【特集】絶好調“2部・JQ”上昇に乗る「順張り&逆張り」超買い場20銘柄 <株探トップ特集>
高度紙 <日足> 「株探」多機能チャートより
―押し寄せる物色資金に高値追い、東証2部・ジャスダック市場の「特選注目株」紹介―
東京株式市場は日経平均株価が1万9000円台で鳴かず飛ばずの状態にあるが、企業のファンダメンタルズとの比較では、売られ過ぎの水準にあるということは市場関係者に共通した感覚だ。不安定なトランプ政権や北朝鮮を巡る地政学リスクが上値の重石になっているが、売り方の立場にすればここから大きく下値を売り込める水準にないことも明白。よって日経平均はしばらく2万円を上限とするボックスゾーンでの往来が続くことになる。
●青空圏を舞う東証2部とジャスダック市場
ところが、「東証1部」という枠組みから離れると景色は一変する。日本株は絶好調といっても過言ではない。東証2部指数はきょう(25日)も上昇して連日の史上最高値更新、新興市場をみてもジャスダック市場の強調が際立っており、日経ジャスダック平均は3379まで買われ、約1ヵ月ぶりに高値を更新した。これはバブル期の1990年以来27年ぶりの高値圏突入である。
この2部やジャスダック市場の異彩高が意味するところは、中小型株に対するかつてない物色ニーズの強さだ。“株は美人投票”というケインズの言葉がある。企業の実態が良くても、投資家が集まってこなければ株価に先高期待は生まれない。しかし、今は2部やジャスダックには物色資金が押し寄せている。水準訂正高のオンパレードだ。資金の回転が速く、日替わり的な物色を軽視する動きもあるが、実際デイトレードの手仕舞い売りで「上ヒゲ」をつけても、再び買い直されて上昇相場の色彩を徐々に強めるという銘柄も多い。
●昇り竜につくか、リバウンド前夜を狙うか
そこで今回は、東証1部とは別世界の足をみせる東証2部とジャスダックに上場する銘柄に照準を絞って、妙味株を発掘するという手段を考えてみる。
8月19日配信の株探トップ特集「逆風相場を圧倒する“順張り&逆張り”二刀流、超買い場『20銘柄』」が株探読者の高い支持を得たが、今回はその「姉妹版」である。
全体相場とは軌道を異にして株価を急上昇させている銘柄は、まさにケインズが言及した“美人投票”を地で行く銘柄。流れにつくのであれば、そうした“昇り竜銘柄”から目を離してはいけない。順張りの神髄はそこにある。一方、株式投資で勝利する秘訣は「株価をいかに安い水準で拾うか」である。元来、安値買いには辛抱が必要だが、もし株価が高値から大きく下押している銘柄が、リバウンド前夜のタイミングにあるとすれば、そこに買い向かうのは投資行動として当然である。下値リスクが限定的な逆張りは、成功した時は極めて効果の高い投資手法となる。
「順張り」と「逆張り」両面から有力視される銘柄を、物色資金が押し寄せている2部およびジャスダックから10銘柄ずつセレクトした。
<順張りの部>
●インバウンド復活でコメ兵、銅市況高で黒谷が加速
nms ホールディングス <2162> [JQ]は電機・精密業界向け派遣や製造請負を手掛ける。好業績を背景に18年3月期配当を5円から7円に増額。株価は8月に入り四半期決算発表を受けて急騰開始。PERは依然割安感がある。
コメ兵 <2780> [東証2]はブランド品や宝飾品の中古販売を主力としており、インバウンド関連としても再注目。不採算店舗の撤退でコストが改善する一方、名古屋駅前に出店した大型店などが好調で収益に貢献している。株価は2015年前半の水準からみればまだ底値圏。
黒谷 <3168> [東証2]は銅スクラップやインゴットの加工販売を手掛ける。銅市況高や販売数量の増加を背景に17年8月期営業利益を従来予想の14億4300万円から20億5100万円(前期は5億9200万円の赤字)大幅増額。今期2度にわたる上方修正で市場の耳目を驚かせた。
●防衛関連のセック、リチウム電池テーマで高度紙
セック <3741> [東証2]はシステム開発を手掛け、携帯電話などのモバイル端末だけでなく、ロボット分野や自動運転、さらに高技術力を背景に宇宙や防衛分野でも実績を重ねている。17年4-6月期営業利益は19%増、通期では16%増益の5億円を見込む。
ニッポン高度紙工業 <3891> [JQ]はコンデンサー用のセパレーターを生産するほか、2次電池用セパレーターを手掛け、電気自動車(EV)などの普及で市場急拡大途上にあるリチウムイオン電池関連の有力株として注目されている。17年4-6月期は営業利益段階で前年同期比6.7倍の5億7200万円と高変化、既に4~9月期計画の4億7000万円を大幅に超過している。
東洋ドライルーブ <4976> [JQ]は自動車向けなどのコーティング剤を製造販売、業績絶好調で18年6月期営業利益は前期比1.5倍の5億100万円を計画する。好決算発表を受け8月中旬にマドを開けて上放れた後も強力な足で上値を指向。PER10倍未満でPBR0.7倍は割安感が際立つ。
朝日ラバー <5162> [JQ]は自動車用を主力に彩色用ゴムを展開するが海外の旺盛な需要を確保している。17年4-6月期営業利益が76%増と急拡大、これを背景に株価は上値追いを開始。今年3月7日の年初来高値1150円は単なる通過点となる可能性もある。
●富士通コンポは再編思惑背景に需給相場の片鱗
エンビプロ・ホールディングス <5698> [東証2]は資源リサイクル大手で、非鉄市況が上昇傾向にあるなか、にわかに存在感を増している。スクラップ販売はアジア向けに増勢だが、ここにきてのスクラップ価格上昇が株価を強く刺激する格好となっている。
太陽工機 <6164> [JQ]は中堅工作機械メーカーで研削盤専業。主力の立形研削盤などが自動車向け中心に高水準の受注を確保。17年12月期の単独営業利益を8億7000万円から9億6000万円(前期比19.1%増)に増額、PERはもともと割安で、売り物薄のなかで急速に水準訂正局面に移行している。
富士通コンポーネント <6719> [東証2]は四半期好決算発表を受けて7月26日にマドを開けてストップ高に買われたが、その後の上昇も強烈で需給相場の片鱗をみせる。親会社の富士通 <6702> が携帯電話事業を売却する方向にあるなど選択と集中を進めており、車載やIT分野向けで高い実績を持つ富士通コンポは、中核企業として優位な立場にあるとの思惑が高まった。時価はリーマン・ショックで急落過程にあった08年10月以来の高値圏にあり、滞留出来高が希薄な価格帯であるだけに、一段の上昇加速も視野に入る。
<逆張りの部>
●安川情報、ベクターともに“親の威光”強し
安川情報システム <2354> [東証2]は足もとの業績こそ不調だが、安川電機 <6506> が同社の38%強の株式を保有する筆頭株主であり、安川情報は同グループを支えるIT分野のトップランナーとしての存在感は大きい。IoT時代の到来に伴い、ハード面ではGPUやFPGAなどの次世代を担う半導体デバイスが必須となり、組み込みソフト開発分野に強い同社にビジネスチャンスが回りそうだ。
ベクター <2656> [JQ]はソフトのダウンロード販売を手掛け主力のオンラインゲームが急成長途上。17年4-6月期は前四半期同様に営業利益段階から赤字だが、ソフトバンクグループ <9984> の傘下企業で安値形成場面は底値買い対象として妙味を内包する。
●急騰力光るピーエイ、ぱど、パスポートはライザップ関連
ピーエイ <4766> [東証2]は求人サイト運営で派遣も手掛け、企業の旺盛な人材需要が追い風となっている。17年1-6月期は営業損益段階で4100万円の赤字だが、下期以降は営業力強化で収益基盤の拡大に注力する方針。個人投資家を中心とする短期資金の注目度は群を抜いている。今年7月下旬には160円台の株価をわずか3日間で倍化させた経緯がある。その後は急な調整を強いられたが、時価180円近辺は売り物が枯れている感触で次の噴火待ち。
ぱど <4833> [JQG]も求人広告関連の事業を展開する。無料情報誌は厳しい環境ながら、同社はRIZAPグループ <2928> [札証A]の傘下で経営再建中。18年3月期は4期ぶりの営業黒字化を目指す。今年6月から7月にかけてライザップ関連株が軒並み人気化したが、同社もその一角。7月4日には瞬間風速で4ケタ大台まで買われる場面があった。
石井工作研究所 <6314> [JQ]はセンサーなどの半導体製造装置を手掛け、車載向けなどを中心に受注を伸ばしている。足もとは人件費などのコストが重荷となっているが、IoT時代の本格化で追い風環境は強まりそうだ。PBRは0.5倍台と評価不足歴然。
パスポート <7577> [JQ]はインテリアや生活雑貨を手掛けるが、前述のぱど同様にRIZAPグループ傘下で業績立て直しを図っている。ぱどと歩調を合わせるように7月4日には985円と4ケタ大台目前まで上昇、その後急落も調整一巡から再浮上の機を窺う。
●5G関連でPALTEK、瞬発力ならアジア航測
PALTEK <7587> [東証2]は特定用途向け半導体(ASIC)のほかグラフィック半導体(GPU)や現場での構成可能なFPGAなどを強みとする半導体商社。設計・受託生産も行っており、その技術力に定評がある。次世代通信規格5G関連機器分野の開拓に前向きに取り組んでいる。政府が5G普及に向け大容量のデータ通信を支える技術開発に本腰の構えをみせるなか、同関連テーマで再人気化の兆しを漂わせている。17年12月期営業利益は前期比倍増の10億5000万円を見込む。
ラオックス <8202> [東証2]は訪日観光客が再び増勢を強めるなか、元祖インバウンド関連株として時価は大底買いの好機との見方も。17年12月期営業損益は小幅ながら黒字転換を計画。業績面で割り切りが必要となるが、8月15日の463円を底値にじりじりと戻り足をみせており、上値の可能性を暗示している。
レーサム <8890> [JQ]は不動産流動化関連の一角。富裕層を対象に投資用物件を販売するほかニーズに応じてファンドも組成する。17年4-6月期決算発表で営業利益が前年同期比65%減と低迷したことを受け、大きくマドを開けて売られたが800円台半ばで売り物をこなし上値を慕う動きをみせている。約100円幅を真空地帯で急降下しただけに戻り妙味も意識されそうだ。
アジア航測 <9233> [東証2]はトヨタ自動車 <7203> と共同出願していたナビ情報提供システムに関する特許が7月6日に公開され、これを背景に連日ストップ高で水準を切り上げ、7月13日取引時間中に1900円台まで買われる暴騰をみせた。半ばマネーゲーム的な要素もあったが、その瞬発力は抜群。800円台前半は拾い場となっている感触がある。同社は測量土木大手でドローン関連としての材料性も内包している。
◆強さ爆発! 異彩放つ昇り竜銘柄10選◆
銘柄 <コード> 市場 上値指向の強さ 株価
nmsHD <2162> JQ ☆☆☆☆ 1030
コメ兵 <2780> 東2 ☆☆☆☆ 1671
黒谷 <3168> 東2 ☆☆☆ 1202
セック <3741> 東2 ☆☆☆☆ 2529
高度紙 <3891> JQ ☆☆☆☆☆ 2200
東洋ドライ <4976> JQ ☆☆☆☆ 3400
朝日ラバー <5162> JQ ☆☆☆ 1032
エンビプロ <5698> 東2 ☆☆☆☆☆ 1046
太陽工機 <6164> JQ ☆☆☆☆☆ 1884
富士通コン <6719> 東2 ☆☆☆☆ 693
注:☆は多いほうが上値指向が強く、モメンタム投資対象としては有利。
ただし、5日移動平均線を5%超下回った場合はいったん撤退。
株価は25日終値(単位:円)
◆買い場到来、急速リバウンド候補10選◆
銘柄 <コード> 市場 底値感 株価
安川情報 <2354> 東2 ★★★★★ 588
ベクター <2656> JQ ★★★ 634
ピーエイ <4766> 東2 ★★★★ 183
ぱど <4833> JQ ★★★ 517
石井工研 <6314> JQ ★★★★ 366
パスポート <7577> JQ ★★★ 515
PALTEK <7587> 東2 ★★★★ 847
ラオックス <8202> 東2 ★★★★★ 488
レーサム <8890> JQ ★★★★ 864
アジア航測 <9233> 東2 ★★★ 834
注:★は多いほうが底値感が強く、安値を拾う対象としては有力。
株価は25日終値(単位:円)
株探ニュース