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【特集】追い風は止まず――好調「化粧品関連」株価の行方 <株探トップ特集>

コーセー <日足> 「株探」多機能チャートより

―インバウンド需要に陰りなし、越境ECも加わり全方位死角なき上昇―

 喧騒の選挙戦も終わり、街に静寂の秋が戻って来た。深まり行く秋の気配と同時に、マーケットの視線を集めているのが化粧品業界だ。メーンシーズンとなる秋の新製品投入だけではなく、新たな戦略も続々と打ち出している。インバウンドの追い風に加え、さまざまな施策で攻勢をかける化粧品業界と株価の行方を追った。

●中国の訪日規制思惑に翻弄も、株価は切り返し急

 9月中旬、インバウンド関連株に衝撃が走った。一部報道で、中国が外貨の流出を警戒して日本への団体旅行を制限しはじめていると伝わり、業績への影響を懸念した売りで株価も下落した。当然のことながら、インバウンドの恩恵を受ける化粧品株も下落する憂き目となったが、その後は報道の影響も沈静化し再び上昇基調を強めている。

 18日に、日本政府観光局が発表した2017年9月の訪日外客数は、前年同月比18.9%増の228万人となり、昨年9月の191万8000人を36万人以上上回り同月としては過去最高になったという。また、懸念されていた中国からの訪日客は、(同)29.9%増の67万8300人となり、9月時点では報道で伝わる影響は見受けられない。

 市場調査の富士経済では、化粧品市場についてインバウンド需要などを背景に強気見通しを示している。同社では「17年も引き続きスキンケアやメークアップが好調で、市場規模は2兆5985億円と前年比2.7%増の拡大が見込まれる。スキンケアで“シワを改善する”効果・効能として初めて医薬部外品に認可された有効成分を配合した商品が投入されたことや、メークアップを中心に“インスタ映え”する商品が若年層を中心に需要を取り込んでいる。また、ボディケアは参入メーカーがオフシーズンの需要増加に努めていることや、高付加価値商品の投入など積極的な展開が奏功して好調」と分析している。

●“しわ取り合戦”の資生堂とポーラは上場来高値圏

 インバウンド関連銘柄の一角として注目を集める化粧品株だが、美の龍虎ともいえる資生堂 <4911> とポーラ・オルビスホールディングス <4927> は、アンチエイジング(抗老化)市場で激突しており話題を呼んでいる。ポーラ・オルビスHDがポーラから日本で初めてのシワを改善する薬用化粧品「リンクルショット メディカル セラム」を1月に発売。一方、資生堂は2月に「有効成分純粋レチノールによるしわを改善する効能効果の承認を日本で初めて取得~9週間で『深い』シワを改善~」と発表、6月にはしわ改善効果のある薬用クリーム「エリクシール シュペリエル エンリッチド リンクルクリームS」(医薬部外品)を発売し熾烈な“しわ取り合戦”を繰り広げている。

 アンチエイジングだけではなく、ここにきて新たな戦略を両社が打ち出している。資生堂は19日、「新工場を栃木県大田原市に建設」と発表。新たな生産拠点となる「那須工場(仮称)」の建設用地取得を決定。同工場は主にスキンケア製品の製造工場として18年度中の着工、19年度中の稼働を予定している。同社では新工場について「主にスキンケア商品の生産能力を増強するのが目的だ。拡大する国内外の状況に対応するためであると同時に、中長期的には商品を安定して提供するために生産能力の増強を行う」(広報部)としている。

 また、ポーラ・オルビスHDは17日、同社グループの化粧品ブランド「THREE」を展開するACRO(東京都品川区)から18年秋に新たなブランドがデビューすると発表した。品格ある凛とした40~50歳代の女性へむけて、上質な日本を背景とするラグジュアリーなナチュラルスキンケアを展開するという。同社では「中長期の視点で業績へ寄与してくると期待している。THREEブランドにおいては、すでに海外展開をおこなっている。そのコネクションを生かしながら、新ブランドにおいても海外への展開は早期に着手したいと考えている」(コーポレートコミュニケーション室)。同社では今年発表した中期経営計画において、育成ブランド拡大・新規ブランド創出を掲げており、「今後、新ブランドによる攻勢を強めていく」(同)方針だ。

 株価は、資生堂、ポーラ・オルビスHDともに、前述の“中国の訪日規制報道”を嫌気した格好で調整したが、10月に入り再び上昇気流に復帰。好調な業績を背景に、資生堂は23日には4923円まで買われ上場来高値を更新、ポーラ・オルビスHDも18日に上場来高値3815円まで買われ、両銘柄とも高値圏を舞う展開が継続している。

●業績絶好調コーセーはミルボンとタッグ

 コーセー <4922> からも目が離せない。同社は23日、集計中の第2四半期累計(4-9月)連結業績について、売上高が従来予想の1340億円から1446億円(前年同期比15.0%増)へ、営業利益が190億円から234億円(同25.1%増)へ上振れたようだと発表した。ハイプレステージブランドを中心に国内販売が好調に推移していることに加えて、中国や韓国、米国タルト社事業も好調な業績が続いていることが要因。なお、売上高、営業利益ともに上期として過去最高となる見込みとしている。また今年に入り美容室向け化粧品を展開するミルボン <4919> と資本・業務提携、さらに7月には同社と合弁会社を設立。コーセーのスキンケア・メーク製品開発のノウハウと、ミルボンが有する販売網および美容教育システムといった両社の事業リソースを連携し、美容室におけるスキンケア・メーク製品の共同開発および国内販売を行う。ミルボンと組んだ新戦略に期待感が高まる。

 そのミルボンの業績も好調だ。同社は9月29日に第3四半期累計(16年12月21日-17年9月20日)連結決算を発表、売上高が前年同期比6.6%増となる228億3900万円、純利益は32.3%増の31億3600万円と増収増益となり、通期目標の達成に向けて順調に推移している。ヘアケア用剤部門がプレミアムブランドを中心に売り上げが順調に回復していることに加えて、染毛剤部門で若年層向け新商品が好評となっていることが寄与した。また、中国や韓国をはじめとして東アジアや東南アジア事業が順調に伸長していることも貢献している。なお、17年12月期通期業績予想は、売上高327億円、純利益35億8000万円の従来見通しを据え置いている。

●マンダムは活躍領域拡大期待

 男性化粧品市場を牽引するマンダム <4917> にも注目したい。メンズコスメティックスの国内市場が急速に拡大するなか、同社の存在感は増す一方だ。男性事業の「ギャツビー」ブランドの堅調な推移に加え、女性事業の「ビフェスタ」ブランドも好調で、活躍領域を広げるなかその展開力に魅力が高まる。株価も、ここ上昇基調を強めている。

 そのほかでは、アンチエイジング効果をうたう「オバジ」ブランドで攻勢をかけるロート製薬 <4527> 、スキンケア商品の「アスタリフト」シリーズが好調な富士フイルムホールディングス <4901> からも目が離せない。

 国内だけではなく、さらなる世界展開を加速させる化粧品各社だが、ここ数年は株式市場においてはインバウンド関連の視点で注目されることが多かった。しかし、越境ECへの注力に加え、海外現地生産も急速に進めており、グローバルな視点での業容拡大への評価も加わることで、株価をさらに刺激することになりそうだ。


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