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【経済】【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(2):◆米長短金利差、10年ぶり低水準◆

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

〇膠着相場の背景に、米金利情勢の不透明感〇

昨日の日経平均高安差は77円ほど、朝方20分で付けてしまい、膠着感に覆われた。これで5営業日連続100円未満の値幅、14年8月以来の現象。6月末を意識した動きにあるが、7月以降の先行き不透明感、シナリオ欠如が動きを止めていると考えられる。日柄では7月中旬に分岐点を迎えると見られている。

源は米債券相場。26日は30年債の利回り低下が目立ち、一時、2.68%台と昨年大統領選の11月9日以来の低水準となった。利上げシナリオがグラついているためだが、その要因は、インフレ観の後退、米経済失速懸念、トランプ政策の景気刺激期待喪失などが挙げられる。利上げシナリオがあるので、中短期債利回りは低下し難く、5年債との長短利回り差は93bp、07年終盤(サブプライム問題でモノライン保険の危機が叫ばれた時)以来の低水準となっている。

FRBからは、サンフランシスコ連銀総裁が「インフレ鈍化、一時的要因」、NY連銀総裁が「金融状況の改善、FRBの引き締めに追い風」との発言があり、27日にはイエレン議長がロンドンで経済対話に参加予定で、発言が注目されている。通常では、利上げ観測を刺激してもおかしくないと思われるが、市場の目線は変わらなかったようだ。実際の利上げ有無の攻防は9月と見られ、まだ時間がある。

原油相場では、投機筋の買い手仕舞いが相次いで報じられた。20日時点で米CFTC(商品先物取引委員会)が発表した建玉残は、買い越し幅が31%減少し10ヵ月ぶりの低水準。売りポジションは昨年8月以来の高水準。ロンドンICE(インターコンチネンタル取引所)発表の北海ブレント建玉も買い越しが急減し、歴史的安値の昨年1月中旬以来の水準。売りポジションが急増し、統計開始11年以来の高水準。需給悪化、在庫増懸念から直近高値から20%下落し、弱気相場入りしたことで売りが売りを呼ぶ格好になっていると思われる。余談だが、昨日の金先物相場が一時1.6%安の1236.50ドル/トロイオンスと急落した。ロンドン時間午前9時に1分間で出来高が急増、「誤発注」の噂が飛び交ったようだが、薄商いと自動取引が増幅したとされる。他市場でも起こり得ることで、神経質になる可能性があろう。

トランプ政策にも目立った進展がないが、昨日は「米法人税率は28%となる公算大、大統領提案の15%は夢物語ー専門家」(ブルームバーグ)との記事が流れた。オバマケア改革法案も依然難航しているようで、転換点は見当たらない状況が続いている。

以上


出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/6/27号)

《CS》

 提供:フィスコ

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