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【通貨】為替週間見通し:やや底堅い動きか、年内米追加利上げへの期待持続

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■米バランシート縮小と利上げ継続方針でドル・円は一時112円72銭

先週のドル・円は堅調推移。19-20日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で10月よりバランスシート縮小を開始することが決定されたことや、FOMCは2018年に3回の利上げを予想していることがドル上昇を促した。12月に追加利上げが実施される可能性は高いこともドル買い材料となり、ドル・円は一時112円72銭まで買われた。

イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長はFOMC会合終了の会見で「インフレが2%以下で推移していることは不可解」と述べたが、「我々はインフレが上昇し、2%前後で安定すると予想している」、「緩やかな利上げが依然正当化される」との見方を示しており、利上げ継続の方針を示唆した。先週発表された米経済指標は強弱まちまちの内容だったが、FOMC予測で2018年の金利見通しを据え置いたことがドル買いの決め手となったようだ。

ただ、北朝鮮の金正恩委員長が「史上最高の超強硬な対抗措置を検討」との声明を発表し、北朝鮮外相が水爆実験を太平洋上で行う可能性を示唆したことで、22日のアジア・欧米市場でリスク回避の円買いが観測された。ドル・円は一時111円65銭まで反落し、112円00銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:110円83銭-112円72銭。

■やや底堅い動きか、年内米追加利上げへの期待持続

今週のドル・円はやや底堅い動きとなる見込み。米FRBは19-20日開催のFOMC会合で現行の金融政策を維持した。一方、10月にバランスシートの縮小を開始すること決定し、金利正常化の方針を堅持した。年内追加利上げの可能性も高まっていることから、金利先高観を背景にリスク選好的なドル買いは継続するとみられる。

25日にも発表される見込みのトランプ政権の税制改正案には、具体的な法人税率や企業の利益控除などが盛り込まれる見通し。法人減税について共和党内では困難との見方もあるが、税制改正の実現性がさらに高まることから、株高を期待してドル買いが強まりそうだ。

今週発表予定の経済指標では9月CB消費者信頼感指数や4-6月期国内総生産(GDP)確報値が注目されそうだ。いずれもFRBの利上げ継続方針を後押しする内容だった場合、ドル買い材料となる。大型ハリケーンの被害による経済への影響は大きくないとの見方が増えていることや、米長期金利の上昇はドルを押し上げる要因になりそうだ。日本銀行が現行の金融緩和策の維持を決定したことはドル買い・円売り材料になる。

ただし、北朝鮮は米国に対し、経済制裁などをめぐり反発を強めている。弾道ミサイル再発射や水爆実験を強行するとの見方も出ている。北朝鮮が水爆実験を強行した場合、米国による武力行使の可能性は大幅に高まるとの見方が出ている。東アジア情勢の不安定化に対する警戒感は再び高まっていることから、リスク選好的な円売りが大きく広がる可能性は低いとみられる。

【米CB9月消費者信頼感指数】(26日発表予定)
26日発表の米CB9月消費者信頼感指数は119.5と、8月の122.9を下回る公算。ただ、2001年以来の高水準は維持される見通しで、米経済の堅調さが示されれば金利正常化を後押しする材料としてドルを押し上げそうだ。

【米4-6月期国内総生産(GDP)確報値】(28日発表予定)
28日発表の4-6月期国内総生産(GDP)確定値は前期比年率+3.1%と予想されており、回復基調の持続が期待される。4-6月期速報値の前期比年率+2.6%は改定値で+3.0%に上方修正された。確報値が改定値を上回る内容だった場合、成長持続を好感したドル買い材料になりそうだ。

予想レンジ:110円50銭-113円50銭

《FA》

 提供:フィスコ

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