレンド)」が優先されるので、下値ポイントの抵抗線や一目均衡表転換線(1日現在2万1909円)を維持しているうちは上昇基調継続である。10月相場は下値ポイントを割ることなく上向きの流れを続けたが、2万2750円に迫るここからはスピード調整や高値形成の動きをイメージしておくべきかも知れない。

◆ここからは余談だが、ある知人が日経平均オプションの「コール」で儲けたという。詳細は不明だが、11月限の「23125コール」を見ると、10月31日寄り「1円」だったものが、翌11月1日の19時過ぎに「70円」をつけている。日経平均先物が11月1日に480円高、夜間になり170円高の2万2600円をつけた動きが効いた訳だが、わずか1日で70倍である。ほかのコールも似たような動きになったのは間違いなく、ニヤニヤしながら「儲けた」と話していたのも嘘ではなさそうだ。

◆オプションといえばデリバディブ取引の一つだが、膨大なマネーの運用に苦慮するプロたち(ファンド)がいま投資先としてさまざまなデリバティブに手を伸ばしているという。個人投資家の知人でも儲けるのだから、プロがそれを見逃すはずもない。ただ、19時に70円をつけた前出の「23125コール」は23時35分に「31円」まで値を下げている。うまくいけば美味しいが、失敗すると損失も膨大、それがデリバティブ取引だ。プロとはいえ、すべてのプロが儲けているとは限らず、なかには大きく損失を出すところもあり、それが全体のバブル終焉につながることもある。今後はデリバティブの動向にも少し目を向けておこう。

(11月1日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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