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【特集】Pウォーター Research Memo(1):宅配水業界で売上高トップ。顧客獲得好調で大幅増収、赤字額拡大は好調の証


■要約

プレミアムウォーターホールディングス<2588>は、天然水製造が強みの株式会社ウォーターダイレクトと営業力が強みの株式会社エフエルシーが経営統合して生まれた企業グループである。率いるのは、エフエルシーを起業しプロモーション営業力で国内トップクラスに引き上げた実績を持つ萩尾陽平(はぎおようへい)代表取締役社長。ブランドを「プレミアムウォーター」に統一し再スタートを切った。強力な営業組織と販売ノウハウが強みであり、顧客保有数524千人(2017年7月末時点)を増やし続け、売上高で業界トップに躍進した。

1. ビジネスの特長
同社は、非加熱天然水製造が強みの旧ウォーターダイレクトと営業力が強みの旧エフエルシーが経営統合した経緯があり、製販ともに充実した天然水宅配のトップ企業である。採水、製造、販売、配送の各プロセスにおいて独自の強みを持つ。事業は「投資回収型ストックビジネスモデル」であり、ウォーターサーバーの原価やデモンストレーション販売の費用(1顧客当たり数万円)を会社側が最初に負担し、天然水の売上で徐々に回収していく。新規顧客を一気に増やす時期は赤字になるが、その後回収が進んでくると大きく黒字に転換するという事業特性である。

2. 業績動向
2018年3月期第1四半期の売上高は5,929百万円(前年同期比63.8%増)、営業損失419百万円(前年同期は314百万円の利益)、経常損失500百万円(前年同期は290百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失505百万円(前年同期は185百万円の利益)となり、大幅な増収とともに損失計上となった。売上高の急激な伸びに関しては、2016年7月の経営統合以来、新規顧客の獲得ペースが加速しており、それに伴い保有顧客数が大きく伸びたことが要因だ。損失計上に関しては、製造原価の低減化などで一定のコスト低減効果があったものの、営業活動の拡大等により販売促進費等を大幅に増やしたことが主な要因である。同社では、2018年3月期を、より大きな成長のために新規顧客を獲得し先行投資をする時期と位置付けており、大きな赤字額は順調に計画が遂行されている証である。

3. 業績見通し
2018年3月期通期の連結業績は、売上高で前期比30.3%増の26,000百万円、営業損失は同280百万円拡大で850百万円の損失、経常損失は同395百万円拡大の1,100百万円の損失、親会社株主に帰属する当期純損失は同107百万円縮小で1,110百万円の損失の見込みであり、期初の予想を据え置く。売上高予想の26,000百万円の根拠となる新規顧客契約数は、年間260千件、月21.7千件である。2018年3月期の7月までの新規顧客契約実績は月平均で23.7千件と計画を上回る。これは第1四半期における販促活動及び営業活動が効果的だったことを示している。同社のビジネスは継続性が高く、第1四半期の好調な顧客獲得は第2四半期以降の売上にも好影響を及ぼすため、売上高は上振れる可能性も出てきた。一方利益面に関しては、新規顧客獲得のための投資(販管費)を戦略的に行い、2017年3月期と同レベルの損失をあえて計上する。第1四半期の顧客獲得の好調は、通期では損失がさらに大きくなることも考えられる。先行投資が大きいほど、将来の収益も大きくなるため、好調と判断するが、黒字化のタイミングは来期以降になる予想だ。

4. 成長戦略、トピック
宅配水業界にとって、昨今の物流費の上昇は大きな経営課題である。同社はワンウェイ方式の配送を行うため、大手の配送業者に配送を委託しており、年間の配送料は3,844百万円(商品製品配送料、2017年3月期)、売上高比率で19.3%に達する。配送業者からの値上げ要請があり、既に一部単価の値上げが行われており、今後も更なる上昇が懸念される。同社としては、ロジスティクス機構の見直しや再配達を無くすための方法を検討しており、早期に本格稼働させたい考えだ。

■Key Points
・顧客獲得好調により大幅増収、赤字額拡大は好調の証
・物流費上昇に対する対策を順次計画中
・仮想通貨(トークン)を発行する“ICO”にて、新たなサービス企画のマーケティングを検討中

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)

《NB》

 提供:フィスコ

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