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【経済】中国経済崩壊のシナリオ4:内戦シナリオ【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】


実質的な経済成長が減速期に入っていると思われる今、中国は国家による投資主導の成長モデルから、個人消費主導型の成長モデルへの転換が求められている。しかし、社会保障制度への不安や流動性への制約など、中国が構造的に抱える諸問題が足かせとなって、個人消費の拡大はなかなか進まない現状がある。このままの状態が進めば、他国を巻き込んだ金融危機の発生と、外貨準備減少ループは際限なく続くと思われる。

こうした状況を踏まえて、中国政府が随時訪れる危機にどのように対処するかによってシナリオが大きく分岐することを想定し、「ベースシナリオ」「ソ連崩壊型シナリオ」「新中国誕生シナリオ」「内戦シナリオ」という4つのシナリオを想定し、それぞれが世界経済や日本経済に与えるインパクトについて考察していきたい。

本稿ではシナリオ4「内戦シナリオ」をご紹介する(※)。

※一つ目の「ベースシナリオ」は、二つ目の「ソ連崩壊型シナリオ」、三つ目の「新中国誕生シナリオ」は別途「中国経済崩壊のシナリオ1:ベースシナリオ【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】」「中国経済崩壊のシナリオ2:ソ連崩壊型シナリオ【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】」「中国経済崩壊のシナリオ3:内戦シナリオ【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】」参照。



■戦区のクーデターから全面的内戦へ

特定の戦区と政治勢力が結びついたクーデターにより、内戦が発生するシナリオとなる。足もとでは中央政府による軍の再編が進められており、そのようなシナリオ発生を低減させる努力は見て取れる。ただし、薄熙来が粛清された際にも、軍による不穏な動きが見られたともされ、習近平が進める反腐敗闘争も当該シナリオの発生可能性を逆に高めることになろう。内戦状態になると、辛亥革命後にも見られたように、各軍閥を諸外国がその利害のために支援、混乱が助長され、内戦状態が長引く可能性もある。日本では短期的には急速な円高が進み、中国経済喪失のショックから株価は暴落となるだろう。ただ、長期的には、中国に変わって日本が輸出基地としての地位を取り戻すことで株価は上昇していく。世界的には各国で投資抑制の動きが加速。原油市場の急伸などにより急速なインフレが進む国も出てくるだろう。

■フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議の主要構成メンバー
フィスコ取締役中村孝也
フィスコIR取締役COO中川博貴
シークエッジグループ代表白井一成

【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】は、フィスコ・エコノミスト、ストラテジスト、アナリストおよびグループ経営者が、世界各国の経済状況や金融マーケットに関するディスカッションを毎週定例で行っているカンファレンス。主要株主であるシークエッジグループ代表の白井氏も含め、外部からの多くの専門家も招聘している。それを元にフィスコの取締役でありアナリストの中村孝也、フィスコIRの取締役COOである中川博貴が内容を取りまとめている。2016年6月より開催しており、これまで、今後の中国経済、朝鮮半島危機を4つのシナリオに分けて分析し、日本経済では第4次産業革命にともなうイノベーションが日本経済にもたらす影響なども考察している。今回の中国についてのレポートは、フィスコ監修・実業之日本社刊の雑誌「JマネーFISCO株・企業報」の2017年春号の大特集「中国経済崩壊のシナリオ」に掲載されているものを一部抜粋した。

《HT》

 提供:フィスコ

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