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【特集】衆院選・与党大勝で「安定の日本」に世界の評価、上昇相場“本番”はこれから(中) <三編集長座談会>

山岡和雅(外国為替担当編集長)、中村潤一(株式担当編集長)、森成俊(商品先物担当編集長)

 株式投資サイト「株探」「みんなの株式」、外国為替情報サイト「KlugFX」を中心にマーケット情報、分析記事を日々配信するminkabu PRESS編集部。その株式、為替、コモディティ各分野のベテラン編集長3人が、衆院選後に連騰記録更新を重ねた日本株、レンジブレイクがみえてきたドル円、明暗分かれる銅と金相場など、投資家なら誰もが気になるマーケットの行方を読み解く。第2回目の今回はFXのスペシャリストである山岡和雅編集長の相場分析をお届けする。(10月23日の対談を掲載)

【出席者】
中村潤一(株式担当編集長)、山岡和雅(外国為替担当編集長)、森成俊(商品先物担当編集長)


●FX(為替) ドル円はレンジ突破か、“安定の日本”の円が売られるわけ

――本日(10月23日)の日経平均株価の239円高、ドル円の一時114円への上昇は、衆院選挙の結果が大きかった?

山岡 先週19日に米上院で予算決議案が可決され、連邦法人税率を35%から20%に引き下げる税制法案が上院でも可決される見通しが強まりました。これを受けて、ドル円は20日から騰勢を強めていました。

 為替は日米を含め、全体的に政治相場となっています。世界の政治はこのところ荒れ気味で、ニュージーランドでは9年ぶりの政権交代(高成長、安定したインフレ、財政黒字化にもかかわらず!)、ヨーロッパではドイツの右傾化やカタルーニャ問題などが影を落とし、経済ではなく政治動向に左右されやすくなっています。トランプ大統領のアメリカもそう。

 そうした中、日本では与党勢力が圧勝しました。これは世界的に安心感を誘う展開。政治が安定して評価が高まるはずなのに、円が売られるという傍目には不思議な構図に見えます。ただ、日本で投資する場合、海外勢であっても金利が低い円で資金を調達して投資する方が効率的なので、おかしな現象ではありません。それ以上に、安心感から来たリスク選好の動きが、日本から海外への投資拡大の期待を誘い、円安につながっています。

――いま通貨で一番強いのはドルですか?

山岡 ドルが一番強い。先週末に一気にドル高・円安に振れて、それが鮮明になっています。強さの順ではドル、ユーロ、円ですが、ユーロはカタルーニャ問題次第といったところ。

――次期FRB議長ですが、いま誰が有力ですか?

山岡 スタンフォード大教授のテイラー氏、パウエルFRB理事、イエレン現議長がいまのところほぼ三つ巴。イエレン議長については、これだけ経済が安定しているのだから代えなくてもよいという“まっとうな”意見も根強い。

――イエレン氏が再任されれば、為替にはプラスでは?

山岡 いや、ドルは一旦売られるでしょう。市場で期待が強いのはタカ派とされるテイラー教授。テイラー・ルールで知られる彼の掲げる均衡金利水準は今よりもはるかに上。以前、彼はFRBの低金利政策を批判しており、議長になった場合、利上げに積極的になる可能性が高い。また、金融規制改革にも積極的。ただ、実際に金融政策の実務経験が乏しい“学者畑”なので、その手腕は未知数の部分もあります。ドルが上がった後に不安感が出てくるかも。

――レンジ上限の1ドル=114円の上が見えてきた感じです。

山岡 レンジブレイクがみえるところまで、上げてきました。リスク選好の動きによる円安と、税制改革などにいわゆる「トランポノミクス」期待のドル高の両サイドからの押し上げ要因があるので上がりやすい。

――この数ヵ月のスパンで節目として120円乗せはありますか。

山岡 115円を越えてくると、どうしても高値恐怖症になってきます。目先は行っても118円といったところ。その場合は円安だけではなく「ドル全面高」になってこないと厳しい。ドル全面高でも118円の上は数ヵ月のスパンでは難しいでしょう。118~120円のゾーンには結構売りがあるし、年末が近いし。12月になると機関投資家も休みになってしまい、動けなくなってしまいます(笑)。

(明日27日はCX担当の森編集長による相場分析を配信予定)

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