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【市況】国内株式市場見通し:北朝鮮情勢を警戒しつつも、政策期待から物色意欲は強まる

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

先週の日経平均は上昇。連休明けに6月20日に付けたザラバ高値20318.11円を突破し年初来高値を更新すると、その後もこう着ながらも上昇基調が継続しており、21日には20481.27円と2015年8月19日以来の20400円を回復した。海外ではNYダウが連日で最高値を更新するなか、金融やハイテクセクターが選好されており、支援材料となった。また、各メディアが「安倍首相が28日召集の臨時国会冒頭にも衆議院を解散する意向を固めた」と報じるなか、政策期待等も高まる格好に。インデックス主導のなか、ソフトバンクG<9984>が終日堅調な値動きをみせ相場をけん引する場面もみられた。

また、注目されていた連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利を据え置くとともに、バランスシートの縮小を10月から開始することを決めた。また、ハリケーンによる経済への影響は一時的との見方もあり、年内に追加利上げに踏み切ることを示唆した。これを受けて米長期金利が上昇。10年物国債利回りは8月上旬以来ほぼ1カ月半ぶりの水準まで上昇した。さらに、日銀の金融政策会合では、長期金利をゼロ%程度に誘導する現行の金融緩和の維持を決定。想定内ではあるが、日米金利差拡大によるドル買い・円売りが一段と強まる可能性から金融セクターが選好される展開。週末には北朝鮮情勢を巡る地政学リスクが警戒される場面もみられたが、下値の堅さが意識されていた。

今週は北朝鮮情勢を警戒しつつ、政策期待が高まる相場展開が期待される。北朝鮮情勢については、トランプ米大統領による国連総会での発言を受け、週末には北朝鮮外相が、金正恩朝鮮労働党委員長が声明で慎重に考慮するとした「超強硬対応措置」について、太平洋上での水爆実験ではないかと述べたと伝わった。ただ、海外勢は比較的冷静に対応しているとみられ、相場全体としては落ち着きがみられている。とはいえ、売りを誘うような発言に対して中小型株などは敏感に反応しやすく、北朝鮮情勢を睨みながらの手掛けづらさがありそうだ。

一方で安倍首相が28日召集の臨時国会で早期解散に踏み切り、衆院選を10月22日投開票で実施する方針を固めたと各メディアが伝えている。解散総選挙では政策期待が高まり、株価は上昇するとの見方がされるが、一方で与党の苦戦が囁かれる中、ネガティブサプライズを警戒する向きも大勢だ。とはいえ、自民党の第一党は変わらないと考えられ、アベノミクスが加速するとの期待感からの上昇が意識されよう。日経平均は直近の上昇でもち合いが続いていた20000-20200円のレンジを突破し、需給状況は良好である。

短期的には過熱感が警戒されやすいものの、それでも先進国での相対的な出遅れ感は依然として強く、海外勢による押し目買い意欲は強い。また、金融セクターなどへの見直しが強まってきたことも、センチメントを明るくさせそうだ。一方で、先週は鉄鋼セクターの弱さが目立っていた。8月の粗鋼生産量が4カ月連続で減少したほか、アルセロール・ミタルやUSスチールなど海外の鉄鋼株が弱い値動き。さらに、中国での鉄鋼需要の伸び悩みを懸念する売りが強まったようである。米格付け会社S&Pは先週、力強い信用拡大が長期間続き、中国の経済・金融リスクが高まったとの評価から、中国を1段階格下げしており、中国関連の動向には注意が必要。全体としては、北朝鮮情勢次第では緊張の高まりから利益確定に向かわせる可能性が高いものの、これを警戒しつつ、調整局面においての物色意欲は強まろう。その他、利食い局面においては、IPO銘柄に資金が向かいやすいとみられる。

経済イベントでは、25日に独Ifo景況感指数(9月)、26日に企業向けサービス価格指数(8月)、米S&Pコアロジック/ケース・シラー住宅価格指数(7月)、米新築住宅販売件数(8月)、米消費者信頼感指数(9月)のほか、27日は米耐久財受注(8月)、米中古住宅販売成約指数(8月)、中国工業利益(8月)。28日に米GDP(4-6月、確定値)、米新規失業保険申請件数、ユーロ圏景況感指数(9月)、独消費者物価指数(9月、速報値)、中国経常収支(4-6月、改定値)、29日には完全失業率(8月)、消費者物価指数(8月)、鉱工業生産指数(8月)、米個人消費支出・所得(8月)、米ミシガン大学消費者マインド指数(9月、確定値)、ユーロ圏消費者物価指数(9月、速報値)、独雇用統計(9月)、英GDP(4-6月、確定値)、中国財新製造業PMI(9月)、30日に中国製造業・非製造業PMI(9月)が予定されている。また、今週は日銀の黒田総裁、米ニューヨーク連銀総裁、米シカゴ連銀総裁、米ミネアポリス連銀総裁、ECBのドラギ総裁などの講演が予定されており、発言内容による影響もありそうだ。

《FA》

 提供:フィスコ

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