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【市況】S&P500 月例レポート ― ハリケーン、地震、政局と混乱続くも最高値更新 (4) ―


●利回り、金利、コモディティ

 FRBが4兆5000億ドルに膨らんだ保有資産の縮小に着手することを決定し、2017年12月(12-13日にFOMC開催)の利上げ実施の可能性を示唆したことを受けて、米国金利は9月に上昇しました。米国10年国債の9月末の利回りは2.34%となり、前月末の2.12%から上昇しました。しかし、2016年末の2.45%は下回っています。米国30年国債の 9月末の利回りは2.86%と、前月末の2.73%から上昇しました(2016年末は3.07%)。

 外国為替市場では、ユーロは8月末の1ユーロ=1.1904ドルから1.1814ドルに下落し(同1.0520ドル)、英ポンドは8月末の1ポンド=1.2929ドルから1.3399ドルに上昇しました(同1.2345ドル)。円は8月末の1ドル=109.95円から112.50円に下落し(同117.00円)、人民元も8月末の1ドル=6.5906元から6.6366元に下落しました(同6.9448元)。

 金価格は1トロイオンス1282.50ドルで取引を終え、8月末の1327.90ドルから下落しました(同1152.00ドル)。

 原油価格はハリケーンが関連施設の操業に影響し、供給懸念が続いたことから、8月末の1バレル47.07ドルから上昇し、1バレル=51.64ドル(過去1年間の取引レンジは43ドル~58ドル)で取引を終えました(2016年末は53.89ドル)。米国のガソリン価格(全等級)はハリケーンが複数回襲来した影響を受けて、9月末は1ガロン2.701ドルと、8月末の2.513ドルから上昇しました(同2.419ドル)。

 VIX恐怖指数は月中の最高は14.06、最低は9.36となり、結局8月末の10.69から9.51に低下して月を終えました(同14.04、2016年11月8日の米大統領選直前は23)。

 S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスは、S&P中型株400指数構成銘柄のアプリケーション・ソフトウェアメーカーのCadence Design System(CDNS)をS&P500指数に新たに追加し、Sycamore Partnersに買収されたStaples(SPLS)を同指数から除外しました。

 S&Pグローバル・レーティングは、香港の信用格付けを最上位のAAAから米国と同じAAプラス(ただし、米国の14州はAAA格付け)に引き下げました。これにより、AAAの格付けを持つ国はオーストラリア、カナダ、デンマーク、ドイツ、リヒテンシュタイン、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、シンガポール、スウェーデン、スイスの11ヵ国のみとなります。

 S&P500指数構成銘柄のうち、AAAの格付けを持つのはJohnson & Johnson(JNJ)とMicrosoft(MSFT)の2社のみです。

●S&P500指数

 9月のS&P500指数は56.2%の確率で下落するというこれまでの冴えない実績に反して上昇しました。実際9月は、6ヵ月連続で月間での上昇を記録し(過去11ヵ月中10ヵ月で上昇、ただし、配当込みのトータルリターンは実際に全11ヵ月でプラス)、初めて2500の大台を上回り、その水準で月末を迎えました。

 9月末のS&P500指数は2519.36で、0.05%上昇(7月は1.93%上昇)した8月終値2471.65から1.93%(配当込みのトータルリターンは2.06%)と大きく上昇しました。第3四半期は3.96%(同4.48%)上昇しており、一部のファンドの四半期報告書は素晴らしい内容になるでしょう。年初来でのS&P500指数の上昇率は12.53%(同14.24%)、昨年の大統領選以降では17.75%上昇(同19.93%)しています。

 9月は11セクター中8セクターで騰落率がプラスとなりました(8月の5セクターから増加)。エネルギーセクターが反発し、9.77%の上昇で騰落率トップとなりましたが、同セクターは年初来ではなお8.62%の下落と、騰落率は最低となっています。公益セクターが、金利上昇と投資家のリスクオンモードを背景に、3.00%下落して騰落率最下位となりました。同セクターは年初来では8.97%上昇しています。

 9月は上げ基調(と所得税に対する期待)が市場の上昇の助けとなり、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を大幅に上回りました。値上がりは334銘柄と(平均上昇率は6.04%)、8月の232銘柄(7月は326銘柄)から増加し、49銘柄(8月は12銘柄)が10%以上上昇した一方、値下がりは170銘柄(平均下落率は3.79%)と、8月の273銘柄(7月は178銘柄)から減少し、9銘柄(8月は44銘柄)が10%以上下落しました。

 2017年第3四半期は、値上がりが323銘柄で(平均上昇率は8.81%)、111銘柄が10%以上上昇した一方(平均上昇率は16.36%)、値下がりは180銘柄(平均下落率は7.70%)で、55銘柄が10%以上下落しました(平均下落率は16.27%)。

 年初来では引き続き値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を大幅に上回り、値上がりは355銘柄で(平均上昇率は21.86%)、うち113銘柄が25%以上上昇し、値下がりは147銘柄で(平均下落率は13.51%)、うち23銘柄が25%以上下落しています。

 S&P500指数は過去最高値で9月を終えましたが、10月第1週もワシントン発のニュース(所得税、予算、債務)が大きく取り上げられるのに伴い、最高値の水準は試されることになるでしょう。その後は決算発表シーズンに入り、10月半ば以降は企業の業績発表がニュース(そして取引)の中心となり、(北朝鮮問題など世界的なイベント次第ですが)企業業績への注目が11月初旬にかけて続くことになります。



[執筆者]
ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
シニア・インデックス・アナリスト


※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。

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