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【特集】半導体株“爆騰ロード”、東京市場に眠るダイヤモンドを探せ <うわさの株チャンネル>

東エレク <日足> 「株探」多機能チャートより

―米国発ビッグウェーブ到来、帰ってきた「半導体関連株」大相場―

 米国株市場を発信基地とする“超ブル相場”の潮流が世界を覆っている。9月上旬を境とした世界同時株高の流れに乗り、相対的に出遅れる東京市場は10月下期相場入りとともに上昇加速、前日まで日経平均株価が過去最長の連続上昇記録を決めてなお上値を慕う、驚異的な連騰を続けた。25日に日経平均株価は後場に軟化し17連騰こそ逃したが、一時2万1900円台まで歩を進め、気が付けば“アベノミクス高値”としてついこの間まで市場のメルクマールとなっていた2万868円の高値から1000円も上積みされた高みに到達した。

●米国発の半導体大相場はまだ続く

 10月相場で全体相場の牽引役となっているのはずばり半導体関連セクターだ。これは米国市場で発生したビッグウェーブが世界の株式市場に及んでおり、東京市場もそれに乗る格好となっている。米国ではインテルやアプライドマテリアルズ、エヌビディアなど半導体関連株が一斉に高値圏を舞い、半導体関連銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も2000年以来の高値水準を突き進んでいる。

 東京市場では前日(24日)まで日経平均が異彩の16連騰を記録するなか、同期間中の225採用銘柄での上昇率トップが、大口径シリコンウエハー世界屈指のSUMCO <3436> であったことも暗示的だ。この間に、半導体関連の指標的銘柄である東京エレクトロン <8035> もきょうの高値まで約2000円以上の上昇をみせ、2万円大台を視界に捉えるとともに、2000年のITバブル時につけた2万90円の上場来高値更新を意識する段階に入っている。

●3次元NANDがもたらした新ステージ

 IoT時代の到来で急速に膨張するデータ量、これに対応した半導体メモリーの微細化投資にも限界が見え始めるなか、平面ではなく立体方向に積層化された究極の次世代メモリーとして産み落とされたのが3次元NAND型メモリー。現在普及が進んでいるが、同メモリーは積層化に伴い電極を柱状に貫通させる必要性があり、東京エレクのエッチング装置は深掘り技術において優位性を持っている。まさにパラダイムシフトがもたらした新ステージでの主役抜擢。これが、同社株をITバブル時とは異なる、地に足がついた形での最高値にいざなっているようにも見える。

 きょう25日は日経平均が前日終値近辺で売り買いを交錯させるなか、前引け段階で半導体関連株は総じて買い優勢の展開となった。ディスコ <6146> 、日立国際電気 <6756> 、アドバンテスト <6857> 、SCREENホールディングス <7735> などの製造装置メーカー、車載向け半導体を手掛けるルネサスエレクトロニクス <6723> やトレックス・セミコンダクター <6616> [東証2]、そして半導体材料メーカーではSUMCOを筆頭に、トクヤマ <4043> 、東京応化工業 <4186> 、JSR <4185> 、トリケミカル研究所 <4369> [JQ]などが総花的に上値を追った。

●上昇相場の踊り場だった6月調整

 半導体関連セクターの株価は今年6月にいったん調整局面に入り、市場関係者の間では上値に懐疑的な声も目立っていた。しかし、半導体需要は今なおグローバルに構造的な拡大局面が継続中であり、懐は深い。IoT時代に対応したキャパシティー確保のためのデータセンター増設、とどまることのないスマートフォンの高機能化、そして自動運転の巨大市場をにらみながら、エレクトロニクスの塊と化していく自動車。半導体の高集積化・大容量化、そして部品点数の増加は今後も続いていく。こうした鉄壁の成長シナリオに支えられ関連銘柄も勢いを取り戻し、秋口になって満を持して再び上に放れてきた。

 これまで一貫して強気の見方を崩していないのが東洋証券ストラテジストの大塚竜太氏だ。「ビッグデータ人工知能(AI)などの進化はその基盤として半導体が常にある。需給のサイクルはあってもマーケットそのものは拡大の一途をたどる。象徴株である東京エレクは225種採用の値がさ株ということもあって、株式需給面からも海外機関投資家のインデックス買い需要が浮揚効果をもたらし、2万円台回復から過去最高値更新は時間の問題であろう」としている。

●半導体関連の中小型株に出番到来

 また、株式評論家の植木靖男氏は「半導体は2018年も伸びる見込みにあり、足もと過熱感が出ていることは否めないが、全体売買代金が盛り上がりを欠く中での上昇は、売り玉(保有株の売却ニーズ)の乏しさを反映している。外国人の物色対象として今後も波状的な買いが続くだろう。最近は化学メーカーなど素材関連株に物色の裾野が広がっている点もポイント。押し目があれば買い場とみたい」という見解だ。

 今後の物色対象を探すうえでの留意点としては、植木氏がいみじくも指摘したように半導体を基点に、収益機会を享受しそうな周辺株に買い人気が波及していることだ。マーケットは常に新しさを求める傾向がある。本命株は崩れないことがテーマ物色の前提だが、常に人気の中心軸にいるとは限らない。全体底上げの動きのなかで、中小型株物色の流れが続いているのも、今の相場の特徴だ。

●芝浦メカ、妙徳などに上値思惑も

 目先チャート面からマークされる銘柄をいくつか挙げてみると、まず東芝系のデバイス製造装置メーカーである芝浦メカトロニクス <6590> 。9月21日に急騰した後もしぶとく買いが入り、400円近辺でのもみ合いが続いている。半導体関連であるだけでなく、電気自動車(EV)の普及加速を背景に、2次電池製造装置を提供、また今後スマートフォン向け有機EL市場の拡大が予想されるなか、有機EL用貼り合わせ装置を展開していることも注目される。筆頭株主の東芝 <6502> [東証2]は、その保有する芝浦メカ全株式を銀行担保に差し入れており、現状売却について凍結状態にあることもポイント。11月2日に18年3月期中間決算発表を控えており、慎重に構えるのであればここを見極めてからでも遅くはない。

 小型で値動きの軽い銘柄としては妙徳 <6265> [JQ]が上値追いの可能性を漂わせている。空気圧関連機器メーカーだが、主力の真空パッドなどが半導体業界向けに好調だ。チップ搬送や、非接触搬送機器などの半導体向け特殊技術に引き合いが強い。11月1日に17年12月期第3四半期決算を控えており結果が注目されるが、中間期時点では営業47%増益の2億700万円で対通期進捗率は58%に達していた。

 これ以外では、ワイヤーソーのほか、幅広く半導体製造装置を展開するタカトリ <6338> [東証2]は足が速く注目されそうだ。EV市場拡大やデータセンターの増設で活躍機会が広がっているパワー半導体向けマルチワイヤーソーが成長エンジンとなる可能性がある。また、サムコ <6387> も業績が上向いており穴株として面白い存在。化合物半導用に特化した製造装置メーカーで、高輝度LED関連などオプトエレクトロニクス分野をテリトリーとする。今マーケットで脚光を浴びているSUMCOとは別会社であり、商標権を巡る係争もあったが、08年に和解が成立している。

 もちろん、東京市場には半導体をメインテーマにまだ数多くのダイヤモンドが眠っていると思われる。成長性ある銘柄の発掘はこの秋に佳境を迎えそうだ。

(中村潤一)

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