【特集】檜和田浩昭氏【遠ざかる2万円、夏の終わりに待つものは】(2) <相場観特集>
檜和田浩昭氏(東洋証券 マーケット支援部長)
―潮目変わった東京市場、ここからの戦略を聞く―
8月に入り東京株式市場は徐々に下値模索の度合いを強めてきた。週明け21日の日経平均株価は寄り付きこそ高く始まったものの、空売り筋のショートカバーが一巡すると、再び薄商いのなかでじりじりと水準を切り下げる弱い地合いが露呈した。気が付けば2万円の大台は遠くなっている。夏相場終盤で全体はさらに売り優勢の色を強めるのか、それとも動きを一変させ歯車が逆回転を始める時が来るのか。第一線で活躍するマーケット関係者にここからの見通しを聞いた。
●「9月には日経平均株価2万円目指す軌道に復帰」
檜和田浩昭氏(東洋証券 マーケット支援部長)
今週は、週後半に開催される米ワイオミング州ジャクソンホールの経済シンポジウムでの米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長や、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁の講演内容に関心が集まりそうだ。ただ、8月末までは、きょうから始まった米韓合同軍事演習が予定されていることもあり、北朝鮮を巡る地政学リスクへの警戒感が圧迫要因となり、投資家のリスク回避の姿勢が継続しそうだ。毎年米国のレーバーデー(今年は9月4日)を過ぎるころから、外国人投資家は夏期休暇を終えて本格復帰してくることから、日本株への物色姿勢が高まる可能性もある。
現在の日経平均株価が1万9500円を割り込んでいる水準は“売られ過ぎ”と判断している。内閣府が14日に発表した17年4-6月期の国内総生産(GDP、季節調整値)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.0%増(年率換算4.0%増)と良好な結果となった。実質GDPの伸び率は、15年1-3月期(年率換算4.8%)以来の高さで、事前の市場予想(同2.6%増程度)を大きく上回った。個人消費や設備投資が好調だったことが背景で、自動車販売や飲食サービス、建設関連や工作機械、ソフトウエアなどへの投資の伸びが寄与している。
8月中は、地政学リスクへの懸念などもあり、日経平均株価は1万9500円を軸とした小幅なもちあい相場が想定されるものの、9月に入ると株価を圧迫している外部要因が徐々に払拭されることで、再び2万円を目指しての上昇軌道に復帰する可能性がある。物色対象としては、人工知能(AI)、IoT(モノのインターネット)、自動運転、有機ELといった先端技術関連の好業績銘柄に加え、スマートフォン向けなどの半導体関連銘柄に注目が集まりそうだ。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(ひわだ・ひろあき)
1990年東洋証券入社、府中・横浜・福山支店で個人のリテール営業を経験。2002年情報部を経て11年2月からアジア部ストラテジストとして日本株と中国株を中心に相場分析を担当。その後、投資調査部次長を経て2015年11月から現職。日本FP協会正会員(CFP)。日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CFTe)。株式講演会講師、新聞取材など多数。
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