【特集】高橋春樹氏【円高、内閣支持率低下…、向かい風はいつまで】(2) <相場観特集>
高橋春樹氏(三木証券 執行役員 商品本部長)
―決算発表本格化を前に、漂流するマーケットの行方―
週明け24日の東京株式市場はリスク回避ムードのなか、日経平均株価が再び2万円大台を割り込むなど不安定な展開を強いられた。前週末の欧米株安に加え、為替が1ドル=110円台に入るなど円高に振れていることが嫌気されている。また、安倍政権の支持率が著しく低下していることも全体指数の先高期待に水を差している状況だ。決算発表本格化を目前に、強気と弱気の挟間で漂う相場の見通しやいかに。経験豊かなマーケット関係者2人にズバリ見解を聞いた。
●「実効為替レートで判断したい輸出企業の業績動向」
高橋春樹氏(三木証券 執行役員 商品本部長)
24日の東京株式市場は、外国為替市場での1ドル=110円台後半への円高・ドル安進行や、前週末の欧米株安を嫌気して、日経平均株価終値は前週末比124円8銭安の1万9975円67銭と、18日以来4日ぶりに2万円の大台を割り込んだ。ただ、20日に年初来高値を更新した東証株価指数(TOPIX)や日経500種平均株価は、日経平均株価(225種)に比べて頑強な値運びをみせており、相場の実体は底堅い推移となりそうだ。
また、為替レートを判断する場合も、円とドルの関係だけを重視し過ぎると全体像を見誤る可能性がある。特定の2通貨間の為替レートをみているだけでは捉えられない。相対的な通貨の実力を測るための総合的な指標である“実効為替レート”でみると、現状は他通貨に対して「円もドルも安い」という状態にある。したがって、ドルに対して少しばかり“円高”になったとしても、他通貨のユーロ、人民元、韓国ウォンなどに対して“円安”状態となっていれば、輸出企業の今後の業績は好調に推移するのではないか。
発表が本格化してきた4-6月期の決算は、比較的好調な内容と判断している。今後8月末くらいまでの期間で、日経平均株価は1万9800円水準を下値のメドとして、2万円台でのジリ高歩調を想定している。2万500円ラインを突破してくれば、上昇に加速がつく可能性もありそうだ。
物色対象としては、ソニー <6758> を中心に、富士通 <6702> 、ソフトバンクグループ <9984> といった、IT関連の主力銘柄がリード役を担うことになりそうだ。もうひとつは、今後需要が一段と加速する省人・省力化機器関連の銘柄に注目している。具体的には、食品向けの業務用冷凍冷蔵庫・冷凍冷蔵ショーケースの大手で、食品工場省人・省力化向け大型加工機も手掛ける福島工業 <6420> 、包あん成形機や製パン機などの食品加工機械のレオン自動機 <6272> 、業務用厨房機器大手で、外食店向けに強みを発揮しているマルゼン <5982> [東証2]などがある。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(たかはし・はるき)
1977年岡山大学法文学部卒業・第一証券入社。1999年第一証券エクイティ部長兼投資運用部長、2005年三菱UFJ証券エクイティ部長、2011年三木証券投資情報部長。
株探ニュース